読書日記 -4ページ目

読書日記

自分用の読書備忘録。
なので、よほどのことが無い限り画像とか一切無いです。
そしてアップはけっこう遅延しがち。

9月に読んだ本は3冊(図書館本3冊)でした。
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<満足度> ★★★ オススメ  ★★ 面白い  ★ 収穫少なめ 

 

メモ敗軍の名将』 古谷 経衡 (幻冬舎新書 2021.9)

【満足度】★★★
【概要・感想】想像以上に面白かった!太平洋戦争中の名将として取り上げている人物は4人。インパール作戦に従軍した佐藤幸徳中将、そして佐藤配下の第58連隊を指揮する宮崎繁三郎少将。沖縄戦における「戦略持久」を立案、実行した八原博通大佐。さらに自部隊から特攻隊を出さず、海軍幹部を前に堂々と正論を言ってのけた29歳の美濃部大佐。インパール作戦の
牟田口司令官の指示を聞かず、独自撤退した佐藤師団長が手負いの部下を励ましながら「白骨街道」を進んだ話など同調圧力や上司の理不尽な要求に正論で抵抗し、合理的な精神を貫いた指揮官たちから得られる教訓を発掘。著者は実際に戦地へ足を運んで取材しており、若干、紀行文的な内容もあり、それがかえってリアルに捉えることの一助となりました。
【ポイント】
*この作戦構想に絶対反対の姿勢を崩さなかった筆頭は、第15軍参謀長小畑信良少将

 であった。基本的に参謀長は総司令官を補佐するナンバー2で、軍の意思決定に重大な

 影響を与える。小畑少将は当時の日本軍には珍しい補給の権威であった。(p.80)

*東京の大本営とも連絡を取り、牟田口とも直接会話(説得)のできた稲田副長(※総参謀

 副長)が南方軍からいなくなったことで、もはやインパール作戦を止める実力者はいなく

 なってしまった。(p.84)

*佐藤中将率いる第31師団は、インパール作戦の中でも最もインド奥地に進出した部隊(p.91)
*インパール作戦を前線で実行する3個師団の師団長の中でこの作戦に最も苛烈に反対して

 いたのは一番南を行く第33師団の柳田中将だった。(p.93)

*宮崎連隊はただ1個だけ、インパール作戦の最後の最後まで食料問題は起こらず、兵士

 たちはただの一兵も餓死をしないで済んだ(p.124)

 ⇒現地人の協力が最も重要と理解し、食料の収奪等日本軍の行動を戒めた

*参謀本部とは、陸軍の作戦を立案する実務上のトップ =中略= 軍令部とは海軍の作戦を

 立案する実務上のトップ =中略= トップの役職は、参謀総長、軍令部総長 (p.148)

*沖縄戦時の日本軍の指揮系統(p.176)

 台湾方面軍(第10方面軍)-第32軍-第9(転出)・24・28・62師団-その他5個旅団
*美濃部率いる芙蓉部隊だけが、夜戦専門の航空部隊として特攻に頼らない独自の戦法を

 考案した。(p.235)

 

メモ史伝 北条政子』 山本 みなみ(NHK出版新書 2022.5)

【満足度】★★
【概要・感想】 政治家としての北条政子に焦点を当てた1冊。同時代を生きた牧の方などにも触れ、鎌倉時代の女性についての考察もあります。政子を軸に書かれているため、ちょうど頼朝の挙兵直前から死去に至るまでと、大河ドラマとドンピシャの内容。

【ポイント】
*平安後期頃より、後家は次に家長への中継ぎとして亡き夫の持つ家長権を代行し、子どもたち

 を監督する権限をもった。(p.33)

 ⇒忠盛の後家である池禅尼が清盛に、政子が頼家や実朝に意見し、政治に関われた

*中世では =中略= 夫を失った女性たちには再婚と、後家(夫の遺領相続)という二つの

 選択肢があった(p.84 要約)

*実朝は、鎌倉殿就任と同時に征夷大将軍となった初例 =中略= 以後、これが通例化(p.126)

 

本『指揮官たちの第二次大戦』 大木 毅(新潮選書 2022.5)

【満足度】★

【概要・感想】2021年に月刊誌で連載されたコラムに書き下ろしを加えて再構築した本。日本軍の他に各国含め12名の指揮官が登場します。一人につき20ページほど割いているのですが、なにぶんヨーロッパ戦線は、戦史も人物もさっぱり詳しくないため(世界の戦史を知ってる人には平易なのかも)、理解が追いつきませんでした。日本軍の南雲忠一大将、山口多聞中将、インパール作戦の相手だったスリム司令官の章は興味深かったです。

【ポイント】
*「水雷屋」南雲が、まったく畑違いの航空戦部隊の指揮官に任ぜられた(p.16)

 ⇒年功序列を原則とする海軍人事の硬直性が作用した

*「プリンス・オヴ・ウェールズ」のリーチ艦長のみならず、東洋艦隊司令長官である

 フィリップ提督までも、死して責任を取ったという「神話」は、日本海軍の司令、司令官、

 ついには司令長官を死に駆りたてた。(p.93)

 ⇒艦長が乗艦と沈むのが定法としても司令官や司令長官が自死をとげる必要はなかった。

8月に読んだ本は3冊(図書館本2冊・購入1冊)でした。

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<満足度> ★★★ オススメ  ★★ 面白い  ★ 収穫少なめ 

 

クリップやわらかい頭の作り方』 細谷 功(筑摩書房 2015.3)

【満足度】★★★
【概要・感想】今年読んだ本でナンバー1候補。本書は2013年から1年間「Webちくま」に連載した記事を加筆訂正し、新作を加えた内容。
ヨシタケシンスケさんの挿絵も本書の雰囲気にとてもマッチしています。コラムをまとめた割には体系化されていて、細谷氏の著書の中で1番わかりやすかった。思考のクセ・具体と抽象がキーワードになるのかな。問題解決よりも問題の設定や認識が一番難しい。つまり、自分はやわらかい頭じゃないかもと気づかないと本書を手に取らないし、手に取る時点でむしろまだやわらかい方。本書にもあるように、結局いろんな視点があることに気付くか、気付かないかが本質的な問題なのかも。

【ポイント】
*個別の行動への対応策を考えるのも重要ですが、本当に必要な「思考回路の転換」を一緒に

 考える(p.18)

*「遠くのもの同士」を結びつけるほど、価値あるアイデアになる可能性が高くなってきます(p.30)
*物事は一方的に良いとか悪いとかいうことはなく、=中略= 「どういう場合に正しいと

 言えるのか?」=中略= といった前提条件を、セットで読み取ることが重要(p.102)
*「頭をやわらかくする」のに最も重要かつ難しいことは =中略= 「まず頭の柔軟性がない

 自分を認識する」こと(p.186)

 

メモ北条氏の時代』 本郷 和人(文春新書 2021.11)

【満足度】★★
【概要・感想】北条氏のリーダー(北条時政⇒義時⇒泰時・・・・高時)を見ていくことで、鎌倉時代を通史で捉えようというのが本書です。 時政以降、執権は16代まで続きますが、泰時までの3代で本書の半分強を割いています。一応、時頼の時代くらいまでは理解できましたが、時宗の時代以降は似たような名前の登場人物に桑江、天皇家も分裂したりともう訳がわからなくなり・・・宝治合戦、霜月騒動などはまた類書で順番に勉強していこうと思います。 

