読書日記 -4ページ目

読書日記

自分用の読書備忘録。
なので、よほどのことが無い限り画像とか一切無いです。
そしてアップはけっこう遅延しがち。

さて、読書ブログは5月になって、ようやく24年シリーズに突入。

1月に読んだ本は4冊(図書館本4冊)でした。
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<満足度> ★★★ オススメ ★★ 面白い ★ 収穫少なめ  

 

<お気に入り順> 

本『頭のいい人が話す前に考えていること』安達 裕哉(ダイヤモンド社 2023.4) 
【満足度】★★
【概要・所感】元・DLトーマツ出身のコンサルが「頭のいい人になるためのマインドとフォーム」を解説。頭のいい人と認識されれば、話を聞こうと思われ、薦めるものは欲しくなり、自分のやりたいことも通りやすくなります。頭の良さは他者が決めるというのは意外と忘れがちですが、とても重要な視点です。頭のいい人になるための、7つの黄金法則と5つの思考法は本書にて確認を。一方、頭の良さと対極の、ちゃんと考えていないヤツについての考察(根拠が薄い・言葉の意味や定義を知らない・成り立ちをしらない・ヤバい、面白い、エモい、スゴイと言った安易な表現を使う)も参考になりました。

【ポイント】

*無人の山で木が倒れたら音はするのか?(p.60 ドラッカー)

 ⇒誰も聞かなければ音はない。コミュニケーションを成立させるのは、受け手。

*なぜ論理的思考が大事なのか?(p.67)

 ⇒立場も価値観も違う他人と考えを共有するため。

*思い込みが強いと頭が悪く見える(p.141)

 ⇒話が浅く聞こえてしまい、ちゃんと考えている?となる(バイアスに意識的でいること)

*物事を深く理解するには、どれだけ対象物を分けて整理できるかにかかっている(p.190)

 ⇒比べる情報要素が同じか違うかの認識をする。理解する=「分けて、同じものをまとめる」

*“頭のよさは、他人が決める”ということは、相手の立場に立って考えること(p.195)

 ⇒結論から話せというのは相手が求めている結論から話せということ

*話を整理して相手の意思決定を助ける(p.245)

 ⇒相談する側が言語化すべきコミュニケーションコストを聞き手が負担しているとも言える

*読書によって得られた知見は、自分自身が思っているよりも曖昧(p.319)

 ⇒ノウハウメモ

 

メモ『2023WBC侍ジャパンヘッドコーチが伝える「心」の動かし方』白井一幸(PHP研究所2023.8)
【満足度】★★
【概要・感想】WBC優勝後の白井ヘッドの新刊と思ったら、2007年刊行の「メンタル・コーチング」の加筆修正版でした。「怒る」「教える」「やらせる」という従来型の指導方法ではなく、自ら考えて行動することの大切さを説きます。ティーチング=指示に従うだけの依存型の人間をつくる/コーチング=能力を引き出す支援をして自走型の人間をつくる。今では完全にマネジメントた育成方法の主流ですが、白井氏は17年前からすでに言っていた訳ですから、それが花開いたということだと思います。
【ポイント】

*目的=ゴールや理念、目標=目的までの手段や指標(p.15)

*私たちにできることは、気づきを与えるきっかけをつくることだけ(p.37)

 ⇒相手が変わるか変わらないかはわからないが、関わり続けることはできる

*指導する側にまわったときは、自分の感覚や常識とか基本とかいわれていることを、一度は

 疑ってみることが大事(p.42)

*大事なのはリーダーよりリーダーシップです。(p.50)

 ⇒リーダーシップは全員が発揮できる

*緊張するということは、それだけ成功したい、勝ちたいという気持ちが強いからこそ生じる

 もの(p.62)

*ペップトーク(p.79)

 受容(事実の受け入れ)⇒承認(捉え方変換)⇒行動(してほしい変換)⇒激励(背中をひと押し)

*打てなかった責任はその選手にあるのではなく、その選手を起用した私たちの決断に責任が

 ある(p.98)

*ヒルマン監督は「監督の仕事は、選手たちに快適に野球をしてもらうことだ」(p.130)

*大事なのは選手の感覚を知ることなので、選手に自分が教えたやり方をやってもらって、どう  

 感じたかを聞きます。(p.145)

 ⇒最初はティーチして、選手の感想や意見を聞きながら、双方向でやりとりして、最終的に

  選手が主導権を握っていく

*問題点に気づいても、辛抱強く見ていることが大事。試行錯誤して、そこでつかんだものが

 選手の技術になります。(p.175)

*「がんばれ」より「よくがんばっているよね」(p.184)

*コーチングとは =中略= すでに相手がもっているものを引き出していくことです。

 だから、自分がこうやったらうまくいったという体験からの答えを選手に伝え、同じように

 やらせようとしてもうまくいくものではありません。(p.187)

 ⇒「自分の場合は」という前置きをつけて話す

 

メモ『仕事の「質」と「スピード」が上がる仕事の順番』田中耕比古(フォレスト出版 2023.4)
【満足度】★
【概要・感想】 著者は日本IBMを経て独立したコンサル。仕事がデキる人とは「当たり前を当たり前にできる」人のこと。劇的なコツはなく、基本に忠実かつ着実に。例えば、仕事をスタートする前に順番を考えるとかは当たり前の話として、無意識にやっている行動も多く、それをまとめたのが本書です。仕事の順番、会議の順番など、基本に忠実に出来ているかのチェックは本書にてご確認を。

【ポイント】

*軽いタスクがあれこれ残っている状態で仕事をしていると、実際にはひとつの作業しかして

 いなくても、脳内で軽いタスクが気にかかりマルチタスク状態になっています。(p.94)

 ⇒軽いタスクはその場で片付ける

 

メモ『上司と部下は、なぜすれちがうのか』本田 英貴(ダイヤモンド社 2022.8 )

【満足度】★
【概要・感想】著者はリクルートの人事を経て(マネジャーとして奔走するもメンタルで休職)、その後1on1の重要性に気づき、コンサルとして独立。1on1の必要性やリクルート時代の経験談まではよかったのですが、その一連の解決策として約3分の2くらいを割いて自社の1on1ツールKAKEAIの宣伝をしているのがかなりイマイチ。
【ポイント】

*脳神経科学の研究者は「人間はそもそも自分がわからない生き物を排除するもの」と指摘

 (p.54)

