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矢野絢子12thアルバム「彼女について」
2020.5Release!!

矢野絢子12th.Album「彼女について」
2020年5月発売予定 13曲入り \3500
PA12-5911 / COMPACT DISC / STEREO2020 jiunitsukisha



「美しき、すべての年代の女たち、そしてあなたの中の彼女へ。」
様々な12人の女たちと私。13編のNext Story。


安定のチームミチスガラのメンバーに加え、ブルームーンカルテットのゴキゲンドラマー木村おうじ純士、ショウロンポウのスペシャルホーン隊、お馴染みのヴァイオリン嶋崎史香らと作り上げた極上のサウンド。


さらに足田メロウ氏の描きおろし13枚の絵とのコラボ豪華詩集ブックレット付。



★矢野絢子オフィシャルサイト「ウタの舟」
https://yanojunko.net/
ライヴ情報、リリース情報など掲載しています。


★★ウタの舟SHOP
http://yanojunko.shop-pro.jp/
CD、グッズなど販売しています。




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長崎五島列島「7弦ライアー」制作の旅~その3~遂に完成!

★ライアー制作3日目(最終日)
 師匠に「君は本当によく眠るねえ」と感心されながら、伸びてしまったラーメンを外で立って海を見ながら食べる。昨日気が済むまで彫ったので、今日はその修正を細かくしながらいよいよ最終工程に進む。

●ヤスリがけ


 全体にヤスリをかけて、滑らかにしてゆく。最初は粗目の、仕上げは細かめのヤスリで。細かい葉っぱのデザイン部分のところが難しかったけど、ミクロの気持ちになってかけ続けると、まるで鍾乳洞のツララのようななめらかさを帯びてきて、美しい。


●オイルを塗る


 表面に薄くオイルを塗りこむ。「こんな感じね~」という見本をもとに、師匠の目を離した隙に塗りたくっていたら、「あ!!塗りすぎだよう!もう~これ高いんだよう」と嘆く師匠。仕方ないので、余った分を「椅子の脚と壁にでも塗り込んでおいて~」と言われたので、座っていた椅子の脚と、適当にその辺の壁に擦り込む。ライアーを壁に吊り下げて、乾いたら2度塗り。(2回目はちゃんと薄塗りした!)

●石を準備


 天然石をはめ込みたいなと思ったが持ってきてなかったので、師匠のコレクションの中からきれいな水色の大小の石をふたつ(ソーダライトというらしい)と、私がいつも身につけているペンダントの水晶をいい具合の形に砕くことにする。
 粉々になったら怖いなーと思い「どうやって好きな大きさに砕くの?」と聞くと「知らないよ~、やったことないもん。こないだの人はなんかうまくいってたよ~」と師匠。こわごわ手ぬぐいに水晶を包んで「エイヤ!」と木槌をおろす。一発で大成功!
 石たちのとがった部分をざっくり丸く金属のヤスリで削ってゆく。

 


●石をはめる穴を掘る


 ざっくり石の大きさを記して、穴を掘る。水晶は裏側まで貫通させて光に透けるようにしたかったので、師匠が穴を貫通させてくれる。「入り口は狭く、中は広く掘るんだよ~。あと、水に浸した綿棒で穴の中を膨張させながら掘るんだよ~、穴を掘りすぎちゃだめだよ~」と師匠。「入り口は狭く、中は広くって。一体どうやって掘るんだ?」と思いながら「まあいいか、とりあえず掘ろう」ともう慣れ親しんだノミと彫刻刀で掘る。表面を広げすぎないように深く掘ってゆくのはとても難しかった!「ひねり掘るって感じ?」と師匠にきくと「そうそう、繊維に沿ってね~」と。

●石をはめる


 穴が出来たら、穴→石→布→柔らかい木の棒→木槌の順番で重ねて、優しくトントンと叩き入れてゆく(接着剤を使わないんだ!と驚いた)。水晶の先端はとがっていて割れやすいので注意して、ひと叩きごとに確認しながら慎重に!


