彼には両親がいなかった。

知らなかった。当然だ。

物心つく前に離反させられていた。

道原忍とは、実名ではない。 政府に命名されたコードである。

そのコードの意味は…今は明かせない。

これを書けば私が暗殺の対象となる。この名前は、偽名だが。


道原忍は、その肉体的な危険性にランクAAのマークをつけられていた。


人間でない。

実験動物扱いである。


だが、薬浸けモルモットにもなれない。チンパンジーにもなれない。


傀儡であった。


人権がどうだという理由で手のつけられない いわば無用の産物。

ここまで言うと無礼か。ただ彼はそんな存在であった。


ここからは、その現場にいた機動隊隊員・沼尻(千葉県出身・31歳)の話だ。


『いやぁ、動揺しましたよ。

いきなり銀行へ突入する車両かなんかが現れたかと思ったら、人だったんです。
それも頭がカプセルみたいな…おえっ…。すいません。。
彼は、とにかくゆっくり歩いて銀行内に向かいました。

相手は、拳銃を持ってんだぞ!って何度も叫び止めたんですが、 もぅズカズカと。
こっちは、どうしたらいいかわかんなくなっちゃいまして…。
中で何が起きたのかはわかりませんが、

3分後に彼と、人質になっていた小学生の男の子が悠然と出てきました。
そこで突入したんですが、銀行強盗の姿はありませんでした。

ええ、逃げる隙なんて全くなかったです。
完全に密室でした。

銀行強盗もまだ見つかっていません。
銀行内で変わっていたことと言えば、、

なぜか大量のウジ虫?か、何かわからないんですが

寄生虫みたいな白いやつがウジャウジャいて…おえっ…すいません。。
本人たちに聞いても、わからないと。

「犯人は消えた、だから出てきた」と。それしか答えないんです。

迷宮入りですよ。

ちなみにお金が盗まれた形跡もなかったですから、強盗としての立件は見送られてます。

銃刀法違反と監禁の件でしか…。変な事件でした。』