ようやく23年分の読書ブログのアップ完了し、読んだ本のまとめです。
大体、毎年GWが通常運転w

 

■年間読書冊数:65冊(22年:58冊、21年:55冊

 冊数に意味はなく、どのくらい時間割いていたのかという単なる目安。

 

王冠1面白かった本ベスト5(順不同)

・『彗星夜襲隊 』 渡辺 洋二

・『特攻セズ 美濃部正の生涯』 境 克彦

・『大本営参謀の情報戦記』 堀 栄三

・『国宝 (上)青春篇 / (下)花道篇』吉田修一

・『極楽征夷大将軍』垣根 涼介

 

歴史と吉田修一で占められています。ついに昨年はビジネス書で私的ヒットした本が無かった・・・。

12月に読んだ本は3冊(図書館本3冊)でした。
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【満足度】★★★ オススメ ★★ 面白い ★ 収穫少なめ 

 

<お気に入り順>

メモ『Deep Skill』石川 明(ダイヤモンド社 2022.10) 
【満足度】★
【概要・感想】著者はリクルートでAll Aboutを立ち上げ、その後独立したコンサル。人間心理への深い洞察=ディープスキルと名付けて「人間心理」と「組織力学」で人と組織を巧みに動かす方法について書かれていますが、「All About」立ち上げの経験談が中心で、なにか理論化しているわけでなく読んだ人がそれを聞いて活かすというスタンスでしょうか。参考になる内容もありましたが、基本的には「社会人を数年経験すればまぁ普通にそうしているよね」という内容でした。

【ポイント】

*「正論」は自分を律するために用いるべきでものであって、これを他者に押し付けても

 反発されるだけ(p.50)

*すぐに、“9回裏ツーアウト”だと思うから、おかしくなる。(p.70)

 ⇒ビジネス上のトラブルで、解決不能なものなく、ことさらに深刻になる必要などない。

*「壁打ち」(p.110)

 まだぼんやりしているが、考えていることや悩んでいることを聞いてもらい、相手に思いつく

 ままに感想や質問、アイデアを返してもらい、新たな視点を得る

 

メモ『日本的「勤勉」のワナ』柴田 昌治(朝日新書 2022.5)
【満足度】★
【概要・感想】著者は組織改革系のコンサル。副題の「まじめに働いてもなぜ報われないのか」に興味があり、読んでみました。日本人の持つ勤勉さや、置かれているルールの中で余計なことを考えずひたすら仕事を捌くことが今の停滞の主要因になっているという話には同意しますが、すでに前から言われていると思います。要は、思考停止せずに「考えてやる」という話ですが、コンサルでの経験で裏づけしたいだけなのか似たような話が続き退屈でした。

【ポイント】

*深く考えるということを経験したことがないから、すぐに「どうやるか」を考える方向に

 走るのです。(p.97)

 ⇒なぜ?どういう理由で?何のために?などものごとの背景を考える

*トヨタでは、=中略= 自分が負うことができるリスクの範囲内であれば、作業を任せる

 だけでなく、リスクがある重要な判断も任せる(p.121)

 

本『無くせる会社のムダ作業100個まとめてみた』元山 文菜(クロスメディア・パブリッシング 2023.9)
【満足度】★

【概要・感想】軽く目を通す程度で読んでみましたが、ムダ作業の“あるあるネタ”。普段から問題意識を持って仕事をしている人には参考にならないかも。一方、効率化をあまり考えたことがない人はヒントになるかもしれません。

【ポイント】

*ブルックスの法則(p.3)

 遅れているプロジェクトに人を追加しても、プロジェクトは更に遅延してしまう

 ⇒3分かかるカップラーメンを3人で作っても1分にはならない。

  タスク分解の限界やコミュニケーションの増加など

11月に読んだ本は5冊(図書館本4冊・購入1冊)でした。
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<満足度>★★★ オススメ ★★ 面白い ★ 収穫少なめ 

 

本『早く読めて、忘れない、思考力が深まる「紙1枚!」読書法』浅田 すぐる(SBクリエイティブ 2021.12)

【満足度】★★★
【概要・感想】当初、図書館で借り読み始めて、こりゃイイ本だ!と買い直そうと後回しにしていたらすっかり熱が冷めてしまい、借り直して今に至ります。個人的には久しぶりの読書本で、この読書日記も「紙1枚!」風に試しに改良してみたのですが、ちょっと合わずに一瞬で元に戻しましたw 読書の前にはそもそも選書がありますが、選書術についても書かれていました。読書論が長いので読み飛ばして、手っ取り早く紙1枚読書法のノウハウだけ読んで、実際どんどん試すのが良いかもしれません。

【ポイント】

*「めんどくさい」思考・「深める」思考・「没頭」思考を働かせるつもりで本を読む

 (p.40)

*3つの疑問で読書が深まる(p.64)

 ①読んで何が良かった(what?)

 ②なぜ良いと感じた(Why?)

 ③どう活用したか(How?)

*「著者の言葉」より、「自分が扱いやすい言葉」に変換する(p.72)

*「自分がなぜ、この本を読もうと思ったのか?」という「あなたの目的」を優先し、その

 目的を達成するために読んでいく(p.106)

 ⇒目的を明確にし、目的達成に関係しそうなところだけ拾い、自分なりに考えをまとめる

*「選書」には「3種類」ある(p.136)

 ①未知⇒既知 不明点の解消

 ②既知⇒既知 既知をさらに既知へ強化、修得する

 ③無知⇒未知 無知を自覚することで未知を増やす、問いを得るため

*この「言い換え・具体例」は、何を主張するための「=」か?

 この「対比・逆接」は、何を主張するための「⇔」か?

