それからも4人でちょくちょく遊んだ。


会えば会うほど有坂さんは良い人だったし魅力的で
もし俺が美香ちゃんの事を好きじゃなかったら
きっと憧れてたと思う。


また


「好きな人には幸せで居て欲しい」


って言う気持ちがあり
そういう意味では有坂さんと付き合ってる事は
望むべき事だったのかも知れない。。。


そんなある日


「ちょっと男二人で話があるんだけど」


と有坂さんに言われ初めて二人で会った。


「ね~ 花山君はもしかして美香の事好きなのかな?」


と聞く有坂さん。


なんて答えて良いのか分からずしばらく迷ってから


「好きですけど・・・


でも有坂さんと会うまでは好きでどうにかしたかったけど
今は有坂さんと付き合ってる美香ちゃんを見てるのが好きで
どうにかしたい訳じゃありません」


と割と素直な気持ちを言った。


「そっか 素直に答えてくれてありがとう」


そう言ってから有坂さんはしばらく黙り


「実はね 俺来月からオーストラリアに行く事になったんだ。


勉強の為になんだけど前から会社にもお願いしてて
それが認められたんだ。
奥さんとも無事離婚が決まってさ。


しばらくはずっとオーストラリアに居る事になる。
美香とも別れる予定なんだ。


だから美香の事よろしく頼む」


と言った。


これを聞いた時俺の中に沸いた感情は怒りでした。


「有坂さんは美香の事好きじゃないんですか?


好きだったら遠距離だって付き合えるでしょ?」


そう言う俺に


「こう言うと怒られると思うけど
俺の中で美香は奥さんや子供と離れた寂しさを紛らわしてくれる
そんな存在だったんだと思う。


今の俺は日本に何も残さず一から全てをやりたいんだ」


と言った。


何を言って良いのか分からなかった。


「俺には何も出来ません。


でも有坂さんがそう決めたならどうしようもないですよね」


それだけ言うのが必死だった。


それから数日後美香ちゃんは有坂さんから別れを言われた。

その後調子に乗って飲み気付けば最終電車の時間を過ぎていた。


「うちに泊まっていけばいいよ」


と言う有坂さん。


「一人暮らししてるんだ~」


と思いなんとなくその時点で負けた気がした。


自分の家は居心地が悪い家で
俺は昔から一人暮らしをするのが夢だった。


しかしまともに金も溜まらず俺は実家に居た。


車中有坂さんが


「さっちゃん(石井)と花山君は付き合ってるの?」


と悪気もなく聞いてきた。


「いや 友達ですよ」


と言いながらも


「俺は所詮石井とお似合いなのかな」


なんて石井に対して失礼な事を思った。


途中のコンビニで夜食を買い有坂さんが住むマンションへ。


「アイリ~」


と美香ちゃんが呼ぶと一匹の猫が寄ってきた。


「いつもこのマンションに着てるんだ」


と思った。


部屋を眺めると子供が書いた絵などがあった。


この日は結局聞けなかったけど次の日石井から
有坂さんは奥さんと別居中で子供が居る事も知った。


普通なら


「不倫かよ」


って感じで嫌悪感が出るのかも知れないけど
俺の中では


「結婚もして若い彼女も居て凄いな」


と、言う敗北感しかなかった。


次の日駅まで送る前に有坂さんは仕事があり
その職場に俺達は行った。


美香ちゃんはこの職場でアルバイトをしており
慣れた手つきで有坂さんの手伝いをしていた。


帰り道


「もう仕事終わったから良かったら花山君ちまで
送って行くよ」


と有坂さんが言った。


「そうしてもらえばいいじゃん」


と言う石井と美香ちゃん。


「いや 駅で良いです 途中ちょっと寄りたいとこもあるし」


きっと顔が引きつってたと思う。


もうこれ以上敗北感を味わいたくなかったし
笑っていられる余裕は無さそうだった。


「色々とありがとうございました」


と有坂さんに頭を下げ車を降りた。


しばらくは電車に乗る気分にもなれず
俺は駅前のベンチに座り昨日から今日にかけての一日を
思い返した。


全てにおいて完敗。
それが自分の中で出た答えだった。

通信制と言えども一応文化祭があったんです。
とは言っても強制参加ではなく
行けば出席単位が1貰えるみたいな感じで
何かを用意するとかそういうのは無かったんですが。