【ポイント】
*頼朝と彼に従う武士たちがやろうとしたのは、朝廷の論理に依存することなく、あくまで頼朝

 を中心に、関東武士独自のルールに基づいた世界をつくること。(p.32)

 ⇒関東武士には土地など権利保障で結束固め、朝廷には東国武士の自立を認めるよう交渉

*御家人にとって最も大事なのが地頭になること(p.37)

 ⇒地頭:荘園の管理人。徴税やトラブル対策を請け負う用心棒
*守護(p.37)

 ⇒鎌倉時代の守護はその国ナンバー1の御家人で、まとめ役程度。幕府の私的な役職。
*土地の分配を仕切ることこそ、武士のリーダーであるあかしです。(p.70)

 ⇒比企氏滅亡後、その役割を将軍ではなく北条氏が担った。事実上の北条氏の政権

*泰時こそ、関東武士で初めて本格的に政治というものを行った人物(p.166)
 ⇒京都長期滞在時に朝廷の政治手法を学び、学僧・明恵と交流。連署制度確立。

*北条泰時の時代には三浦氏が、経時・時頼時代は安達氏が最大の外戚として存在感を

 示すようになります。(p.180)

 

メモ日本の近代建築ベスト50』 小川 格(新潮新書 2022.1) 

【満足度】★★
【概要・感想】著者は「新建築」の元・編集者。主観で選んだ近代建築のベスト50を竣工順で挙げ、ひとつの建築(白黒写真付)あたり4ページの解説となっています。昭和の建築のウエイトが大きい構成で、32番目が槇文彦設計のヒルズサイドテラスで、そこからがようやく70年代以降竣工の建築で、ラストが十和田市現美。全編を通して、旧き良き王道の建築が多かったです。

【ポイント】
*コルビュジエのアトリエに入門した建築家としては、坂倉のほか、前川國男、吉阪隆正が、

 よく知られているが、坂倉が最も長く、気心の知れた間柄になっていた。(p.36)

*菊竹ほど多くの建築家を育てた建築家は他にいない。(p.110)

昨年の7月に読んだ本は7冊(図書館本6冊・購入1冊)でした。
またもや遅れが生じていますが、粛々とアップ。


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<満足度> ★★★ オススメ  ★★ 面白い  ★ 収穫少なめ 

 

メモ脳科学が明かした!結果が出る最強の勉強法』 星 友啓(光文社 2021.7)

【満足度】★★

【概要・感想】最先端科学(主に脳科学や心理学)のエビデンスに基づいた最強の勉強法。やみくもに勉強し始めるより、まず学びに関する脳科学の知識を身につけ、最も効果的な勉強法を自分の学習に取り入れるのが効率的かと。勉強法で一番効果的なのは「テスト」と「インターバル」とのこと。普通だな・・・と思いましたが、重要なのはその理由。その肝となっているのは「リトリーバル効果」というものだそうです。単語帳、マスキングなどでも実証済みですが、要は、回答をすぐ見ずに自分の記憶だけで思い出そうとすることが大事で、それを間隔を空けて繰り返すことで記憶に定着しやすくなる、と。勉強前に何を学ぶか?など目的をはっきりさせ、勉強途中にはブレインダンプ+自信度○△×のチェック、勉強後には反省と、これで完璧! 特殊な勉強法は紹介されていませんでしたが、勉強法の根拠を知ることで安心して進めていけると思います。
【ポイント】
*エピソード記憶として学んだことは、いったん、脳の海馬を介して記憶され、眠っている間に

 「再放映」。その結果、意味記憶として長期記憶される。(p.74)

*話を聞きながらのノート取りは、ワーキングメモリへの負荷を非常に大きくすることが知ら

 れています。(p.85)
 ⇒教える側:ノート取りの負担を減らす・話を聞く時間とノートの時間を交互に。

*勉強は30分から90分くらいのサイクルで、30分などの短いサイクルなら休憩は5分、1時間

 以上の長いサイクルなら休憩は15分程度というのが目安。(p.108)
*“テスト”が非常に効果的 =中略= 自分の頭だけを使って学んだことを思い出す

 “リトリーバル”の効果によるものです。(p.127)

*例えば、授業の後に「学んだことを3つ思い出す」というようなルーティンは「ブレイン

 ダンプ」を効果的に時短化します。(p.136)

*ドーパミンですが、ワーキングメモリを活性化させたり、記憶の定着を促すことで学習に

 重要な役割を果たしています。(p.184)

 ⇒好奇心が強ければドーパミンの分泌が増え、報酬系が活性化する。

*ハイパー修正効果(p.187~)

 仮説が間違っていたときは、次回、似た環境で正確な予測ができるように、脳に変化が

 起こり、このとき学習が起こる。

 

メモ恐れのない組織』 エイミー・C.エドモンドソン (英治出版 2021.2)

【満足度】★★
【概要・感想】「心理的安全性」についての考察。福島第一原発など日本の身近な例や、航空業界・医療業界での失敗例が取り上げられており、翻訳本にしては今までになく読みやすかったです。「心理的安全性」さえあれば高パフォーマンスを上げられる!といった魔法の杖のような扱いでは無く、本来可能だったものが不可能になってしまうことを減らせるという冷静なトーン(成功要因のひとつ程度)で書かれているのも好印象。
早稲田大教授の村瀬氏による巻末の解説(約20ページ)も面白く、思わず著作を調べたくらい。

【ポイント】

*対人関係のリスクを取っても安全だと信じられる職場環境であること。それが心理的安全性。

 (p.30)

 ⇒集団の大多数が共有すると生まれる職場に対する態度。「信頼」は個人が特定の対象者に

   抱く認知的・感情的態度。

*ヒエラルキーが下位のチームメンバーは一般に、上位のメンバーほど安全性を感じない(p.40)
*耳を傾け学ぶべき立場にいる上層部の人々は、自分の存在が下位層の人々を押し黙らせて

 しまうことに、なかなか気づかずにいる。(p.110)
*いつ何を発言するかを決める目に見えない基準は知らぬ間に設けられるものであることを、

 今日のリーダーは理解する必要がある。(p.242)

*新たな組み合わせを発見するには、チームが共有する知識の多様性が重要 =中略= 

 様々な知識を有するメンバーが協働すると、今までに見聞きしたことのない発想や意見に

 触れられるため、新しい組み合わせが見つけやすい。(p.276 村瀬氏)

 ⇒多様性が高いと意見や価値観が異なるため、意見がぶつかりやすく、思い切って考えを

   共有できる雰囲気が不可欠
*組織階層の中間に位置する人物と一対一の信頼関係をつくることを通して、集団としての

 心理的安全性の変化に気づくきっかけを構造的に得る(p.284 村瀬氏)

 ⇒メンバーとリーダーの感覚はどうしてもズレる

 

クリップAI分析でわかった トップ5%リーダーの習慣』 越川 慎司(ディスカヴァー・トゥエンティワン 2021.8)

【満足度】★★

【概要・感想】AIを使って、いわゆるデキるリーダーの行動を分析した本。実際は上司部下の組み合わせは無数にありますので、AI分析したからといって鵜呑みにするのもどうかと思いますが、本書記載の行動習慣を参考にすれば、少なくとも失敗確率を下げられるのではないかと思っています。類書に出てくる内容と似ていますが、AIが分析しても同じならそういった知見は覚えておいて絶対、損はないはずですね。あっ、歩くのが遅い、という習慣は意外と当たっています。(ホント声をかけやすい)

【ポイント】
*時間をかけてでも強固な人間関係を作れば、さまざまな変化が起きても協力体制を維持できる

 (p.34)

*「心理的安全性を確保せよ」と命令するよりも、「車内会議の冒頭2分で雑談せよ」と具体的に

 指示したほうが行動を起こしてもらいやすい(p.39)

*「進むぞ!」と決断するのと同時に、「代わりにこっちはやめる」というトレードオフを

 しています。(p.61)

 ⇒業務処理能力を上げるより、やめることを決める
*「情報」よりも「感情」の共有を重視する(p.66)

 ⇒チーム全体で成果を出し続けるためには、心理的要因も重要。感情が生み出された

   メカニズムを理解しようとすること。
*自分のことを話した後にどうだったと聞いています(p.223)

 ⇒最近どう?ではなく、週末サッカー観戦をしたんだけど、あなたは週末どうだった?