 この「根拠・因果関係」は、何を主張するための「⇒」か?(p.196)

*仕事に活かせる読書とは、「他者貢献」につながる読書(p.246)

 ⇒自己犠牲ではなく、他者志向

 

本『関東軍』及川 琢英(中公新書 2023.5)
【満足度】★★

【概要・感想】関東軍とは1919年に成立した陸軍の出先機関。関東州と満鉄を保護するための兵力で、戦争に向かう過程で多くの謀略に関与しました。本書はその誕生から崩壊(ノモンハン事変)までの軌跡です。日露戦争から繋がる関東軍という軍隊にフォーカスした歴史はとても興味深く面白かったです。ただ、中国サイドの動きがリンクしてくるので、中国軍の動きにもかなり紙幅が割かれていましたが、中国人特有の似た人名&世界史に疎い自分には、そこは全く入ってきませんでした・・・。

【ポイント】

*関東軍が密接な関係を結んだのが張作霖(p.19)

 ⇒中国要人と関係性を築き、中国情報の分析に専門的にあたったのが「支那通」と呼ばれた

*満州事変以前の関東軍司令官(p.41)

 大将下位あるいは中将上位のポスト。上原勇作に近い九州出身者が多く占めている。

*満州事変までに、陸軍中央では上層部を占める宇垣派の下、主要な課長級や班長級は、

 一夕会員によって占められることとなった(p.120)

*参謀副長は主に作戦・治安・情報など純軍事分野に従事した一方、参謀長は政治・経済・

 文化等の重要事項にあたった。(p.162)

*出先では、石原を見習って下剋上の風潮が広まり、功を焦る傾向が生じた。石原が抑えよう

 としても、なんら説得力はなく、後輩参謀の華北・内モンゴル分離工作を止めることは

 できなかった。(p.230)

 ⇒石原は磯谷廉介と対立し、病気療養を理由に帰国。陸相の東條を批判し続け、予備役へ。

*梅津麾下の関東軍は、以前とは打って変わって、好戦性は見られなくなっていた(p.254)

 ⇒梅津美治郎は親分肌でなく理性に徹し切ったタイプ。統制には司令官の性格が重要。

*満州事変時の関東軍は、=中略= 命令を受ける関係にない政府や陸軍中央をなおざりに

 して動いた。天皇隷属という点では出先軍司令官は陸軍三長官と同格であった。(p.279)

*満州国軍の養成に留意し続けたのが石原莞爾であった。(p.282)

 ⇒日中親善のために満州国の協和的発展が必要。

*関東軍では、作戦参謀の発言力の強さが目立つ。出先軍のなかで特に関東軍には、陸軍

 教育機関の成績優秀者が作戦参謀として集まった。(p.283)

 

クリップ『オリンピックにふれる』吉田 修一(講談社 2021.9)
【満足度】★★
【概要・感想】 「香港林檎」@香港、「上海蜜柑」@上海、「ストロベリーソウル」@ソウル、「東京花火」@東京という、一応、オリンピックをテーマにした4作の短篇集。ちなみに作品の時期がバラバラ且つ改題もしています。「東京花火」は2021年の作品で「オリンピックにふれる」が元々のタイトル。印象に残ったのはこの作品だけかな。

 

メモ『降伏論』 高森 勇旗(日経BP 2023.6)
【満足度】★★

【概要・感想】著者は元横浜ベイスターズの選手で、引退後はデータアナリスト・ライター、要はコンサルの仕事をしているようです。本のタイトルの「降伏」というのは、隈研吾の「負ける建築」に同じく、やや哲学めいた話が展開されるのかと思いきや「いますぐやる」とか「具体的に行動する」といったオーソドックスな自己啓発書でしたので、個人的には雑学が増えたといったところ。内容は平易でわかりやすいのでamazonで高評価なのもわかりますが、成りあがりのコンサルがやりがちな、どこぞやの経営者との交際から学んだ話を著書で紹介するより、プロ野球を経験した高森氏しか書けない6年間の選手時代のエピソードをメインに知りたかったなぁと。(現役時代、面白い選手だと思っていたので文体にかなり違和感・・・)

【ポイント】

*「素晴らしい質問だ。この場に、新しい気づきとディスカッションの観点を与えてくれて

 ありがとう。」(p.174)

 ⇒質問するという勇気に最大限の承認

*ホステスの接客の基本“さしすせそ”(p.184)

*人間は取り掛かるまで20秒以上かかる物事を先延ばしにする傾向にある。

 (p.216『幸福優位7つの法則』)

*現在の行動は過去の原因からでなく、未来の目的から引き起こされている

(p.226 アドラーの目的論)

 ⇒引きこもりは過去のトラウマではなく、人と会いたくない目的を達成するため

*ケラチノサイト(p.268)

 五感以外に気圧や電気も感じる。現地で皮膚からも音を吸収し、認知する。

 

本『ビジネスエリートが知っている教養としての日本酒』友田 晶子(あさ出版 2020.10)
【満足度】★
【概要・感想】タイトルも装丁もビジネス書のテイをしていますが、日本酒の作り方や基礎知識などオーソドックスな日本酒の解説本。一応、接待や会食での日本酒のマナーの話(注ぎ方は知りませんでいた!)はありましたが、先日読んだ2冊の方がわかりやすかったので星はひとつ。新政酒造の佐藤社長、旭酒造の桜井会長のインタビューコラムもありました。
【ポイント】

*一升瓶一本のお酒を造るのに、お米が1キロ必要です。(p.52)

 ⇒大吟醸の場合、50%削るので2キロ必要

*その年の最初に仕込まれたお酒の搾り立てをとくに「初搾り」といいます。(p.173)

*日本酒8、水2くらいの割合で混ぜてお燗に(p.175)

 

10月に読んだ本は6冊(図書館本6冊)でした。

今年度?の太平洋戦争シリーズ読み収めです。

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<お気に入り順>★★★ オススメ ★★ 面白い ★ 収穫少なめ 

 

本『極楽征夷大将軍』垣根 涼介(文藝春秋 2023.5)
【満足度】★★★
【概要・感想】直木賞受賞作です。足利尊氏・直義の兄弟とその執事の高師直などの視点から室町幕府成立を描いた時代小説。549ページ、しかも1ページ2段構成という超大作。一般的に鎌倉末期~室町は歴史好きでなければ地味でマイナーな時代ですが、登場人物それぞれのキャラを立てているから面白いし、かなり読みやすかった。ドラマ化して欲しいなぁ。

 

メモ『牟田口廉也とインパール作戦』関口 高史(光文社新書 2022.7)
【満足度】★★★
【概要・感想】牟田口司令とインパール作戦を徹底検証した内容ですが、世間一般のイメージとは逆に、当時の陸軍が任務重視型軍隊という有り方を考えれば、牟田口の評価は必ずしも悪いとは言い切れないのではないか?というのが本書の主張です。そもそも牟田口はインパール以前、「常勝将軍」として日本軍の勝利に貢献してきた人物。インパール作戦自体は、その必要性と可能性の検討が十分になされ、正規の手続きで認可されたもので、マジメな牟田口自身として与えられた条件でやるしかないと腹を決めていただけではないかという説にも説得力がありました。上層部も適切な作戦計画をしていないが、一方で指揮官だった牟田口に責任が無いとは言っておらず、インパール作戦=無責任の総和と結論づけていました。ただ、あれだけの犠牲を出した作戦の指揮官が戦後、普通に生き延びていたのには違和感が。