 大成功!うまくはまった!あとは柔らかなセンダンの木がしっかり石を包み込んで抱いてくれるから大丈夫。※もし外れた場合は接着剤で止めなおすらしい。
 残りの小さな2つの石は、貫通させずに浅く掘って、同じ様に埋め込んだ。


 なんて素敵!可愛い!


●ブリッジを入れる

 柔らかい銅の棒を曲げて、ブリッジの溝の長さに切る。それを滑らかになるまでヤスリで擦る。※弦が当たる場所なので、念入りに。仕上がったらトントンと溝にはめる。(これは師匠がやってくれる)


●弦を張るためのピンを差し込む

 師匠が綿密に計ったピンの位置にピンを埋め込んでゆく。(これも師匠がやってくれる)

●弦を張る

 ギターの弦を替えたことがある人は簡単に理解できるが、ライアー特有のコツがあるので師匠の張りかたを動画で撮りながら覚える。弦はアコースティックのダダリオを使用。弦の太さや種類、音程については師匠が長年研究してきたデータをもとに、私のライアーにぴったりの弦を選んでくれる。メモメモ。

●チューニングする


 ライアーのチューニングは専用の器具を使ってやる。ものすごく繊細で1ミリでも1音以上変わるので、これは慣れが必要だなと思う。
 私が感じたライアーの最大の魅力が、この「チューニング」だった。周波数(ヘルツ)も音階も、色んな種類があって、ひとつひとつの調音に個性があるところ。好きな調音をその都度チョイスできる所も楽しい!私が普段使ってる楽器「ピアノ」は調律師さんがチューニングしてくれて、大抵「440ヘルツ」とか「441ヘルツ」とかでやってもらうんだけど、ライアーは「432ヘルツ」や「444ヘルツ」でチューニングする。(一般的には432ヘルツでのシュタイナー音階というのを使うそうだ)ライアーが「癒しの楽器」といわれる所以はここにあると思った。あと「平均律」や「純正率」云々の話もすごく素敵だったけど、長くなるので割愛。
 私が使っている携帯のチューニングアプリでは「432ヘルツ」はできなかったので、師匠のチューナーを借りてチューニング。
「シュタイナー音階」432ヘルツで、高音からE/D/B/A/G/E/D。
「今回はまずこれでやって、色々試してみるといいよ、それで私はこの音階を使う!と決めた音階があれば、そのチューニングに最適な弦選びができるから、その時はまた言ってくれたら選んであげるよ」と師匠。


●完成!!!試奏!!!



感動!!!なんと繊細で美しい音色なんだろう!!!音が身体に染み込んでゆく感覚。小さな音ほど、浸透度が高いように感じる。
「オイルが完全に乾くまで1週間はかかるから、その間にまた徐々に音は変化してゆくよ」と師匠。それもまた楽しみである。
隅から隅まで自分の手を入れて作った生まれて初めての楽器!!!もう愛しくて嬉しくて仕方ない!!ピアノに次ぐ、これから広がる私の新しい世界の相棒。

※今回私が制作したのはライアーの中でも一番シンプルな「7弦ライアー」。他にももっと沢山弦のついたライアーがあるので、いつかそれにも挑戦したい。
師匠は車に道具を積んで全国各地をワークショップで回っているので、次回は高知にも呼んで、高知の仲間とみんなで作ろうと思う。もし興味がある方はぜひ挑戦してみてね。詳細はこちらから。鬼塚聖貴-Seiki Onizuka|ライアー制作指導・木工指導・ライアー演奏 (onizukaseiki.com)


 この日たまたま師匠の家にキビナゴ猟師でありギタリストの方が、山ほどの獲れたてのキビナゴを差し入れしてくださり、「完成祝いじゃ~」と3人で刺身にしたり煮たり焼いたりして、新鮮なキビナゴをおなか一杯食べて、みんなで歌ったり演奏したりしながら、幸福な夜。師匠の日本酒は全部空っぽに(笑)。



 5日間の滞在で、初日と最終日は移動日だったので、中3日で制作できた。その間工房の敷地から一歩も出なかったなーと思い、翌朝、荷造りをして旅立つ前に、朝陽に照らされた浜辺に降りてライアー演奏を海に奉納。ありがとうございました!