*会議の種別(p.245)

 ①情報共有 ②アイデア出し ③意思決定

 

メモ鎌倉殿と13人の合議制』 本郷 和人 (河出新書 2022.1)

【満足度】★★
【概要・感想】大河ドラマ勉強用。鎌倉時代の背景説明(なんなら前九年の役から)が事実上、本書のメインで、“鎌倉殿の13人”自体の話は後半の3分の1ほど・・・。本郷先生の自説も随所に入っていますが、全体的に読みやすくライトな内容です。

【ポイント】
*頼朝の成した「関東の武士たちを従えて鎌倉幕府をつくった」という大きな仕事は、実は父が

 築いておいてくれた勢力圏があってこそ初めて可能だった(p.96)

 

本一生使えるポジティブ言い換え言葉』 えらせん (ワニブックス 2021.7)

【満足度】★
【概要・感想】普段使わなかったり、自分では思いつかないボキャブラリーはこの手の本で定期的にアップデートしておく必要があります。確かに、一部は参考になりましたが、かといって何でもかんでもポジティブに言い換えたり、そう捉える必要もないかと。(人によっては皮肉に聞こえてしまう場合も・・・)

【ポイント】

*個人的な感想を、他者の感情にすり替え(p.12)

 ex.好きな人にはたまらないね!・みんなに好かれる味だね!

*相手の価値観と擦り合わせをする言葉(p.54)

 ⇒スピード重視より次からは正確性重視でお願い!
*すべての褒め言葉は、なるべく「人に」繋げるようにしましょう。つまり、持ち物を褒める

 場合でも、「それを選ぶあなたが素敵」というニュアンスを入れ込む(p.109)

 ex.上品に見える!・似合うね!
*「お願いするのは忍びないのですが、どうかご協力ください」(p.146)

 

本『解きたくなる数学』 佐藤 雅彦・大島 遼・廣瀬 隼也(岩波書店 2021.9) 

【満足度】★
【概要・感想】昨年のアメトークの「読書芸人」で薦められていたので読んでみました。(そのためか順番待ちの人数がエグイ・・・) 絵本のようになっており、サクサク読み(解き?)進めていけます。数学で解決しているのだかなんだかわからない問題も・・・。個人的にはちょっとイメージと違いました。

 

メモ「稼ぐ、儲かる、貯まる」超基本』 前田 康二郎(PHP研究所 2021.11)

【満足度】★

【概要・感想】スーパー経理部長こと前田氏のマネー本。会計の知見を家計に応用した内容も一部あり、その点は新しいのですが、“超基本”しか書いておらず、あえて読む本でも無かったかな。

6月に読んだ本は5冊(図書館本4冊・購入1冊)でした。

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以下、面白かった順 <満足度> ★★★ オススメ  ★★ 面白い  ★ 収穫少なめ  

 

本『嫌われた監督』 鈴木 忠平(文藝春秋 2021.9)

【満足度】★★★
【概要・感想】 入社4年目の日刊スポーツ記者が落合監督の就任から退任に至るまでの8年間を綴ったノンフィクション。落合氏本人や森繁和氏などの本は何冊か読んだことがあり、今更なぜこの本が人気なのかよくわからず読んでみましたが、和田、荒木、森野、福留、川崎などなど当時の選手・著者・関係者など3つからなる小説風の構成が上手くて、臨場感が伝わってきます。クセツヨで賛否のある「オレ流」采配ですが、野球選手は個人事業主だし、チームの目標(契約)は勝つことを徹底的に追求するのは合理的な考えで、その真髄もよくわかります。(オレ流采配は外から見れば面白味がないかもしれないが、本人的には関係無しというのも合理的)

【ポイント】
*「心は技術で補える、心が弱いのは、技術が足りないからなんだ」(p.425)

 

本『全面改訂 第3版 ほったらかし投資術』 山崎 元(朝日新書 2022.3)

【満足度】★★
【概要・感想】 2010年にオリジナルが出て、今回その改訂版になります。タイトル通りに大変わかりやすく、人気本なのがよくわかりました。本書を要約すれば、リスク用の資産として「eMAXIS slim全世界株式」を一刻も早く購入し、あとはひたすら保有し続けるだけ、となります。すでに保有している投信でしたが、プロのお墨付きをもらえた感じ。買い付け方とホールド、売却時のタイミングなどの指南は大変参考になりました。

【ポイント】
*2020年もアクティブ・ファンドの大半が、単なる市場平均であるインデックスに負けて

 います。(p.31)

 ⇒インデックスファンドを毎月淡々と積み立てるのが理にかなっている

*一般的に、投資信託は100億円の純資産があれば運用の継続は安心(p.86)
 ⇒純資産が少ないと運用が困難になり、繰上償還する可能性がある

*買った株式を、お金の必要が生じるまで一切売らないと決める(p.143)
 ⇒持っていることが投資。上げ相場にも下げ相場にも全て付き合う

 

本他者と働く』 宇田川 元一(NewsPicksパブリッシング 2019.10)

【満足度】★★
【概要・感想】 食べチョクの
秋元里奈が薦めていたので読んでみました。2 on 2形式の対話を推奨していた組織が変わる」より前に書かれた本になります。知識や技術で解決できる「技術的問題」は大体なんとかなるのに対して、人と人との関係性から生じる「適応課題」を解くために有効なのが「対話」すなわち「新しい関係性の構築」だと言います。要は自分には自分の立場、相手には相手の立場があって主張しているという当たり前の事実を意識して行動することが重要です。しかし、対話すればなんでも正直に話してくれるという大いなる勘違いには気をつけたいところ(これを自覚していない組織と管理職のなんと多いことか・・・)。そういった点も言及されていて、うまく“他者と働く”ための処方箋になる本だと思います。
【ポイント】
*組織の実質とは、実は私たちを動かしている関係性そのもの(p.8)

 ⇒「わかりあえなさ」に向き合う。関係性から生じる適応課題に対して取り組み方を工夫する。

*マルティン・ブーバーの「人間同士の関係性」(p.20)

 ①私とそれ  ・・・ 道具的な関係(店員など)

 ②私とあなた  ・・・固有の関係 ⇒自分の中に相手を見出す・相手の中に自分を見出す
*対話のプロセス(p.38)
 ①準備 相手と自分の解釈の枠組みに溝があると気付く

