通信制と言えども一応文化祭があったんです。
とは言っても強制参加ではなく
行けば出席単位が1貰えるみたいな感じで
何かを用意するとかそういうのは無かったんですが。
最初は行かない様にと思ってたんですけど石井から
「美香の彼氏が来てその後飲むんだけど花山は来る?」
とか誘われて。
普通好きで振られた相手の彼氏になんて会いたくないんですが
「ここで行かないと美香の彼氏に会いたくないから来ないんだ」
と石井や美香ちゃんに思われそうだし
更に美香ちゃんの彼氏がどんな奴か観てみたかったのもあって
行く事にした。
美香ちゃんの彼氏は少し遅れるって事で
三人で文化祭を観て廻ってたんですが
彼氏との待ち合わせ時間を気にしてか
チラチラと時計を見る美香ちゃんを見ては切ない気持ちになった。
待ち合わせのお昼ピッタリに
彼氏は車で登場した。
自分は昔車の免許を取ろうと合宿に行ったんですが
途中で挫折したコンプレックスがあり
車を運転する人を格好良いと思ってたし
今でもそれは多少あります。
見た目はボクシングの畑山が眼鏡をかけた時みたいな感じで
凄い格好良い訳ではないけど格好悪い訳ではないと言う感じ。
隣の駅で飲む事になり車に乗せてもらったのですが
当然の様に慣れた仕草で美香ちゃんは助手席に座り
石井と俺は後に乗った。
石井も美香ちゃんの彼氏とは何度か会ってた様で
親しげに喋っていた。
隣の駅のパーキングに車を停めると美香ちゃんが
「ちょっと買い物をしたいんだけど」
と。
彼氏が
「じゃ~ 女二人で行ってくれば?
俺達は二人で時間潰してるよ
それでいいかな?」
と俺に聞いてきた。
「はい いいですよ」
と答え美香ちゃん達を送った。
「女の買い物って長いし着いてくの大変なんだよね~」
と言う彼氏に
「俺なら苦痛にならないのに」
と思いながらも
「そうですね~」
とファミニストならではの愛想笑いで合わせた。
「花山君はスロットが上手いんでしょ?」
美香ちゃんか石井に聞いたらしい。
「二人で居る時に俺の会話が出てるのかな?
そうだったら良いのに」
なんて思いながら二人でスロットをしに行った。
結局俺は一度も当たらず彼氏は二度当たって
俺がそれを目押しして揃えてあげて。
「やっぱり上手いね~ さすがだね~」
と褒められたが、自分が出ずに彼氏が出た事が悔しかった。
スロット店を出ると
「はい これ」
と換金額の半分を俺に渡す彼氏。
「いや いいですよ」
と断ると
「いやいや もし花山君が居なかったら揃えられなかったし
当たった事にも気付かなかったし」
と笑った。
その後も居酒屋で俺がわさびをつけて刺身を食べると
「俺ワサビ駄目なんだよね~」
と言うので
「意外と子供のとこもあるんだな~」
と思いながら
「俺は大好きなんでこれ全部そのままでもいけますよ」
なんて山になってるワサビを指差すと
「ほんとに~~ それやったら5000円あげてもいいよ」
と笑いながら言った。
俺が食べると
「いや~ まじ凄い」
と5000円を渡すので
「いやいや こんなので貰えないっすよ」
と言うと
「ほんとに感動したからさ~」
と結局5000円を貰った。
当時俺はバイトもろくにしてなくお金がなく19歳。
一方彼氏は28歳で普通に働いていた。
だから当然金銭面では相手にならず
「凄いよ~」
と褒めながら金を簡単に渡せる彼氏を格好良く感じたし
「ほんとに格好良いのは余裕のあるあなただよ」
って思って敗北感に襲われた。
何にしろ余裕のある人って格好良いし魅力的ですよね。