何十人もの里子と養子を育てた夫婦
私たちの教会に、ガーナーさんと言う夫妻がいます。二人とも二十歳で結婚して、今年で結婚30周年です。二人は、大の日本好きで、日本で仕事が見つかれば、今すぐにでも引っ越したいと思っているほどです。英語の先生の仕事でもあれば、紹介してあげてください。
この二人は、カトリック・チャリティーと言うキリスト教慈善団体で仕事をしています。頭が良くて修士号を持っている奥さんのバーバラさんは、行動上問題のある少年達の先生をしています。背が高くて頭を剃っているご主人のグレッグさんは、グループ・ホームで6人の青年の世話をしています。グループ・ホームとは、問題のある家庭から里子に出された子供達が18歳になると、里親の家を出なければならなくなるのですが、すぐに自立できないので、ガーナーさんたちの家に一緒に住んで、自立できるようになるまで世話をしてもらうのです。
里子に出された子供達は、何かと問題を抱えている子が多いので、一軒の家に6人もいると、トラブルが絶えません。今いっしょに住んでいる青年の一人は、少し知的障害があり、自立できる見通しは立ちません。彼は、以前、ガーナーさんたちが里親の仕事をしていたときに里子として彼らの家に住んでいたのですが、18歳になって出て行かなくてはならなくなりました。トイレが共用で、台所もないような粗末なアパートに住んでいたのですが、ガーナーさんたちは、無報酬で毎週のように訪ねて行って世話をしてあげました。ガーナーさんが里親を止めてグループ・ホームを始めたので、また戻ってくることができたのですが、何日も風呂に入らなくて悪臭を放ち、いつも文句ばかり言っているこの子のために、よくもあれだけしてあげられるものだと感心します。この子は、最近、警備員の仕事に就くことができました。続けられることを祈っています。
彼らは、二人の里子を養子にしました。普通、里子を養子にすることはできないことが多いらしいのですが、彼らは、二人の間に子供ができないことを知って、面倒を見た何十人もの子供の中から、二人を養子にすることができたのです。一人は、マルファン症候群と言う遺伝性の病気があり、その上知的障害があるので、仕事に就くことができません。この症候群の人は、心臓が悪くなって30歳前後で亡くなる人が多いのですが、彼も心臓が良くないので、そのときが来るのも、そう遠くないかもしれません。もう一人は、小学生のときに養子にした黒人青年で、当時から問題が多く、大人になってからはほとんど刑務所暮らしです。
周りから見れば、これほど報われない、大変な生活はないかもしれませんが、自分よりも大切なものがある人生・・・。それこそ、本当に幸せな人生です。
アフガニスタンでボランティアをしたAさん
以前、私たちの教会に来ていたAさんは、ボランティアとしてアフガニスタンに行きました。今はもう日本に帰りましたが、そのNGOのほかのボランティアたちの安全のために、具体的なことは伏せておきます。Aさんは、元々医療関係の仕事をしていたので、その技術を生かして、アフガニスタン人の教育に携わったわけです。
実は、このNPOはクリスチャンの団体なのですが、アフガニスタンでは、キリスト教に改宗することは違法で、死刑にもなりかねません。数年前、キリスト教に改宗したアフガニスタン人に死刑判決が下り、世界の世論で何とか彼を国外脱出させることができたのを覚えていらっしゃる方もいるかと思います。ですから、Aさんは公にキリスト教について語ることはできません。実際、アフガニスタン人が今までの自分の国の伝統以外のものに触れて、自分達の知らない世界のことに対して少しでも心を開くようになることを助ける程度のことしか、Aさんにはできなかったようです。911のことも、誰も知らなかったそうです。
Aさんからアフガニスタンの生活の様子を聞いていると、驚くことばかりでした。赤ちゃんは動かないようにミイラのように布で覆って、体の形に彫ったくぼみに寝かせ、泣いてうるさいとオピウムを吸わせるのだそうです。生まれてきた赤ちゃんが呼吸をしないと、大きな中華なべのようなものを熱して、新生児の上にかぶせるのだそうです。それでも息をしない場合はあきらめるのだそうですが、口の中に指を入れて中の物を取るように教えても、誰もそんなことはしません。一度、実際に呼吸をしていなかった赤ちゃんを助けて、初めて信じてくれたそうです。
40歳以上の女性は、何を教えても学習能力がないそうです。長い間吸ってきたオピウムのせいなのか、それとも長い戦争のトラウマのせいなのかは、分からないそうです。しかたがないので、40歳以上の女性は授業に参加するのを断るようにしたそうです。
Aさんは、アフガニスタンから帰ってきて、どうしてもアフガニスタン人を好きになることができなかったと言っていました。少し仲良くなると、必ず、アフガニスタン人は信用するなと忠告されるのだそうです。同じ国民同士でも、お互いに信頼できない、まさに暗黒の世界です。
Aさんは、数年のアフガニスタンでの生活を終えて帰ってきて、あまり何かをしたと言う達成感はなさそうでしたが、Aさんのような人の犠牲の積み重ねによって、世界は少しずつ変わって行くのかもしれません。Aさんは、アフガニスタン人を好きになることはできなかったかもしれませんが、彼らを愛することはできたと思います。
自動車保険が献金を払ってくれる?