 ②観察 相手の言動や状況を見聞きし、相手の背後にある解釈の枠組み(課題)を探る

 ③解釈 溝に橋を架けられそうな場所や架け方(相手のより良い実践の支援)を考える

 ④介入 相手の見えていない問題に取り組み、新しい関係性を築く

*「正しい説明という暴力」(p.166~要約)

 本音はつらい薬を増やしたくない患者に対して、「痛い」ので薬を増やそうという医者。

 医者からみれば正しいが、患者としては違和感がある。

 ⇒患者が何かを語ろうとしていることをしっかり観察しなければならない。

 

本『「やりがいのある仕事」という幻想』 森 博嗣 (朝日新聞出版新書 2013.5)

【満足度】★★
【概要・感想】 10年くらい前の本ですが、今読んでも、まさにタイトル通り。仕事なんてやる気満々で好きでやる人なんているの?と。(どうせやるなら楽しくというスタンスとは別の話で) 著者も最初に記している通り、「身も蓋もない」本ですが、突き詰めて考えればそうとしか言いようがない。でも、人生や仕事についてあまりにも近視眼的になってしまっているときは、その考えを大局的に捉え直す修正をかけてくれる良書だと思います。(結局は身も蓋もある。) スプツ二子も著書で「人からどう思われようと、どうだっていいじゃん」と書いていましたが、ある種の開き直りはとても救いがあるなと。
【ポイント】

*本当に素晴らしい仕事というのは、=中略= 「手応えのない」手順で完成される(p.188)

 ⇒常に自分の仕事を洗練させようとしていなければできないので、ここに「手ごたえ」や

   「やりがい」がある

*結局のところ、「どうだっていいじゃん」と自分に言ってあげる人が、一人前の立派な社会人に
 なれるのではないか。(p.212)

 ⇒元気にあるフリをして嫌々でも仕事をして、金を稼いで、その金を好きに使えば良い。

*検索しても解決策はない(p.216)

 自分の思うとおりにならないのは、なんらかの情報を自分が「知らない」せいだと解釈する。

 しかし、解決法は自分で考え、模索し、新たに編み出さないといけない。

 

クリップ武器としての組織心理学』 山浦一保 ダイヤモンド社 2021.9)
【満足度】★
【概要・感想】 著者は立命大の心理学系が専門の教授。組織心理学の視点から効果的なリーダーシップや人間関係構築について考察した内容とのこと。本を読まない人は経験則で学んでいることがまとめられている内容だと感じると思いますので心理学の初学者にはちょうど良い内容かと。個人的には「組織心理学」独自の知見なのかよくわかりませんでした。(←通常の心理学の知見で理解できる気が) 組織心理学という宣伝文句に惹かれ、しかもダイヤモンド社だし、わざわざ購入した本だったのですが、あまり刺さらず・・・。

【ポイント】

*コミュニケーションの役割は、ただ情報を共有するだけではありません。(p.97)

 ⇒お互いの熱を伝え合うこと(相手を知り、自分の特徴も理解してもらう)
*上司との関係性が悪くても、上司から相談を受けている頻度が高い部下ほど、職場の仲間

 たちを頻繁に手助けしていたのです。(p.216)

 

本カラー版 地形と地理でわかる神社仏閣の謎』 古川 順弘,青木 康(宝島社新書 2022.3)

【満足度】★
【概要・感想】 神社編と寺社編、そして霊場編の3つにわかれており、カラーなのでその点は読みやすいですが、そこまで地形・地理にクローズアップしている訳ではありません。出雲大社ほか取り上げられていますが、むしろ神話のエピソードが多いような気が・・・。もう少しブラタモリ寄りの内容かと思いましたが、イメージしていた内容とはちょっと違いました。

5月に読んだ本は5冊(図書館本5冊)でした。

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<満足度> ★★★ オススメ  ★★ 面白い  ★ 収穫少なめ 

 

メモ頼朝の武士団』 細川 重男 (朝日新書2021.11)

【満足度】★★
【概要・感想】 400ページ近くあってやたら分厚いと思ったら、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の放送の、ずいぶん前2012年に刊行された新書。それを今回、大幅に加筆修正、付編約130ページほどの書き下ろしがプラスされています。どっちにしてもドラマ放送前に刊行されたのですが、
「武衛」とかの記述があり、ニヤリw 歴史書「吾妻鏡」の記述を口語調にして書いてあるあたりが類書とは少し違います。頼朝時代の鎌倉幕府や御家人同士の関係など空気感が伝わりやすい工夫が読みやすいです。

【ポイント】

*保元の乱で「伊勢平氏」がほぼ無傷であったのに対し、ただでさえ勢力の落ちていた「河内

 源氏」は大打撃を蒙った(p.43)

 ⇒後白河陣営はほぼ義朝一家のみ

*平氏政権は、朝廷と一体化して全ての武士を一応、支配下に置いたが、その統制は全般に

 緩やかなもので、平氏と運命を共にするような家臣は比較的少数だった。これに対し、頼朝は

 武士の一部を御家人とし、厳しく統制しようとした。(p.148)

*京都守護という重職を担っていた伊賀光季は、承久の乱最初の幕府方犠牲者であると同時に

 幕府最高幹部と言い得る人々の中で唯一の犠牲者(p.337)

 

本絶対に挫折しない日本史』 古市 憲寿(新潮新書 2020.9)

【満足度】★★
【概要・感想】 社会学者の古市氏の書いた日本史の解説本。「新潮45」などに2018~19年に連載された記事の新書化。古市氏が日本史とは意外でしたが、
全体像を掴む「ニッポン全史」とコメ・家族・土地・戦争などを切り口とした「テーマ史」の2編に分かれており、教科書的な内容(固有名を少なくしたとのこと)ではないので、“挫折しない”んじゃないかと思います。ポイントは「まとまる⇒崩壊する⇒再びまとまる」。注釈など、ところどころで古市氏の悪いツッコミや例えが放り込まれていてニヤニヤしながら読みましたw

【ポイント】
*同時代に箸墓古墳ほど巨大な建造物は、列島中のどこにも存在しない。つまり、邪馬台国が

 どこにあったとしても、列島最大の権力は、大和の地(p.30)

*租は収穫した初穂を神に捧げる初穂貢納が起源という説 =中略= つまり天皇が持つと

 された宗教的パワーが中央集権国家を可能にした(p.47)
*「荘園」(p.55)

 国家の支配を受けない私有地。古代は全ての土地は国家のものだったが、土地の所有を認め、

 貴族や寺社が治外法権にしてしまった。

 

本自由になるための技術 リベラルアーツ』 山口 周(講談社 2021.3)

【満足度】★
【概要・感想】 本書は2019~20年にかけて日立のWEBマガジンに連載された対談を加筆、再構成したものです。ひところよく聞いたリベラルアーツ(要は人間理解を深めるための教養)という言葉も最近はあまり聞いていない気がしますね。対談の相手は中西輝政、出口治明、臨済宗の平井正修住職、菊澤研宗、ヤマザキマリなど多彩。基本的には山口氏の著書とは相性がいいはずなのですが、対談形式になるとゲストとのマウント合戦になるからか、途端に読みにくく・・・。

【ポイント】
*能力の低い人は自分のレベルを正しく評価できないうえ、他人のことも正しく評価できない

 ため、自分を過大評価してしまう。(p.168 山口)