【ポイント】

*インパール作戦で、その責めを負うべきなのは牟田口の上に立つビルマ方面軍司令官、つまり 

 河邊正三中将である。(p.5)

*あらゆる努力は階級に集約される =中略= 階級上位者が戦略、作戦あるいは戦術能力も

 高く、人間的にも優れているということだ。(p.25)

戦意高揚の一環として、臆病と見られることを恐れ、恐怖心を克服するために楽観的な見通し

 を立てる(p.36)

 ⇒任務遂行型であるが故に消耗が激しい。それを有形戦闘力の不足を精神力で補おうとした。

*牟田口は =中略= 陸軍省や参謀本部での勤務が長かった。そのため、=中略= 部隊運用

 の基本的事項を、身をもって学ぶ機会を逸していた。(p.71)

*河邊が盧溝橋事件を、突発的な事故として事態収収拾を図ろうとしていたにもかかわらず、

 牟田口がまた事態を拡大へ向かわせた(p.91)

 ⇒牟田口が庶務課長時代の参謀次長で関東軍司令官・植田大将の意思に大きく影響

*日本はビルマ防衛のため、そして何よりも太平洋での戦局悪化を懸念し、カンフル剤の役目を

 インパール作戦に期待するようになった(p.148)

 ⇒ミッドウェイ、ガ島での敗退による国民の動揺を抑え、攻勢で華々しい戦果を得たい。

*可能性の検討を通じ、実行者である牟田口唯一人に作戦の判断が集中していく(p.158)

 ⇒作戦の可能性を高めるか、低いなら作戦を中止するかの選択肢が採られらなかった。

*稲田副長は上級司令部の参謀として隷下部隊指揮官である牟田口と何度も意見を交え、

 間違いがあったら正すべきではなかったか。(p.169)

*河邊中将も首相の意見に同意を表明する。河邊と東條は在スイス、ドイツ時代からの盟友

 =中略= 河邊中将もインド施策に対する強い意欲を胸中に秘めてビルマに赴任(p.196)

*山田(作戦主任)参謀は実行部隊である第十五軍の参謀や師団の参謀たちが、この作戦に

 心から同意していない実情を知った。山田参謀自身も、かねてからこの作戦には同意しかねて

 いたのだった。(p.228)

 ⇒必勝の信念が無く、補給に無理なところが多い

*そもそも太平洋戦争は中国との戦争に必要な物資を南方で獲得しようとして始まった(p.269)

*大本営あるいは南方軍は本作戦のあらゆる時期ににおいて、=中略= 潤沢な戦力を集中

 させることはなかった。=中略= これこそ、本作戦が無謀な作戦と呼ばれる由縁であり、

 悲劇的結末を迎えた最大の理由(p.316)

 

メモ『辻政信の真実』前田 啓介(小学館新書 2021.6) 
【満足度】★★★
【概要・感想】元・陸軍参謀の辻政信大佐の実像に迫る本格評伝。新書で430ページ、そのうち終戦後の辻に関する記述も1/3ほどあり、人物像に迫ります。半藤一利氏いわく「辻政信=絶対悪」といった悪いイメージしか聞かない軍人です。しかし一方で、戦時中は「作戦の神様」ともて囃され、東條から「国家の至宝たり得る人物」と呼ばれ、終戦後は衆院選に立候補、何度も当選を果たしています。まさに毀誉褒貶の人。そして58歳で突然の失踪。つくづく不思議な人物・・・。各戦場で武運に恵まれ、人に恵まれ、もし稲田が罷免を求めた際、板垣陸相が見限っていれば軍人として終わっていたはずが、不幸にも大きな舞台に進んでいきます。頭が良く、我が強く、強気。それ故に「独断専行」(が、無鉄砲ではなく、事前に緻密に調査する)。現代の組織においてもそれに近い人を見かけることがありますが、そんなイメージの人でしょうか。

【ポイント】

辻の評価のもとになったのが、この前線での勇猛果敢さであったことは間違いない。(p.161)

 ⇒辻の激励を受けると越権行為でも感動してしまう。それが免罪符となった面もある。

*対ソ不拡大の方針から逸脱し、決戦の覚悟を決めつつある関東軍に対し、=中略= 特に

 危機感を持っていたのが、=中略= 陸軍軍事課長の岩畔豪雄だった。(p.177)

*稲田(正純)は、タムスク爆撃直後から、辻を関東軍から外すよう多方面に働きかけを行う。

 (p.187)

 ⇒積極果敢に突き進んでくれるが、やりすぎる

「辻心酔者が、ここに百人あるかと思えば、彼を憎悪する人も、そこに百人あるという人物

 なのである」(p.219 池谷半次郎)

*辻の清廉潔白や有言実行は、同じ環境、同じ価値観を持った軍隊の中で最も効果的だった。

 (p.376)

 

メモ『服部卓四郎と昭和陸軍』岩井 秀一郎(PHP新書 2022.6)
【満足度】★★
【概要・感想】陸軍作戦課の服部卓四郎についての評伝。服部は作戦課長として大東亜戦争の始めから終りに近い段階まで参謀本部の中枢にいて、ノモンハン事件の際は関東軍の作戦主任参謀として、そしてあの「辻政信」が大変慕っていた人物。戦後、彼がどうなったのかは全く知らなかったのですが、実はGHQからの信任が厚く、その庇護の下、戦史編纂事業に従事することになり、予備隊の幕僚長候補にまでなっていたと知りました。陸軍の中枢にいた人物が責任を取らず、戦後も表舞台に近いところにいた事実には驚きました。服部評を通じて、陸軍(というか日本軍全般)の組織的な欠陥についても斬り込んでいます。
【ポイント】

*服部は、同じく関東軍で少佐だった片倉衷に対し、=中略= 石原を失った代わりとして、

 辻を呼び戻したいと訴えている(p.24)

*当時の関東軍には国境侵犯に対して強硬姿勢をとる雰囲気が漂っていたとみて間違いがない。

 (p.40)