ある日、ハワイでホームステイをしていたある日本人女性をステイ先に送る途中で、小さな事故に会いました。交差点で信号が青になるのを待っていたとき、後ろの車に軽く追突されたのです。振り返ってみると、老夫婦が決まり悪そうに眼をそらしていました。多分、いったん止まった後で、足をブレーキからはずし、車がゆっくり前に動き出したのに気がつかなかったのでしょう。私の車は人からもらったポンコツ車で、バンパーに少々傷ができたくらいで騒ぐほどのものではなかったので、私はそのまま走り出しました。
ところが後になって、その女性が、腰が痛いと言い始めたのです。ちょっとこつんと当てられただけなのに、私は信じられませんでしたが、元々腰が悪かったのだそうです。病院に連れて行ってあげて、簡単な治療をしてもらいましたが、この方は健康保険がありませんでしたので、治療代はかなりの額になりました。ハワイでは、裁判の数を減らすために、被害が一定額以上でなければ、どちらの責任であるかに関わらず、被害を受けた人の保険が補償してくれることになっていますので、あの老夫婦を探し当てるまでもなく、私の自動車保険が治療費を出してくれました。
治療費を払い戻してもらうために保険会社の書類を準備していたときに、非常に興味深いことを発見しました。もしこの女性が、怪我が早く直るように教会で祈ってもらった場合、そしてそのお礼として献金をした場合、その額を払い戻してくれるのだそうです。通常、教会で祈ってもらったお礼に献金すると言うことはありませんが、その祈りが聞かれて、予想よりずっと早く直るようなことがあれば、お礼に献金をするということもあるかもしれません。
この保険会社は、いつもテレビで宣伝をしているような大きな会社で、公務員はリスクが低いだろうと言うことで、元々、国家公務員のみに保険を出していた営利目的の会社です。その保険会社が、なぜ献金を払い戻してくれるのか、いろいろ考えて見ましたが、思いつく答は一つしかありませんでした。それは、祈りが実際に聞かれると言うことです。
アメリカ人は統計が大好きです。アメリカには、ありとあらゆる統計があります。1980年代くらいに、祈りが本当に聞かれるのかどうか、多くの調査が行われるようになりました。当時私はセントルイスに住んでいましたが、そこでもこのような調査が行われ、その結果を地元のテレビ局がニュースで紹介したことがあります。方法は至って簡単で、モルモットの背中の皮を同じ面積はぎ、地域の教会の牧師に頼んで、早く直るようにその半分のために祈ってもらい、祈ってもらったモルモットと祈ってもらわなかったモルモットの直り方の速さを比べたのです。具体的な数値は覚えていませんが、その違いは一目瞭然でした。
最近、うちにホームステイしていた女の子をあるクリニックに連れて行ってあげたとき、私は待合室でリーダーズ・ダイジェスト(アメリカの雑誌で、宗教的なものではありません)を読んでいました。それにも、病院で行われた多くの調査結果が載っていて、祈られている患者さんの方がずっと回復が早いことが証明されていました。保険会社のような営利団体が祈りのためならお金を払っても良いと考えるのは、その効果が実証されているからとしか説明のしようがありません。
皆さんも祈ってみてください。聞かれなかったとしても、ほんの数分の時間を無駄にしただけです。いや、かなえられないことはあっても、神は必ず皆さんの祈りを聞いておられます。神とは、概念的に理解する対象ではなく、個人的に出会う方です。