*普段から多様なものを受け入れて寛容性や臨機応変性を培っている人々は、=中略= 冷静に

 向き合える可能性は高い。物事は思い通りにならないとわかっていれば、もっと楽に受け

 入れられる(p.252 ヤマザキ)
*「常識を疑う」という態度を身につけることではなく、「見送っていい常識」と「疑うべき常識」を

 見極める選球眼を持つ(p.273 山口)

 

本無くならないミスの無くし方』 石田 淳(日経BP日本経済新聞出版本部 2021.12)

【満足度】★
【概要・感想】 ミス防止に有効なのは、意識の徹底ではなく、「行動」に注目して改善をする仕組みすづくりです。「なぜミスをしたか」というより「どんな行動をとればよいのか」です。その際に注意するのは言語化。つまり、「しっかり」ではなく、行動が具体的に明確に示された具体的な言葉
を使うのがポイント。他の石田氏の著書も読んでいますが、行動にフォーカスする点にはいつも共感します。
【ポイント】
*人間は『結果にメリットのある行動』を選択する(p.36)

 ⇒行動の結果がポジティブなものになるよう考える

*人が物事を“できない”理由は2つ(p.109)

 ①「やり方」を知らない

   ⇒教える内容を「知識(ルール・操作法)」と「技術(作業方法)」に分けて考える

 ②「継続の仕方」を知らない
   ⇒ちょっとづつやればできる(水泳だと、水に慣れる→泳ぐ)

 

メモ『成長企業が失速するとき、社員に“何”が起きているのか?』スティーブ・バッコルツ(日経BP 2020.5)

【満足度】★
【概要・感想】 従業員のエンゲージメント(の低下)に対してリーダーシップの果たすべき役割について書かれた本。本書の最初にあった、変化に対するエンゲージメントの考察は考えたことのない新しい視点でした。確かに、実務的にもそこを手当てするマネジメントはかなり大事かと思います。本書後半のリーダシップの役割、コミュニケーションの取り方はエンゲージメント関係なく、一般的な話でした。
【ポイント】
*エンゲージメント=肯定的な見方×大きな自由裁量のエネルギー(p.30)

 ⇒変化を「失うこと」と感じていたら、エンゲージメントが低下する可能性が高くなる

4月に読んだ本は5冊(図書館本4冊/購入1冊)でした。

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<満足度> ★★★ オススメ  ★★ 面白い  ★ 収穫少なめ 

 

本『麒麟児』 冲方 丁(角川文庫 2021.11)

【満足度】★★
【概要・感想】 幕末、江戸城の無血開城にまつわるエピソード。主人公は幕臣の勝海舟。相対するのは薩摩の西郷隆盛。無血開城は勝海舟ひとりがすべてをまとめあげたようなイメージがありますが、実は違います。実際の勝海舟を知っているかのような、江戸っ子気質や慶喜に対しての想いなどリアルな描写に、周辺の山岡鉄太郎、益満休之介、大久保一翁なども登場し、史実は知っていたものの次のページが気になる展開にシンプルに楽しい読書となりました。

【ポイント】
*勝のような役目にある者に必要なのは、結局のところ、自分で走り回るのではなく、人を使う

 才覚である。それは同時に、人と人を組み合わせる才覚でもある。(p.43)

*咎人だろうが敵方の間者だろうが、しっかりと交際し、正しく使ってやり、誉れを与えてやる

 ことの方が、よっぽど世のため人のためになる。そういう信念が、いつしか、「勝安房守は、

 味方のなかには敵が沢山いるくせに、敵のなかに敵らしい敵がいない」という状況を作り

 出していた。(p.48)

 

本『ワークマン式「しない経営」』 土屋 哲雄(ダイヤモンド社 2020.10)
【満足度】★★
【概要・感想】 著者はワークマンの専務の土屋氏。創業者の甥にあたる人物で還暦前に三井物産を退社後、ワークマンに呼ばれ、その後ワークマンプラスの立ち上げなどに参加。ノウハウ本というより、「しない経営」と「エクセル経営」という両輪による企業変革のエピソードが本書の内容になります。そして、巻末には早稲田のビジネススクールの入山章栄氏との対談も。
【ポイント】

*ノルマは達成できないとあきらめるが、良心で仕事をすれば自発的に継続する。(p.117)

*普通の人が普通に働いてやりきらなくてはならない。誰かが死にものぐるいの努力で達成

 しても迷惑だ。(p.227)

 

メモ『なぜ、あなたの思っていることはなかなか相手に伝わらないのか?』 西 剛志(アスコム 2021.7) 

【満足度】★
【概要・感想】 この手の心理学や脳科学についての初心者向けの本。身近な話題が多く、間違いなく読みやすいです。(ある程度、脳科学や行動経済学など知っていると、ちょっと物足りないかも。)当たり前ですが、人は育ってきた環境によって脳のタイプ(視覚・聴覚など何を重視するとか)が違ったり、性差の違い(女性は細かい色を選別できる)などがあって、「わかりあえない」という前提で、コミュニケーションすることが大事です。

【ポイント】
*女性のほうが感情を伴う記憶力にすぐれているとされるのは、記憶力と関連が深い「海馬」と

 「扁桃体」が、女性ホルモンであるエストロゲンによって活性化する(p.80)

 

クリップ『課長2.0』 前田 鎌利(ダイヤモンド社2021.9)

【満足度】★
【概要・感想】 著者はソフトバンクに13年勤務した後、現在は書家という異色の経歴。管理職の仕事はチームを良い状態に保つこと。特にリモートワーク時代のマネジメントのノウハウが学べるのですが、いわゆる超オーソドックスなマネジメント本。(2.0というほどでは・・・) 珍しく購入した本だったのに積読しているうちに一体、何が購入の決め手だったのか忘れましたw 
【ポイント】

*「どう?あのプロジェクトの仕事って楽しい?」(p.164)

 ⇒注目すべきは表情。

*「では、Bさんの意見を、自分の言葉で言うと、どんな表現になりますか?」(p.312)
 ⇒Aさんと同じという意見でも質問に角度をつけて、意見を引き出す。

 

メモ『全員戦力化 戦略人材不足と組織力開発』 守島 基博(日経BP 2021.7)

【満足度】★
【概要・感想】 著者は学習院大学 経済学部の教授。2017年に日経新聞に連載された記事が本書の元になっています。数的には充足していても戦力として活用しきれていない人材(隠れ人材不足)をいかにして戦力化していくか。結局、優れたリーダーがひとりいても、メンバーが自律的に仕事をしていく状態でないとリーダーの力が発揮出来ないです。組織力を高めていくためには、組織を対象にしたマネジメントが重要ということで、働きがい・エンゲージメントやダイバーシティなどの分析が展開されています。いかにも学者の本で、いささか読みにくかったです。(amazonは意外に高評価)。

3月に読んだ本は5冊(図書館5冊)でした。
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<格付基準> ★★★ オススメ  ★★ 面白い  ★ 収穫少なめ 

 

本『北条義時 鎌倉殿を補佐した二代目執権』 岩田 慎平(中公新書 2021.12)

【満足度】★★
【概要・感想】 大河ドラマにあやかって北条義時と源頼朝の本がどんどん出ています。頼朝から「家子の専一」(最も信頼のおける腹心の部下)と呼ばれるほどの信任を得た義時。それゆえ、義時を語る上で必ず出てくるのが源頼朝。本書もまず最初はお決まりの保元の乱・平治の乱から。頼朝の流人時代に義時登場。以降、歴史なので類書と似たりよったりの内容です。本書は略系図や地図、巻末に年表もあり、総合的に理解しやすい内容になっていると思います。