 ⇒辻の強力な牽引力は事実として司令官の植田の態度も問題。若手参謀が勢いづくのは当然

*服部は、自分から何かを率先して主張することはあまりなかったが、=中略= 「賛同者」

 として強硬論に与することが多かった。(p.54)

*関東軍の作戦参謀らは、この「前提条件が変わる」可能性を考慮に入れていなかったという。

 (p.58)

 ⇒ノモンハンでは「トラック」ではなく「大八車」という手段での想定

*服部は外面人当たりがよく、一見すると温厚な人物として認識されていた(p.78)

 ⇒だからこそガ島の失敗にも関わらず、参謀本部の中枢に返り咲いたのではないか。

*東條のもとで日米交渉妥結のために奔走し、開戦を要求する参謀本部と交渉にあたったのは

 軍務局長の武藤章であった。(p.84)

*大本営とは戦時に際して設置される陸海軍の統帥機関(p.90)

 ⇒日露戦争以来、昭和12年の盧溝橋事件後に設置。

*海軍側で服部の地位に相当するのは軍令部第一部第一課長の富岡定俊大佐(作戦部長)

 である。(p.93)

 ⇒海軍大学校主席卒業のエリート。ポツダム宣言調印式の海軍代表。服部との関係は良好。

参謀本部の中でも中心は「作戦部-作戦課」であり、その優越的地位は他の部局を圧倒して

 いた。(p.132)

*服部の部下だった高山信武ですら陸軍の敗戦の責任について「主として作戦課が負うべきで

 あろう」と述べている。(p.184)

 

本『すごい言語化』木暮 太一(ダイヤモンド社 2023.6)
【満足度】★
【概要・感想】言語化しないと伝わらないという当たり前の事例が延々書いてあり、期待

はずれでした。タイトルからコミュニケーション全般の内容かと思いましたが、プレゼンや営業トーク系、しかも初級の人向け。言語化のノウハウというより、何事も具体的に伝えましょうというだけの話でした。

 

本『自衛隊の闇組織 秘密情報部隊「別班」の正体』石井 暁(講談社現代新書 2018.10)
【満足度】★
【概要・感想】TBS日曜劇場「VIVANT」の原案で、身分を偽装した自衛官が国内外でスパイ活動を行う「別班」について取材したノンフィクション。結局、「別班」の詳細を知っている自衛官がその秘密をペラペラ話してくれる訳もなく、「別班」の全貌はもちろん、実際に何に関与したのか全く不明で、単に「闇組織」取材の苦労話が書かれているだけでした。さらに言えば、そもそも元○○のA氏など、そういった発言の信憑性もよくわからず、ほとんど宇宙人がいる、いないの話と変わらない気が・・・。

9月に読んだ本は8冊(図書館本7冊・購入1冊)でした。
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<お気に入り順>★★★ オススメ ★★ 面白い ★ 収穫少なめ 

 

クリップ『ブランド』吉田修一(KADOKAWA 2021.7)

【満足度】★★
【概要・感想】

有名ブランド(ティファニー、エルメス、パナソニック、日産など)の広告×文学という吉田修一の短編集&エッセイ。初期の頃の、ゆったりのんびりした文体が好きな自分はかなり楽しめました。そもそもたった数ページの分量で読者を引き込む物語が書けるんだから凄い。最初の方が短編っぽく「世田谷迷路」「ティファニー2012」「日常前夜」などお気に入り。後半はANAの機内誌っぽいエッセイかな?

 

本『日本酒テイスティング』北原 康行(日本経済新聞出版社 2016.3
【満足度】★★
【概要・感想】

類書でありがちな醸造の工程の話など、本書ではほとんどなく、ソムリエの著者がエリアとタイプに分けた26種類の日本酒を2本づつテイスティングしながら、味をわかりやすく解説してくれます。東はエレガント=香りは高く、味わいは淡麗(静岡含む)、西はパワフル=香りは低く、味わいは濃い複雑。実際にそういったイメージはありましたが、本書を読んで納得。焼肉に白ご飯を考えればステーキにワインではなく日本酒が合わない訳がないという指摘も考えたことがなかったです。
【ポイント】

*土地のものと合わせること。山形県のお酒なら、山形県の郷土料理と合わせれば喧嘩しない。

 どちらも同じ水でつくられているから、当然(p.63)

*精米歩合60%というのは、玄米の表層から40%を削りとって、中心部の60%を残した

 (p.111)

 ⇒雑味になるたんぱく質や脂質は米の表面に。磨かなければお米本来の風味が残る。

*精米歩合40%のとき、純米大吟醸・特別純米酒・純米酒のどれを名乗るかは、蔵元の意向で

 決められます。(p.146)

*純米酒や本醸造は、料理あってのお酒(p.148)

 ⇒本醸造は味わいが淡い。どんな料理にも合わせやすい。

*純米酒の最大の特徴は、お米の風味が味わえること。=中略= お米本来の甘味。(p.150)

*出回っている生酛づくりの大半は純米酒です。(p.174)

*山田錦には男性的な力強さが、五百万石には女性的な繊細さがある。(p.194)

*雄町(おまち)と山田錦に共通するのは、戦前生まれで、長い歴史をもった酒米だということ(p.202)

 ⇒出羽燦々、五百万石、八反錦、美山錦は戦後生まれ。

 

本『日本酒の科学』和田 美代子(講談社ブルーバックス 2015.9)
【満足度】★★
【概要・感想】

日本酒について科学的にわかりやすく解説。数年前の本ですが、当然、酒造りは劇的に変わることはなく、日本酒に興味があれば読んで損ありません。日本酒に関する雑学が増えました。

【ポイント】

*米の出来がかんばしくなかったからといって、「今年の酒はまずい」という消費者の声を耳に

 することはまずありません。(p.98)

 ⇒味を揃える技術が確立されている日本酒にはワインでいう当たり年はない。

*ワインはブドウの糖分、ビールは麦芽の糖分、日本酒は米のデンプンからの糖分を原料

 として酵母がアルコール発酵したもの(p.114)

*山邑太左衛門は、=中略= 京都の寺を訪れた折に「臨済正宗」の経典を見てひらめいた

 というのが有力な説です。太左衛門は清酒に語感が似ていることから、経文通りセイシュウ

 のつもりでしたが、江戸っ子はみなマサムネと呼び習わしました。そして灘の酒が下り酒

 として江戸で人気が上がったこともあって、「正宗」の名にあやかる蔵元が続出しました。

 (p.189)

