彼は、自分の脳廠が【剥き出し】であることに気づいていなかった。当然のことだ。

彼は、自分を若禿だと勘違いしていた。 こんな大きなボタンの掛け違いはない。

『異常にデカイ若禿、吐き気を催す』これが、道原忍の鏡に映る道原忍だった。


24歳を迎えた道原忍は、保険会社に勤めていた。

しかし、思うように仕事が運ぶことがない。

「お前よりアリや蜂の方がよく働く。」

上司によく虐げられていた。


精神状態は、良好でなかった。

そのヤカンにで熱された湯は沸点に達しようとしていた。


4月22日、よく晴れた清々しい昼下がり、青紫色に近いオーラを纏った道原忍は、街中を歩いていた。

先ほど、保険加入の勧誘で断られたばかりだ。

「なに?あなた何なの!?」

「東京住宅火災保険の道原と申し…」


彼がした会話はこれだけだった。 なるほど、アリや蜂の方が使えるかもしれない。