こんにちは。

里親歴13年のじゅんこです。

我が家は現在8人家族。
夫、私、長男、次男、三男、双子の娘、そして委託中の里子いっ君。

いっ君はやんちゃ盛りのかわいい5歳の男の子。

もうすぐ我が家に来て3年になります。

そんな彼とのリアルな日常をお伝えしています。

 

いっ君が

乳児院から我が家へ来るまでを

振り返ってきましたが

とうとう最終回です。

 

最終段階の自宅のお泊りを

無事にクリアして

里親委託が決定しました。

 

今回はいっ君の乳児院のお別れの日を振り返ります。

 

 

※前回までの話はこちら

 

 

乳児院では旅立ちの日にお別れ会を開きます。

 

それは、

きちんとお別れすることで

新しい生活が始まることを

子どもが納得するために必要だから

と説明されました。

 

とはいっても

赤ちゃんが多いのでそんなに大々的な内容ではありません。

 

同じグループの職員一人一人から

小物や絵本がプレゼントされます。

嬉しそうに受けとるいっ君。

 

そのあとくす玉が準備されていて

いっ君がひっぱると

中から「いっ君げんきでね」

のメッセージが出てきました。

 

その前で私が簡単な挨拶をしてから

いっ君、担当職員、私、

3人笑顔で写真撮影。

乳児院での写真のアルバムも

いただきました。

 

 

お別れ会はすぐに終わり

職員と子どもが全員外に出て

見送ってくれます。

 

それまで笑顔だったいっ君

いつもと様子が違いすぎて

顔がこわばっています。

 

担当職員が泣きながら

最後のお別れの言葉をかけて

いっ君を車のチャイルドシートに

乗せてくれてました。

 

いっ君大好きな担当職員の涙をみて

泣き出しました。

 

かなり大きな声で泣いていますが

暴れる程ではありません。

 

早く出発した方が良さそうと判断して

挨拶もそこそこに車を出しました。

 

泣きながら手を振る職員の皆さん

大泣きするいっ君

そして、泣きながら運転する私・・・

 

 

いっ君はこのまま

ずっと泣き続けるんだろうなぁ

それは当然のこと!

と覚悟を決め運転に集中する私。

 

最初の角を曲がって

乳児院が見えなくなった

そのとたん

いっ君は泣き止みました。

 

 

いっ君がすべてを受け入れた瞬間

だと感じました。

 

 

しばらくすると車に揺られて寝てしまいました。

 

自宅に到着すると

何事もなかったかのように

すっきり目覚めてご機嫌ないっ君。

 

そんな風にあっけなく

我が家での生活がスタートしました。

 

 

 

今回乳児院でのマッチングを振り返り

当時ずっと感じていた想いが

よみがえってきました。

その気持ちを初告白します。

 

 

乳児院の職員は皆さん

愛情深く、きめ細やかに子どもに対応してます。

その姿を頭が下がる思いで見ていました。

 

子ども達も職員さんが大好き飛び出すハート

お互いが心を許しあう

理想的な関係だなぁ

と感じていました。

 

だから、

マッチング中は自分は一歩引いて

その関係の邪魔にならないように気を遣っていました。

 

いっ君と担当職員も相思相愛の関係。

大好きな担当職員から愛情をたっぷり受けて

何も知らなければ普通の母子に見えるほど。

 

2人の間にある見えない強い絆が

私にははっきりと見えました。

 

 

でも、

里親委託になると二人の理想的な関係が終わります。

 

現状では全く困っていないのに、

むしろ理想的な環境なのに、

それを壊さないといけない現実に

大きな葛藤がありました。

 

原則2歳までしか乳児院で生活できない

そんな大人の都合だけで

私は2人の仲を引き離す存在。

 

自分のしていることって誰のため?

そんな後ろめたい気持ちをずっと持っていました。

 

 

緊急や短期で受け入れてきた里子ちゃん達は

里親のもとで生活したほうがいい事情が明確でした。

 

だから、子どものために

という気持ちで関わることができました。

 

でも、乳児院のマッチングでは

そのような気持ちは全く起こりませんでした。

 

むしろ、

常に申し訳ないような気持ちを抱えていました。

 

 

里親仲間で、乳児院から女児を受け入れた方がいます。

 

マッチング中に外出したとき

女児が泣いてしまった。

と職員に報告したそうです。

 

その職員は女児に

「かわいそうだったね」

と声をかけたそうです。

 

それを聞いた里親仲間は

大きなショックを受けたと聞きました。

 

「私がしていることって、

彼女にとってかわいそうなことなの?」

 

 

私はそれを聞いて深く共感しました。

後ろめたい気持ちを持っている時に

同様のことを言われたら

私もショックを受けていたはずです。

 

 

乳児院のマッチングは

「スモールステップすぎてまどろっこしい!」

と思っていましたが、

壊す必要のない環境を変えるためには

時間が必要なんだと理解できます。

 

ちなみに1歳前の赤ちゃんの場合、

少しでも早く里親さんとの生活を始めるために

マッチング期間はかなり短いそうです。

 

いわゆる物心がついている年齢になると

本人が納得するために

マッチング期間を長めに取って

慎重に対応しているようです。

 

 

社会的養護の子ども達は

大人の都合で生活環境が大きく変わります。

 

そして、

子どもの意志とは関係なく

今回のように生活の場所が変わるケースがほとんどです。

 

 

マッチングを丁寧の進めてきたことで

いっ君は全てを受け入れることができました。

 

私はその瞬間に立ち会っていたのです。

 

 

マッチングとは

子どもが納得するための時間

だったのです。

 

 

マッチングを振り返ることで

当時は持っていなかった視点に気付きました。

 

 

今回で本当に最終回です。

最後まで読んでくださりありがとうございました。