*早春に搾って火入れをしてから貯蔵し、夏を越す間に熟成させ、=中略= 出荷時にも

 火入れをせずに貯蔵時の冷や状態のまま卸すので、「ひやおろし」(p.208)

 

本『明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと』高津 臣吾(アルファポリス 2022.10)

【満足度】★★
【概要・感想】

20~22年夏までのペナントレースでの高津監督流マネジメント術。自分の抱えている課題や問題を、高津監督の言葉と重ねてみるとその答えやヒントになるかもしれません。ノムさん語録が多いように思いましたが、野村チルドレンだからそりゃそうか。また、野球ファンとしてスワローズが上昇気流に乗っていく過程をたどる物語としても読んでも楽しいと思います。
【ポイント】

*野村さんは常々、「監督とは気づかせ屋だ」と話していた。選手が自らさまざまなことに

 気づくよう仕向けるのが、監督の仕事であるという意味だ。(p.30)

何か責任を与えることで、人は一気に成長する。周りも、そしておそらくは本人も気づいて

 いなかった新たな一面を引き出すことができる。(p.113)

*凡打に終わった場面で、どういう気持ちで打席に入ったのか?あるいは、エラーをした場面

 で、どういう準備をして臨んだのか? そこに改善すべき点、反省点は無かったのか?

 (p.216)

 

本『 独ソ戦』大木 毅(岩波新書 2019.7)
【満足度】★★
【概要・感想】

1941年から始まった人類史上最大の殺戮と惨禍をもたらした独ソ戦。詳しく知らなかったため、本書で知識を習得。ドイツは戦争目的を達成すれば講和で終結するといった戦争ではなく、人種主義に基づく社会秩序の改編と収奪による植民地帝国を目指し、「敵」と認識した者の命を組織的に奪う、絶滅戦争を行ったという点がまずはよくわかりました。なので、ああいう殺戮を生むことになったのかと。作戦面などの部分は正直あまりイメージできませんでしたが、日本も然り、結局、戦争は合理的な判断などは無くなり、滅茶苦茶な結末を迎えることが必然的なのかもしれません。

 

本『ソニーデジカメ戦記』石塚 茂樹/述 (日経BP 2023.5) 
【満足度】★
【概要・感想】

本書は、デジカメ登場からコニカミノルタのカメラ事業を継承し、プロジェクトを牽引してきたソニーの元・副会長・石塚茂樹氏へのインタビューをまとめたもの。ソニー本にハズレなしだったのでとても期待していたのですが、本書はあまりにもカメラの性能や技術的な話とその歴史にフォーカスされ過ぎて、素人にはよく理解できません。第11章で、盛田氏本人が新しい技術に好奇心を持ち、いきなり現場に電話をかけ疑問点を聞いてきたエピソードは興味深かったですが・・・。

 

本『中先代の乱』鈴木 由美(中央新書 2021.7)
【満足度】★
【概要・感想】

北条氏は先代、足利氏が当御代、そしてその間の中先代とは北条高時の遺児・時行のこと。鎌倉幕府滅亡後に後醍醐天皇による建武の新政~室町幕府成立と時代が流れていく中で、中先代の乱とは北条氏の残党が幕府再興のため、時の政権に不満を持つ武士勢力を取り込んで、鎌倉を一時占拠するも出陣した足利尊氏に敗れる一連の出来事。要は、こういった話なのですが、本書はなにかと枝葉になり過ぎていて何が言いたいのか、非常に読みにくい内容でした。ページ数の半分は中先代の乱に関する記述ではないし、北条時行にのみクローズアップすればよかったのではないかと。

 

本『 1年で億り人になる』戸塚 真由子(サンマーク出版 2022.11)
【満足度】★
【概要・感想】

amazonで評価が高く、図書館の予約件数も異常に集中しているのは謎というか驚き・・・。億り人は目指していませんが、なにか資産運用のヒントが無いかと思って読んでみましたが、要は借金で元手を作り、現物投資(不動産・時計・車・宝石など)せよと。つまりハイリスクハイリターン。(複式簿記を個人に当てはめる考え方は斬新でしたが・・・) なにより行動は大事だと思いますが、行動すればうまくいくという訳ではなく、そもそも著者の師匠某も何者かわからないし、信用に足る人物なのかと。

8月に読んだ本は5冊(図書館本5冊)でした。
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<満足度>★★★ オススメ ★★ 面白い ★ 収穫少なめ

 

メモ『「太平洋の巨鷲」山本五十六』大木 毅(角川新書 2021.7) 

【満足度】★★★
【概要・感想】

「独ソ戦」の著者が、戦略・作戦・戦術の三次元で山本五十六の用兵思想を考察した本。映画やドラマで取り上げられる山本五十六は有名過ぎて逆になんとなくしか知らなかったのですが、本当の人物像に近いと思われるイメージが持てました。日米開戦に進んでいく理由やその臨場感、ミッドウェイ海戦の敗戦を経て、なぜラバウルという場所で戦死する結末になってしまうのか、よく理解できました。連合艦隊司令長官の職を辞してでも開戦を止めなかったのか? 果たして凡将なのか名将なのか?300ページ強の新書でしたが、あっと言う間に読めました。

【ポイント】

*山本は、=中略= 職人の修業のような教育・訓練ではなく、合理的なやり方で、均質化

 された伎倆をもつ搭乗員を育成しようとした(p.62 霞ヶ浦航空隊副長兼教頭時代)

*中国とのいくさを、敢えて戦争と呼ばず、「北支事変」=中略= などと命名したのも、

 =中略= 戦争指導機関である大本営を設置すれば、日本は戦争状態に入ったとアメリカに

 認定されかねないと懸念し、反対だった。(p.116)

 ⇒国際法的に戦争となれば、アメリカから輸入できなくなってしまう

*ドイツの勝利は、=中略= フランスの植民地蘭印といった地域に対し、「南進」を実行

 すべし、=中略= という主張が力を得てきた(p.162)

*対英戦の停滞とロシア侵攻というお家の事情から、ドイツはまたしても日本を必要とする

 ようになっていた(p.168)

*「私は大臣に対して絶対に服従するものであります。只心配に堪えぬところがあります

 ので、お尋ね申し上げます。=中略= 三国同盟の成立したときには、英米よりの資材は

 必然的に入らぬはずでありますが、その不足を補うため、どういう計画変更をやられたか、

 この点を聞かせて頂き、連合艦隊司令長官としての任務を遂行していきたいと存じます。」

 (p.173)