最初は行かない様にと思ってたんですけど石井から


「美香の彼氏が来てその後飲むんだけど花山は来る?」


とか誘われて。


普通好きで振られた相手の彼氏になんて会いたくないんですが


「ここで行かないと美香の彼氏に会いたくないから来ないんだ」


と石井や美香ちゃんに思われそうだし
更に美香ちゃんの彼氏がどんな奴か観てみたかったのもあって
行く事にした。


美香ちゃんの彼氏は少し遅れるって事で
三人で文化祭を観て廻ってたんですが
彼氏との待ち合わせ時間を気にしてか
チラチラと時計を見る美香ちゃんを見ては切ない気持ちになった。


待ち合わせのお昼ピッタリに
彼氏は車で登場した。


自分は昔車の免許を取ろうと合宿に行ったんですが
途中で挫折したコンプレックスがあり
車を運転する人を格好良いと思ってたし
今でもそれは多少あります。


見た目はボクシングの畑山が眼鏡をかけた時みたいな感じで
凄い格好良い訳ではないけど格好悪い訳ではないと言う感じ。


隣の駅で飲む事になり車に乗せてもらったのですが
当然の様に慣れた仕草で美香ちゃんは助手席に座り
石井と俺は後に乗った。


石井も美香ちゃんの彼氏とは何度か会ってた様で
親しげに喋っていた。


隣の駅のパーキングに車を停めると美香ちゃんが


「ちょっと買い物をしたいんだけど」


と。


彼氏が


「じゃ~ 女二人で行ってくれば?

俺達は二人で時間潰してるよ

それでいいかな?」


と俺に聞いてきた。


「はい いいですよ」


と答え美香ちゃん達を送った。


「女の買い物って長いし着いてくの大変なんだよね~」


と言う彼氏に


「俺なら苦痛にならないのに」


と思いながらも


「そうですね~」


とファミニストならではの愛想笑いで合わせた。


「花山君はスロットが上手いんでしょ?」


美香ちゃんか石井に聞いたらしい。


「二人で居る時に俺の会話が出てるのかな?