【ポイント】

*国家的軍事・警察権は、軍事貴族である平家や鎌倉幕府にとって、最も基本的なアイデン

 ティティ(p.27)

*さまざまな権門が国家的な役割を分担し合う、院政期に特有の国家体制を、「権門体制」

 と呼ぶ(p.28)

*中世においては皇位を継承することを践祚(p.36)
 ⇒内外に示すことを即位

*実朝の側近として仕える義時を支えるべく在京活動を担ったのは、弟の時房(p.82)

*頼家は、頼朝の没後三年以上を経て征夷大将軍に就任(p.99)

 ⇒幕府の棟梁「鎌倉殿」といえば「将軍」という認識は定着していなかった。

*牧氏事件(p.124)

 実朝か朝雅、どちらを将軍にするか、争われた事件。朝雅の父は源氏の重鎮・平賀義信。

 妻は時政と牧の方の娘。後鳥羽院からの信任も厚く、弓の師範として近習に。
*後鳥羽院は、平賀朝雅を通じて在京御家人を統制し、自らの手足となって動く軍事力とする

 ことを考えていた(p.130)

 →朝雅を失った後、軍事貴族の育成に。そこで目をつけたのが藤原秀康などの院近臣。

*1216年以降は、幕府の首脳陣ともいえる政所別当として、新たに源仲章、大江親広、

 源頼茂らが加えられた。(p.153)

 

メモ『日本史の論点』 本郷 和人(扶桑社新書 2021.9) 
【満足度】★★
【概要・感想】 中世を中心とした日本史の定説⇒「権門体制論vs東国国家論」 「鎌倉幕府の成立年次」 「承久の乱の“義時を討て”」 「北条時宗はモンゴルを撃退した救国の英雄か?」「鎌倉幕府を倒したのは後醍醐天皇か」「足利義満は天皇になろうとしたのか」 「くじ引き将軍・足利義教は八百長?」 「応仁の乱の本質」「織田信長の天下布武の真意(京都統一?)」などの考察。 なるほどと思ったのは「異なる江戸幕府成立年」。中世の幕府成立年が変わっても、いまだに江戸幕府の成立は1603年なのは各時代の先生が話し合わないためなんですね。そんな裏話も少々。
【ポイント】
*幕府のトップは征夷大将軍だと考えられるようになったのは、あくまで後世(p.50)

*霜月騒動は、鎌倉の時代を通して最大の内乱(p.104)

 ⇒平頼綱が安達泰盛率いる有力御家人を討滅
*建武の新政に関わった数少ない武士といえば、楠木正成と名和長年ぐらい(p.117)

 ⇒後醍醐は、武士には政治に関わらせないことが信条。足利尊氏であっても許されなかった。

   新しい政権ではなく、現実を捉えていなかった政権。
*足利義持は、父・義満が取り立てた側近やお気に入りも、みな失脚させましたが、例外的な

 人物が三宝院満済(p.135)

*文明や文化のある土地に行き、キリスト教とは何たるかを現地の人に伝えた末、反発に

 遭って殺された。それで初めて殉教とみなされます。(p.140)

 ⇒宣教師たちが殉教できる国は日本しかなかった。神のために死んだ場合、大きな栄光

*当時、西軍である山名を支持していたのは、義満に討伐された土岐や大内(p.167)

 ⇒義満のブレーン・細川頼之に潰されたのが土岐・山名・大内。

   細川のライバル、斯波の派閥を引き継いだのが山名。

*東軍である細川の盟友は =中略= 播磨の赤松(p.167)

 

本『日本史サイエンス』 播田 安弘 (講談社ブルーバックス 2020.9)

【満足度】★★
【概要・感想】 著者は歴史家と思ったら、船の設計エンジニアでした。教科書では数行でまとめられている①元寇(文永の役)、②秀吉の中国大返し、③戦艦大和 を物理・気象・地理・食糧などリアリティの面から検証しています。後世の人間はつい英雄の凡人離れした面を称賛して思考停止してしまいますが、そういったリアル面を想像すれば本書で取り上げている秀吉にしても、一か八かの戦略ではなく、小さくリスクを取るといった地味で基本的な戦略を怠らない面が見えてきます。取り上げている出来事は「船」が共通点で、戦艦や空母の設備や設計に対しての考察など、その分析はさすがに納得感があります。

【ポイント】

*米軍でも砂漠などを長距離行軍するときは「一日に水をどれだけ運ぶべきか」はかなり

 厳密に計算している。(p.114)

*大和の建造予算は、=中略= 国家予算が約40億でしたから、その約3%(p.166)

 ⇒現在価値だと3兆円ほど。東京湾アクアラインが2本作れる金額。
*1941年の開戦とほぼ同時に就役したにもかかわらず、=中略= 大和は、=中略= 停泊地で

 待機していることがほとんど(p.187)

 ⇒アウトレンジ戦法(航空機の攻撃で敵の戦力を削り、ここぞという場面で艦隊決戦)

 

メモ『観察力の鍛え方』 佐渡島 庸平(SB新書 2021.9)

【満足度】★
【概要・感想】 「宇宙兄弟」「ドラゴン桜」などの編集を担当後、独立した著者。観察力の鍛え方という実用書寄りの内容を期待しましたが、ほぼエッセイ。しかし、エッセイの割にけっこう読みにくく、記憶にも残りにくく・・・、amazonの書評を見てみると、みんなけっこう高評価。うーん、謎。
【ポイント】
*「起きていることはすべて正しい」(p.114)

 どんなことが起きても「そういうものだ」と一度、心の中で唱えてみる

*能力というものも確固たるものがあるわけでなく、関係性の中で発揮されるもの(p.180)

 

メモ『「方法論」より「目的論」』 安田 秀一(講談社新書 2021.7)

【満足度】★
【概要・感想】 株式会社ドームの社長の著書。本の帯で高橋由伸氏が「目的を深く考えることこそ超一流への道だと再認識しました」と言っていますが、要約すればまさにそれだけの話でした。この本もビジネス書風のエッセイですね。

2月に読んだ本は5冊(図書館5冊)でした。
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<満足度> ★★★ オススメ  ★★ 面白い  ★ 収穫少なめ 

※以下、満足度順

 

本『頼朝と義時』 呉座 勇一(講談社現代新書 2021.11) 
【満足度】★★★
【概要・感想】 『応仁の乱』でブレイクした呉座氏は中世が専門、さすがの考察。頼朝と義時は武家政治の創始者として必要不可欠だったという観点から、ふたりが朝廷と貴族社会と対峙し、武家社会をいかにして切り開いていったかについて書かれています。

【ポイント】
*義時の強みは、姉の政子が頼朝の正室であるというだけである。(p.5)

 ⇒筆頭御家人の地位までには相当の無理(権力闘争)が必要。

*個々の武力は必ずしも卓越していない平家家人側の強みは家人同士の連携(p.73)
 ⇒大庭と伊東の共同作戦は成功例

*北陸宮を得たことにより、義仲は北陸宮を天皇にするという上洛の大義名分を得た。(p.100)
*清盛はクーデターで朝廷を掌握し、朝廷の権力を用いて全国の武士を動員したが、内乱の