*南部仏印進駐の報を聞いた米国務省は、=中略= 間髪いれずに「征服行動」であると声明

 を出した(p.184)

 ⇒これくらいでアメリカは出てこないと実行したが、対日石油禁輸の決定が下された

*軍令部は、平時においては国防方針、=中略= 戦時にあたっては、=中略= 海軍戦力の

 最善活用ができるよう、艦隊長官に指示することを任務・職掌としていた。(p.211)

 ⇒軍令部は天皇の意志に基づく形で、艦隊長官に命令する権限を持つ。連合艦隊司令長官は

  ラインのトップで、軍政は海軍大臣、作戦は軍令部総長の指示を受けることになっていた。

*空母を一艦隊に集中させ、強大な打撃力を持たせる発想を持ち込んだのは、小沢治三郎

 だった。(p.215)

*山本は「真珠湾攻撃の主目的を敵の士気低下においていた。」(p.229)

 ⇒海軍力の象徴である戦艦を港内万人環視の中で撃沈するのが最も効果的と考えていた

*国家の興亡が懸かった戦略が、連合艦隊と軍令部の力関係や駆け引きによって、決まった

 のである。(p.253)

 ⇒この案が通らなければ山本長官は辞職すると言っておられる

*山本戦略は、開戦およそ半年で、早くも挫折したのである。従って、山本はMI作戦で重大

 な戦略的失敗を犯したと判断せざるを得ない。(p.258)

*明治のころは、陣頭に立って現場の総指揮を取るのが、連合艦隊司令長官の機能であり、

 責務だった。だが、昭和の連合艦隊司令長官は、通信機能に優れた中央司令部から、広大な

 海域に展開した艦隊や航空隊の全般的統帥に当たるべきだと、山本は考えはじめていた  (p.294)

*山本のラバウル進出には、連合艦隊司令長官と軍令部の二元性、硬直した年功序列といった

 日本海軍の制度組織上の問題が露呈していた(p.296)

 ⇒機動部隊司令長官・小沢治三郎が航空艦隊司令長官の草鹿任一より後任であるため、

  関係がぎくしゃくしており、山本の直接指揮を仰がねばならない

 

本『「静かな人」の戦略書』ジル・チャン(ダイヤモンド社 2022.6)

【満足度】★
【概要・感想】

話題書。著者をよくよく調べるとエリートで美人。著者は本当の意味での内向型なのか?(内向型として成功したのか?)という気がします。内向型の傾向にはとても共感したのですが、内向型/外向型とカテゴライズしているだけで、実務的な解決策としては至って普通のビジネス書の内容・・・。内向型だからといって外向型に比べて、特になにかが優れているという気もせず。要は著者のエッセイでした。

【ポイント】

*うまい試合運びができたときは、試合後のインタビューで「僕たち」という主語を使う。

 でも、うまくいかなかったときは、「僕」という主語を使う(p.340 J・スピース)

 

メモ『早期退職時代のサバイバル術』小林 祐児(幻冬舎新書 2022.3)
【満足度】★

【概要・感想】

タイトルや「働かないおじさん」というキャッチーなキーワードで釣ってはいますが、中高年の働き方について想像よりもアカデミックな内容でした。過去から現在までの日本的経営の特徴や、社会構造からの分析を絡めて男性中高年の働き方を分析することで「働かないおじさん」にならないためにはどうすべきか?といったところでしょうか。

【ポイント】

*コンピテンシー・トラップ(p.247)

 特定の事業が成功すると、それとは異なる新しい事業の芽を広く探索する努力を怠り、

 中長期的なイノベーションを停滞させてしまう。

 ⇒既存の範囲を超えて知見を広げていく&特定分野の知を深掘りしていく両面が必要 

 

メモ『最強リーダーの「話す力」』矢野 香(ディスカヴァー・トゥエンティワン 2022.9 ) 
【満足度】★
【概要・感想】

著者は元NHKのアナウンサー。普段の話す力向上策として読んでみましたが、メルケル氏や豊田社長、田中角栄そして北条政子など大勢の人前でプレゼンや講演をする人向けの内容でちょっと期待ハズレ。本書のキモのセルフ・パペット(離見の見・ペルソナ・演じる)の概念や、定番のPREP法など特に目新しい内容もなかったのですが、amazonの口コミでは高評価。これは一体・・・。

 

本『宇宙人と出会う前に読む本』高水 裕一(講談社ブルーバックス 2021.7)
【満足度】★
【概要・感想】

アメトーークの読書芸人で薦められていた本。気軽に手に取ってみたのですが、これが意外や意外、ガチの理系本。物理&科学など一定の知識があればそれなりに楽しく読めるのかもしれないが、文系の自分には難しすぎてほとんど理解できず・・・。視点は面白かっただけにもう少し初心者向けだと良かったです。

7月に読んだ本は5冊(図書館本3冊、購入2冊)でした。
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<満足度>★★★ オススメ ★★ 面白い ★ 収穫少なめ 

 

クリップ『半オートモードで月に23.5万円が入ってくる「超配当」株投資』‎長期株式投資(KADOKAWA 2023.5)

【満足度】★★★
【概要・感想】

高配当株への投資について超実用的な内容。各セクターごとの代表企業を挙げ、4段階評価にコメント。イメージもしやすく、著者の保有株全銘柄紹介も大変参考になりました。安全性や収益性の分析方法についてもわかりやすく、ある意味、株関係なく経営分析の入門書としても普通に使えると思います。タイトルこそ煽り気味ですが、かなり地に足のついた内容で、かつ平易で理解しやすく、実戦向きです。投資先に迷ったら本書を読み返したいと思います。

 

クリップ『湖の女たち』吉田修一(新潮社 2020.10)
【満足度】★★★
【概要・感想】

福士蒼太、松本まりかで2024年初夏映画化される小説。だいぶ積読してしまっていたけど、読み出したら止まらない。琵琶湖近くの介護施設を舞台に捜査で出会った男と女。意味のわからないところ、詰め込み過ぎを含めて総じて面白かった!(元々こういう作家やん、と) 久しぶりにドロドロ・モヤモヤ系で後味の悪い黒吉田修一作品でしたw  

 

メモ『みんな違う。それでも、チームで仕事を進めるために大切なこと』岩井 俊憲(ディスカヴァー・トゥエンティワン 2022.8)