そうだったら良いのに」


なんて思いながら二人でスロットをしに行った。


結局俺は一度も当たらず彼氏は二度当たって
俺がそれを目押しして揃えてあげて。


「やっぱり上手いね~ さすがだね~」


と褒められたが、自分が出ずに彼氏が出た事が悔しかった。


スロット店を出ると


「はい これ」


と換金額の半分を俺に渡す彼氏。


「いや いいですよ」


と断ると


「いやいや もし花山君が居なかったら揃えられなかったし
当たった事にも気付かなかったし」


と笑った。


その後も居酒屋で俺がわさびをつけて刺身を食べると


「俺ワサビ駄目なんだよね~」


と言うので


「意外と子供のとこもあるんだな~」


と思いながら


「俺は大好きなんでこれ全部そのままでもいけますよ」


なんて山になってるワサビを指差すと


「ほんとに~~ それやったら5000円あげてもいいよ」


と笑いながら言った。


俺が食べると


「いや~ まじ凄い」


と5000円を渡すので


「いやいや こんなので貰えないっすよ」


と言うと


「ほんとに感動したからさ~」


と結局5000円を貰った。


当時俺はバイトもろくにしてなくお金がなく19歳。


一方彼氏は28歳で普通に働いていた。


だから当然金銭面では相手にならず


「凄いよ~」


と褒めながら金を簡単に渡せる彼氏を格好良く感じたし


「ほんとに格好良いのは余裕のあるあなただよ」


って思って敗北感に襲われた。


何にしろ余裕のある人って格好良いし魅力的ですよね。


石井の告白を断ってからしばらくして
三人で会う事が少なくなりました。


何故か石井と二人で遊ぶ事が増え
そこに美香ちゃんが参加する事は少なくなり
通信制の奴らにも


「二人は付き合ってるの?」


などと聞かれる様になった。


俺は最初


「石井が美香ちゃんに俺と会わない様に言ってるのかな?」


とか


「これまでは石井が美香ちゃんに頼んで俺を誘い
3人で遊んでて俺が石井を振った事で
用は無くなったと思ったのかな」


などと考えてました。


しかしある日石井から


「美香彼氏が出来たんだよ」


と言われた。


最初は石井が嘘をついたのかと思った。


俺は美香ちゃんに電話をし


「話したい事がある」


と話した。


「実はさ 初めて教室で出会った時から美香ちゃんの事が
好きだったんだ」


と俺は言った。


実際のところは彼氏の存在を聞かされ
嫉妬をしただけだったのかも知れない。


美香ちゃんは


「えっ? 私花山君は幸の事が好きだと思ってた・・・」


とビックリしていた。


石井は俺に告白した事もフラれた事も美香ちゃんには
言ってなかったのだ。


「いや 石井はただの友達としてしか思ってないよ」


と言う俺に


「そうだったんだ・・・

もっと早く言ってくれれば・・・

私彼氏が出来たんだ」


と美香ちゃんは言った。


「そっか 彼氏の事好きなんでしょ?」


「うん」


その言葉を聞き


「わかった これからも友達としてよろしく

おめでとう」


と言った。


プライドの高い俺はショックで落ち込む姿を
好きな相手にも見せたくなかった。


また好きだからこそ友達としてでも繋がってたかった。


そして何より折角出来た女友達を失いたくかった。


こうして生まれて初めて告白をして失恋をした。

その後も毎日の様に石井や美香ちゃんと遊んだのですが
ある日居酒屋で飲んでた時に飴が食べたくなり
コンビニへ行きました。


すると石井が


「一緒に行く」


と言い出し二人で行く事になりました。


無事飴を買い終わり居酒屋に戻ろうとすると


「ちょっと話したい事がある」


と。


それは結局俺の事が好きだと言う告白だった。


小学校で一度・そして書く事も忘れましたが
中学の時に一度告白をされたんですが
小・中学校の告白とはなんとも違う気持ちになりました。


子供の頃は告白って言ったって
俺達の時代では軽く一緒に何処か行く位。


でも大人になってからの告白って言うのは
ほんと恋人って感じで付き合う物ですよね。


ただ自分は石井の事が顔的にも
性格的にもあまり好きじゃなかったんです。


自分も人の事を言えたギリじゃないけど
それでもと言うかだからこそ色々と求めます。


前TVで光浦靖子だっけ?が言ってましたが


「ブスの子ほど性格が悪い」


と言う理論。


全てに当て嵌まる訳じゃないけど
俺には当て嵌まりました。


自分は顔で言うと普通よりやや不細工位だと
客観的に判断してます。


しかしそのレベル以上に自分の顔や外見には
コンプレックスがあります。


だからこそ


「どうやったら自分が好かれるか」


と言うのを日々考え
それが光浦理論に当て嵌まるんじゃないかなと思う。


また例えば自分にあるのは太ってる時期が長いので
自分同様太ってる女性が嫌だ。


「太ってる事が醜い」


と考えてるから女性を観る時もそう思ってしまう。


また以前身長が160cmほどの男が


「バレーボール選手みたいのがタイプ」


って言ってたり凄くイケメンの奴が
ブスな女の子と付き合ったり。


「ない物強請り」


ってやつだと思うんですよね~。


自分に無いものを相手に求めるし
自分が持ってないものを持ってる人は魅力的みたいな。


この時居た8人の男性の中で
俺は恐らく5~6番手の顔だったと思う。


それでも石井が好きになってくれたのは
俺が普段演じてる性格だったのかも知れないし
振る舞いだったかも知れない。


またもしかしたら


「花山位だったら付き合えるかも知れない」


と言う妥協の産物だったかも知れない。


とかって言うと歪んでますかね^^;


まぁ しかし俺の中では石井の顔や外見もタイプじゃなかったし
普段見せる姐御肌的な性格も好きじゃなかった。


ただ


「好きじゃない」


とは言えず


「ごめん 俺は美香ちゃんの事が好きだから」


と言い断った。


石井は泣きながらも


「いつから美香の事が好きだったの?」


と聞いた。


実際のところ確かに美香ちゃんは石井よりはタイプで
よく遊ぶ女性が二人しか居なかったから
その中では美香ちゃんが良かった。


そういうのってありますよね?


「このクラスの中ではこの子が魅力的」


「この会社の中ではこの子が魅力的」


「今日の合コンメンツの中ではこの子が・・・」


ある意味皆こんな狭い視野の中で一人を選び
恋人になり結婚をする。


そういう意味ではほとんどの場合最初は妥協の産物で
その後どんどん好きになり妥協じゃなくなる。


「初めて会った時に可愛いと思ってヒトメボレ」


と俺は答えた。


「そっか じゃ これから応援する」


と言う石井にお礼を言ったが
これまで美香ちゃんと付き合いたいとは思った事はなかった。


しかし石井に


「美香ちゃんが好きだ」


と告げた事により妙に意識し始める様になった。