 最終的勝者である頼朝は自らが抱える全国的な御家人を国家的な軍事警察機能の担い手

 として朝廷に公認させたのである。これがすなわち、鎌倉幕府である。(p.177)

*後鳥羽が「西面の武士」と呼ばれる直属武力を編成するきっかけは、朝雅誅殺にあった(p.240)

 ⇒幕府内紛の巻き添えで近臣の平賀朝雅が討たれた(時政・牧の方が朝雅を将軍に)

*治天の君(p.286)

 同時期に複数に存在する上皇のうち、院政を行う朝廷の最高指導者

*後鳥羽方には大軍を動員・統率できる実力を持った司令官がいなかった。=中略= ゆえに

 後鳥羽は幕府方の内部分裂を狙ったのである。(p.302)

 

メモ『同調圧力の正体』 太田 肇(PHP新書 2021.6)

【満足度】★★
【概要・感想】 日本の隅々に浸透している同調圧力。その正体を明らかにし、それが引き起こす問題、さらにどう立ち向かうべきかについての考察。共同体主義がもたらす同調圧力はイノベーションの大敵とありましたが、わかる気がします。出る杭は打たれるので、それより合意をベースに仕事を進める方が無難ですし、イノベーションは共同体に利益に相反することも多いとなると、反対の力が働きます。あと、根深いと思ったのは、人材採用について「論理的に相手を説得できる人材」より「空気を読んで円満な人間関係を築ける人材」を採用したい割合が高いという話。緊急事態宣言は本来は優先されるべき個人のことよりも全体主義的な動き方、つまり感染抑制や経済など共同体全体の利益を優先する方向で動いたという指摘にも頷けました。

【ポイント】
*なぜ、日本で組織や集団が共同体になるのか?同調圧力が生まれやすいのか?(p.34~)

 ⇒共同体:自然発生的で情によってつながる/組織:特定の目的を追求する集団

 ①閉鎖性(国・地方・地域・会社・学校など出入りが少ない組織⇒内部最適)

 ②同質性

 ③未分化(自己と他者が明確に分化されていない。自分は自分、他人は他人という発想が

   出来ない)

*共同体の圧力による自発的な協力要請と、公式組織の強制という二段構えの手段を備えた

 日本式の共同体型組織は、=中略= 一見すると弱腰のようだが、実はより強力(p.64)

 ⇒共同体の同調圧力によって得られるメリットを失いかねない行動には厳しい態度
*共助が不可欠な時代には、少々煩わしくても日ごろのつき合いで友人をつくっておく必要が

 あった(p.102)

 ⇒共同体によるメリットがデメリットを上回っていた昭和時代
*欧米社会では世論が沸騰すると、必ずといってよいほど別の視点から一石が投じられ、

 少数意見も尊重される。(p.165)

 ⇒日本社会では異論を受け入れる懐の深さがない

*私たちは過剰な同調圧力を苦々しく思いながら、いっぽうで他人に圧力をかけていることに

 無自覚な場合が多い。(p.175)

 

メモ『会話の9割は「言いかえ力」でうまくいく』 津田 秀樹(アスコム 2021.6) 
【満足度】★
【概要・感想】 著者は精神科医と心理研究家。いわば言葉のプロ。言い方ひとつで傷ついたり、傷つけられたりすることがありますが、まさに言い方ひとつです。言葉の言い換え方のレパートリーを覚えておくに越したことはありません。カウンセリングの技法が軸になっていると思われますが、「過去化」などの知らない知見が拾えました。

【ポイント】
*気持ちを見透かすのは、当たっても外れても良い結果にならないのでNG(p.68)

*衝撃的な強い言葉は=中略=同じ意味のやわらかい言葉に言いかえる。(p.96)

 ⇒○○な風に、あなたには思えるんだね。 ex.運が悪いように思えるんだね

 ⇒「最悪だった」と言うと、その出来事を実際以上によくない出来事として記憶してしまう

*怒りや悲しみは「過去化」で中和する。(p.110)

 ⇒「落ち込んでいる」を「落ち込むことがあったのですね」と言い直す

 

本『経理から見た日本陸軍』 本間 正人(文春新書 2021.5)

【満足度】★
【概要・感想】 通常は作戦や戦闘から語られる戦争を陸軍の経理やお金の視点から考察。決算・予算・軍隊の日常(給料・嗜好品など)・兵器のカテゴリーに分けて、かなり細かく元資料も掲載されています(その辺は読み飛ばしても良いかと)。昭和19年度の陸軍予算は494億と、ご存じ戦争には莫大なお金がかかります。イメージしやすい武器だと、軍刀一振りレベルで20万と。軍人の給料の話も興味津々w 戦時中、お金の管理をする経理部の将校が意外ときっちり養成されていたり、ルールに則っての会計処理、さらには会計監査まで行われていたことには驚きです。戦争でも会計はなし崩し的ではなかったのですね。

【ポイント】
*陸軍省で、物と金を握っていたのが経理局(p.4)

*出征手当(p.147)

 大企業のエリートは軍に徴兵されても給料が支給されていた。中小企業は解雇される

 ケースが多い。

 

本『地形で読む日本』 金田 章裕(日経プレミアシリーズ 2021.11)

【満足度】★
【概要・感想】 著者は京大名誉教授。文章も固いし、新書ゆえに掲載された地図が小さくて見づらい・・・。そもそも地形の話も出ないです。遷都や鎌倉、一乗谷、各地のお城など、地形では無く、よく知られた歴史的な考察ではないかと。よって、タイトルの「日本 都・城・町は、なぜそこにできたのか」という点についての疑問が解消することはなく・・・。

1月に読んだ本は4冊(図書館4冊)でした。

 

ようやく追いついてきましたが(遅れ約半年w)、昨年に読んだ本は55冊でした。

最近もっぱら面白いビジネス書が減ってきたというか、自分の選書が悪いのか。。。

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<満足度> ★★★ オススメ  ★★ 面白い  ★ 収穫少なめ 

 

本『鎌倉殿と執権北条氏』 坂井 孝一(NHK出版新書 2021.9)

【満足度】★★★
【概要・感想】 大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の時代考証をしている坂井氏の著書。「吾妻鏡」などの史料から引用した上での考察は専門的な内容(それでも新書レベルのわかりやすさ)になっていて、歴史好きの自分は最後まで興味深く読めました。もしかすると普通の人は、ちょっと訳がわからなくなる可能性も・・・。頼朝の配流時代から承久の乱まで取り上げていますが、北条氏の視点ベースになっていて、坂井氏の他の著書との差別化を図っているようです。本書も家系図や進軍ルートなどの図解が随所にあり、確認しながら読めて便利です。

 

本『お金のむこうに人がいる』 田内 学(ダイヤモンド社 2021.9)

【満足度】★★
【概要・感想】 著者は東大卒で元ゴールドマンサックス出身。ゴリゴリのエリートですが、文章はわかりやすく、「経済はお金ではなく、人を中心に考える」という一風変わったテーマで、経済の常識とされる問題を全く考えたことのない視点の考察でした。各章の最後に「経済の羅針盤」という仮説を提示して、結論に至るまで更新していく手法はとてもわかりやすくていいなと思いました。複式簿記の考え方も出てきますが、それも言われてみれば・・・ですね。突き詰めていくと、労働の無駄遣いが国を滅ぼすというのも納得です。日本株が投資対象にならないのはまさにそこなのかもしれません。