 空港まで送ってもらう途中「ほら、あれがセンダンだよ」と師匠が教えてくれる。「センダン」は比較的樹齢が短く(長くても500年くらいとかっていってたかな)深い森の中ではなく、川沿いや、その辺にポンと生えている。季節ごとに花や実をたわわにつける。調べると「高知市の木」でもあるそうな。高知のセンダンを探して、このライアーを奉納しようとおもう。五島のセンダンにご挨拶して、空港で五島うどん、椿油や椿茶、かんころ餅などを土産に買う。


 鬼塚師匠、本当に5日間最高に面白い日々でした!ありがとうございました!このライアーを世界中で響かせてくるね!と告げて、お別れ。

 


 福岡行きの飛行機の窓から、くっきりと機体の影が虹色の丸い光に包まれているのを見て「うん、幸先良好」と思う。この先の私の世界を思うとワクワクが止まらないなーと思いながら爆睡。
 やー、楽しい日々だった!

長崎五島列島「7弦ライアー」制作の旅~その2~

★ライアー制作2日目
 

 普段しない動作をあれだけの長時間やると、腱鞘炎か筋肉痛になるのではと心配したが、師匠が「手首にこれを塗って寝てね」という植物のクリームをつけて寝たら、全く痛くもかゆくもなくて感動。

 快晴で春の様にうららかな日だったので、外に机を出して海を見ながらひたすら彫り作業。天国!
 日光によるひび割れを防ぐために、板の横側をマスキングテープをグルリと貼る。師匠はひたすら工房の修繕作業。時々私の所へ様子を見に来ては、「研ぐね~」と言って、刃物を研いでくれたり、板を叩いて、音の響きを確認して「ここはもう少し深く、ここはもう彫らない方がいいよー」とアドバイスをくれる。





●ピンの位置とブリッジの位置を決める


 これは師匠が計って決めて、鉛筆で印をつけてくれ、ピンの位置には借り穴を、ブリッジの所は削ってくれる。それに合わせて内側をどの位置までどの深さで彫るか調整。

●とにかく彫る。


 板の薄い所から低音が、厚く硬いところから高音が、よく響くらしい。
 中央に向けての薄いところと厚いところの差はなめらかに。カクカクしないように。
 細かいデザインの所は、彫りながらベリっと取れてしまったりして難しい。
師匠に言うと「センダンはやわらかいから彫りやすいけど、繊維がはっきりしてるからね、あまり深入りしないように。繊細なデザインというより、おおらかなデザインをゴールにした方がいいよ」とのこと。「木の繊維の流れに沿って彫ること。鱗を逆なでするんじゃなくて、鱗に沿って彫るとなめらかな木肌が現れるよ」とも。
 「木の流れを見るんだよ、これが一番大事だよ」と何時間も彫り続けてから師匠が教えてくれた。
「はよ言うてや」と思いながらも、確かに、繊維の流れを意識してみると、センダンはあちこちに向けて流れていて、彫りながら「ん?」と引っ掛かりを感じたら、逆側から彫ると大抵すんなりゆく。それが面白い。
 細かい部分は彫刻刀を使う。(彫刻刀なんて小学生ぶり!)


●割れた箇所の修正


 マステの予防もむなしく、お天道様の力で、板が2か所ひび割れてしまったので、師匠が修繕してくれる。なんかリボン形の可愛い小さな木辺を、ひび割れの途中にばんそうこうみたいに埋める。かわいい。これ以上割れたらこわいので、工房の中に移動して彫る。


●全体を丸く削る


 デザインした内側だけでなく、ピンの周り、側面にも裏側にも全て刃物を入れてゆく。彫ってない部分、平らな部分がどこにもないように。そうして全体の丸みをデザインしてゆく。
 細かな凹凸が全体にあることで、より繊細な音が響くらしい。側面を彫るのが難しかった!


