その後調子に乗って飲み気付けば最終電車の時間を過ぎていた。


「うちに泊まっていけばいいよ」


と言う有坂さん。


「一人暮らししてるんだ~」


と思いなんとなくその時点で負けた気がした。


自分の家は居心地が悪い家で
俺は昔から一人暮らしをするのが夢だった。


しかしまともに金も溜まらず俺は実家に居た。


車中有坂さんが


「さっちゃん(石井)と花山君は付き合ってるの?」


と悪気もなく聞いてきた。


「いや 友達ですよ」


と言いながらも


「俺は所詮石井とお似合いなのかな」


なんて石井に対して失礼な事を思った。


途中のコンビニで夜食を買い有坂さんが住むマンションへ。


「アイリ~」


と美香ちゃんが呼ぶと一匹の猫が寄ってきた。


「いつもこのマンションに着てるんだ」


と思った。


部屋を眺めると子供が書いた絵などがあった。


この日は結局聞けなかったけど次の日石井から
有坂さんは奥さんと別居中で子供が居る事も知った。


普通なら


「不倫かよ」


って感じで嫌悪感が出るのかも知れないけど
俺の中では


「結婚もして若い彼女も居て凄いな」


と、言う敗北感しかなかった。


次の日駅まで送る前に有坂さんは仕事があり
その職場に俺達は行った。


美香ちゃんはこの職場でアルバイトをしており
慣れた手つきで有坂さんの手伝いをしていた。


帰り道


「もう仕事終わったから良かったら花山君ちまで
送って行くよ」


と有坂さんが言った。


「そうしてもらえばいいじゃん」


と言う石井と美香ちゃん。


「いや 駅で良いです 途中ちょっと寄りたいとこもあるし」


きっと顔が引きつってたと思う。


もうこれ以上敗北感を味わいたくなかったし
笑っていられる余裕は無さそうだった。


「色々とありがとうございました」


と有坂さんに頭を下げ車を降りた。


しばらくは電車に乗る気分にもなれず
俺は駅前のベンチに座り昨日から今日にかけての一日を
思い返した。


全てにおいて完敗。
それが自分の中で出た答えだった。