【ポイント】

*家の外では、見知らぬ人に働いてもらわないといけないから、お金を使う(p.61)

 ⇒消費しているのは、お金ではなく、誰かの労働(お金の価値は誰かに働いてもらえること)

*お金は、「みんなが働くことで、みんなが幸せになる」という経済の目的を果たすための1つの

 道具(p.87)
 ⇒みんながお金を貯めることも、みんなが日曜にお金をつかうことも不可能。

   つまり、働く人が必要。

*金融資産の正体は、日本銀行券や肩たたき券と同じく、将来の約束だ。(p.130)
 ⇒債券、株、生保。発行した側からは金融負債。金融資産が増えれば金融負債も増える

*社会全体で見れば、政府が借金を増やすとき、誰かが同額の預金を増やしている(p.226)

 →お金の流し方次第。労働がモノに変換されないといけない。

*財政的に破綻した国に共通するのは、他の国に働いてもらいすぎたことだ。(p.228)

 ・大量の自国通貨を外国に保有されると、いつかは外国のために働かないといけなくなる

 ・外国の人に働いてもらうため外貨で借金する→将来の国民は外貨の獲得が必要

*昔の日本で、多くの子どもを育てることができたのは、親だけではなく社会も、子どもを

 育てる負担をしていたからだ。(p.249)

 ⇒1人の子どもを○人の現役世代で支えている という数字は見ない

  (子育ての負担はお金ではなく、社会全体で無償の助け合い)

 

メモ『教科書の常識がくつがえる!最新の日本史』 河合 敦(青春出版社新書 2021.5) 

【満足度】★★
【概要・感想】 マイナーな歴史ですが、日本史の分岐点となった7つのターニングポイントについて解説しています。律令制度を確立するきっかけの壬申の乱、武士政権への流れを作った保元の乱、東国の戦国乱世のきっかけとなった享徳の乱(足利成氏が上杉憲実を誅殺)、尊王攘夷運動@水戸を過熱化した大津浜事件、日本を短期間で強国化するきっかけの廃藩置県、日露戦争の講和条件を不満に大衆が暴力化したことで軍隊・警察という暴力装置が浸透し、軍国主義の道筋を作った日比谷焼打事件、ソ連にボロ負けしたことが太平洋戦争の引き金となったノモンハン事件。当たり前ですが、歴史は教科書等には出てこない出来事や人物でも、後の出来事に連綿と繋がっていることがわかります。
【ポイント】

*天武がそれまでの天皇と違うのは、武力によって前王朝を倒して皇位についた(p.28)

*享徳の乱の遠因(p.82)

 永享の乱→足利義教が鎌倉府(尊氏が置いた関東統治の出先機関)の持氏を滅ぼす
*ノモンハン事件による北進論の衰退・放棄からの南進政策の実施(p.198)
 

本『遊廓と日本人』 田中 優子(講談社現代新書 2021.10)

【満足度】★★
【概要・感想】 「鬼滅の刃」でも注目されている遊郭。歴史モノ&建築としてあまり考えたことがなかったので、この機会に勉強してみることに。本書の刊行理由は、遊廓に対する誤解を解くという理由もあるようですが、著者の立ち位置として遊廓は完全否定の前提で書かれています。(でも、遊廓批判本ではない) メジャーな吉原遊廓など、そこでの暮らしや文化、歴史、そして遊女がなぜ高い教養を身に着けていたのかなど、実態がとてもよくわかる1冊です。
【ポイント】
*お金を受け取るのは遊女ではありません。遊女屋の抱え主でした。(p.4)

 ⇒借金のカタ(借金を返すまで逃げることもやめることもできない)

*遊廓は日本文化の集積地(p.7)

 ⇒娼婦の集まる場所という誤解。
*最高級の遊女は「昼三(ちゅうさん)」と呼ばれ、その中での最高級を「呼び出し」と言いました

 (p.78)

 ⇒花魁とは高級遊女全体を表すニックネーム。1760年代に「太夫」という位は消滅した。

12月に読んだ本は4冊(図書館4冊)でした。

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<満足度> ★★★ オススメ  ★★ 面白い  ★ 収穫少なめ 
※以下、満足度順

 

メモ『北条義時』 濱田 浩一郎(星海社新書 2021.6)

【満足度】★★
【概要・感想】 「北条義時」について書かれた入門書。頼朝の配流から承久の乱まで、義時を中心に読みやすくまとめられています。資料が少ない時代というのもあり、他の歴史家の見解を対比させている記述もあり、坂井氏や本郷氏、細川氏などの専門家の本に比べて内容や考察は若干、薄い気が・・・。でも、その分読みやすく、義時の入門書は本書はオススメ。

 

メモ『「やらなきゃいけないのになんにも終わらなかった…」がなくなる本』 菅原 洋平(WAVE出版2021.6) 
【満足度】★★
【概要・感想】 今頃12月の読書日記をアップしている私は典型的な先延ばし脳・・・。先延ばしは脳に痛みを感じることなので悪いことだそうです(苦笑) 8つのパターンの先延ばし脳の対処方法について書かれています。対処方法は、大きく変えると脳に負担がかかるので小さな実験を繰り返す、しかも実験には成功も失敗もなく、ただ試してそれに伴う結果があるだけ、くらいの感覚で始めるのが良いそうです。その集積として新しい習慣になっていくと言います。まずは、面倒だなと言葉にする前に、意味なく右手を挙げてみるなど何でもいいので身体的な動きに変えることで脳に新しいルートを作ることも良いようです。とりあえず・・・何事もすぐやるのがいいですねあせる

【ポイント】
*脳は、起床から4時間までが1日のうちで一番よく働くリズムを持っています(p.57)

 ⇒起床から18時間を過ぎると、酔っぱらっているときと同じ状態。朝いきなりやるという

   実験をする。

*「後にしよう」という言葉は、脳の立場から正確に言い換えると「どうなるかわからない」

 =中略= わからないことはリスクが高いので、それを避ける体が作られてしまいます。

 (p.140)

 

本『普通の会社員でもできる日本版FIRE超入門』 山崎 俊輔(ディスカヴァー・トゥエンティワン 2021.7)
【満足度】★★
【概要・感想】 話題の「FIRE」とは経済的自立を果たし、早期リタイアを実現する取り組みです。40代後半のFPである著者がFIREを手放しで薦めていない点には好感が持てました。FIREは結局、ライフプランニングや定年後などのマネープランを考えることなので、指南書としてしっかりとした内容になっています。個人的には資産運用にしろ節約にしろすでにやっていることばかりだったため、方向性の確認だけでした。

 

本『賢い人がなぜ決断を誤るのか?』 オリヴィエ・シボニー(日経BP 2021.7)

【満足度】★
【概要・感想】 優秀な経営者(=優秀な集団であるはずの取締役会)でも決断を間違えるというのは不思議です。そこには認知バイアスなどの影響があるとの指摘ですが、行動経済学に詳しい人は長々書かれていて退屈・・・・。その点をのぞけば、有用な本だと思います。バイアスは個人では克服できない(酔っ払いのジレンマ)が、組織の中での対話によってそれが可能になる、と。本田宗一郎と藤沢武夫の関係が思い浮かびましたが、その通りなのかもしれません。

【ポイント】

*組織は意思決定のやり方を変えることで判断の質を改善できる。(p.232)

 ⇒バイアスの影響を受けないどんなプロセスを構築すべきか?どんなチームがいいか