 鍋に五島のうどんを入れて食べる。細麺でコシが強くて美味しい!外に机を出して、満天の星空を見ながら食べる。遥か海の彼方に不思議な平べったい光が浮かんでいて「ユーフォーかも!」などとはしゃぎながら、私は夕べワインを呑みほしたので、師匠の日本酒を呑む。
 「今夜は気が済むまで彫る!」と宣言をすると「おお~!俺は寝るね!」と師匠はさっさと寝てしまった。静かな夜。海の音と風の音、森の木々の音を聴きながら、夢中で彫り続ける。結局10時間以上彫っていた。手首と腰と肩にもクリームを塗って就寝。またしても10時間も寝てしまった。

 

 

長崎五島列島「7弦ライアー」制作の旅~その1~

 先日、長崎県は五島列島の福江島にあるとある工房に、「ライアー」という弦楽器を作りに行ってきた。
教えてくれたのは、鬼塚聖貴さん。 https://www.onizukaseiki.com/



 到着したその日は、ものすごい強風だった。私は五島列島のことを殆ど何も知らなかったから、グーグルマップで現在地を確認して、「とんでもない端っこに来たなあ!!」と愉快に思った。


 愛犬パピ(メス・16歳)と共に空港に出迎えてくれた鬼塚さん(以下師匠)は「飄々」という言葉がピッタリのとってもフランクな方。「初めまして」のあいさつを交わし、まずスーパーに寄り何日分かの食料をまとめ買いし、郵便局で私が送った寝袋の入った段ボールを受け取り、一路工房へ。

 空港から1時間弱、山道をぐんぐん登ったり降りたりしながら、高知では見かけない畑の植物や、海に浮かんだ面白い岩や、所何処にある教会などを横目に走る。たどり着いた工房は、なんと海を見下ろす岬のゼロ集落に佇む平屋。古民家は5軒ほど点在しているが今は誰も住んでいない。勿論バスも来なければ、ポストマンも来ない。でも電気は来てるし、水は山の湧水、火は薪ストーブ。右を見ても、左を見ても、美しい海。否応なしにテンション上がる。

 


 到着した日はとりあえず買った野菜と鶏肉で鍋をし、私はシードルを、師匠は日本酒を軽く飲んで早めに就寝。隙間風や雨漏り対策のため、客間にする部屋の中にテントを張ってくれた。ふかふかの敷布団の上に寝袋を重ねて眠る。超快適。

 高知の台風の強風を軽く上回るほどの強風の中、ものすごい音を立てて家が揺れていたが、全く気にならず10時間も寝てしまった。




★ライアー制作1日目
翌日、強風は止んでいた。「風神様のウェルカムライヴだったんだな」などと思いながら、師匠が作ってくれたラーメンを食べて、早速ライアー制作開始。


●板を選ぶ


 ライアーは大概どんな木でも作れるらしいが、師匠は「その土地の木」を大事にする。私は「軽さ」が常に最重要事項なので、この中で一番軽いという「センダン」という木にした。

●デザインを決める


 板の大きさに合わせて、だいたいの範囲を教えてもらい、その中に自由にデザインを描く。楽器の構造上ここは広めに、ここは狭く、などとアドバイスをもらいながら、デザイン完成!

●切る


 電動のこぎりで形に添って切ってもらう。角は丸く落とす。断面も中央が少し凹むように電動の刃物で削る。ホールを開ける。


●内側のデザインを決めて、ノミで削ってゆく


 この辺に丸、ここに葉っぱ、ホールの周りはお日様、などと自由に描いたデザインを、ノミと木槌を使って彫ってゆく。
 デザインの周りを彫って浮き上がらせながら、それ以外の所はなるだけ板を薄くするため中心に向かって深く削る。


 制作初日終了。デザインの粗削りが出来た。ノミと木槌を使うのも初めてだったけど「トントン」という優しい音が楽しくて、7時間没頭。
 鍋を囲み、私は白ワイン、師匠は日本酒を飲む。ギターをかき鳴らし、大声で師匠が歌うジプシーキングスをBGMに、湧水の風呂に浸かり就寝。12時間も寝てしまった。

 

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