【満足度】★★
【概要・感想】

著者はアドラー心理学に基づいた企業研修、セミナー、講演などを行うコンサル。多様な価値観が尊重される現代で、その集団をチームとしてまとめるためにリーダーとしての視座をアドラー心理学に則って解説。アドラー心理学は自分のキャラに合っていて親和性が高く、類書は何度か読んでおり、特別に目新しい事も書いてありませんでしたが、初学者には良書だと思います。

【ポイント】

*仕事を進めていくためには、「判定・ジャッジ」より、「解決策」(p.13)

 ⇒これから何が出来るか、解決策を話し合う。与えられたものをどう使いこなすか。

*環境の影響は受ける。だが、決定打ではない。(p.41)

 ⇒○○だから必ず××になるという因果関係はない。だから、建設的な方向に進もう

より多くの視点、より広い視点を借りて考えたほうが、より建設的な考え方であり、常識的

 (p.88)

 ⇒まわりの意見を聞き、自分の感覚を「チューニング」していく

*「この行動の結末は最終的に誰に振りかかるのだろうか」と考えてみてください。(p.115)

*部下から相談された場合は、問題を解決する方法を、必ず「リーダーと部下が共同で考える

 こと」(p.131)

 

本コミュ力は「副詞」で決まる』石黒 圭(光文社新書 2023.4)
【満足度】★
【概要・感想】

コミュ力向上として「副詞」に着目した点が気になり読んだのですが、かなり文法寄りの固い話で読みにくかったのが本音です。副詞とは、話し手の気持ちを伝える言葉で、副詞自体には情報が含まれていないので、あえて言うというところに重要な役割がある、という点には納得しました。感情を込めると出てくる表現はしっかり(←こういうの)覚えておきたいところ。

 

メモ『データ分析読解の技術』菅原 琢(中公新書ラクレ 2022.3)
【満足度】★
【概要・感想】

怪しいデータ分析に対抗する力を養成する本。実際に失敗した分析例を確認し、なにがどう間違っているのかを理解していくことが分析の読み方を鍛える最も効率的な方法としていますが、その構成が本書の読みにくさの原因なのかもしれません。一応、読みやすいよう随所で配慮もありますが、特に交絡因子の出てくる後半は超難解で理解できませんでした。

【ポイント】

*データ分析を行う上で最も大切で基本的なことは、分析しようとしている対象、現象、

 あるいはデータそのものに関する理解です。(p.9)

 ⇒想像力や連想を働かせて規模感を掴む癖をもつ

6月に読んだ本は7冊(図書館本5冊・購入2冊)でした。

※「国宝」は上下合わせて1冊でカウント
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<満足度>★★★ オススメ ★★ 面白い ★ 収穫少なめ 

 

クリップ『国宝 (上)青春篇 / (下)花道篇』吉田修一(朝日新聞出版 2018.9)
【満足度】★★
【概要・感想】単行本購入後、5年経ってようやく読み始めました。花井半二郎という歌舞伎の女形の生涯です。実写化する場合の配役を考えつつ、青春篇の終わりから面白くなり、花道篇まで一気に読み終わりました。吉田修一特有のドロドロは少なく、かと言って爽やかでもありませんが、スピード感があり引き込まれます。歌舞伎を知らなくても十分楽しめる作品。

 

本『年間100万円の配当金が入ってくる最高の株式投資』配当 太郎(クロスメディア・パブリッシング 2023.2) 

【満足度】★★
【概要・感想】 高配当株投資の指南書。と言っても、単純に高配当株を上から順に買うという話ではありません。現時点の配当利回りで判断するのではなく、増配によって雪だるま式に受取配当金が年々増えていくのが狙い。増配率を考慮して、現時点で配当利回り2%くらいで増配しそうな企業の株を早めに買っておく、この目利きこそがキモです。高配当株の多いセクターはメモに残した通り。著者注目の15銘柄の紹介もありますが、そこは類書と大差ありません。

【ポイント】

*下がったから買うのではなく、=中略= 自分が買える時にしっかり買って、株数を

 増やしていく(p.86)

*「参入障壁が高い企業」に投資する(p.106)

 ⇒銀行・金融・商社・保険・通信キャリア

*個人投資家が信じるに値するような基準は、「1株当たり利益」だけ(p.135)

 ⇒その株がどれだけ稼いでいるか。

*配当株投資は最低でも10年くらいの期間を想定しますから、過去の実績を見るならば、

 少なくとも10年は遡る(p.145)

*買った後に1株当たり利益が上がれば、基本的に株価収益率は低くなる(p.149)

 

クリップ『「数学的」話し方トレーニング』深沢 真太郎(PHPビジネス新書 2022.12)
【満足度】★★
【概要・感想】著者はビジネス数学なる能力の人材教育を手掛けるコンサル。「数学」と言っても

数字を使って話すという意味ではなく、「数学的に話す」方法について、話し方を変えるために、「思考」を変えるという順序で本書は展開されていきます。その根幹は「数学とは、説明である」と。公式化すると、数学的な話し方=定義×(分解+比較)×(構造化+モデル化)です。豊田社長、林修、イチロー、宮田裕章など話のわかりやすい有名人の発言を例に分析していてイメージもしやすい。また、演習問題も28問用意されており、実践しやすい工夫も散りばめられています。人になるほどと言わせる場面を多く作っていきたいものです。
【ポイント】

導入→主張→解説→結論(p.50)

 導入:定義をする(AとはBである)⇒定義するのは、言葉・話す時間・前提・話す目的

 解説:分解・比較・構造化(例え話)・モデル化(型にする)を組み合わす

 話し方の善し悪しは導入解説で差が生まれている。

*わかりやすく話す人の共通点は、話す前にその内容を分解している(p.110)

 ⇒ex.ポイントは2つあります。

*わかりやすく伝わる内容は、図解することができ、そしてそれは必ず「塊」と「矢印」で

 表現できます。(p.131)

 ⇒スムーズに図解できないならそのテーマに対しての理解が足りていない

*1メッセージを1分間で、最大3要素までで説明し切る(p.134)

 ex.主張に対して根拠は3つです/主張を前提、分析、結論という3つの順で説明します

*時間軸の比較で話す(p.155)

 ex.少し前は&これからは /いま必要なこと&これから変わらなければ手遅れに 

「数字で話そう」ではなく「比較して話そう」(p.168)

 ex.AとBの対比で説明します

*日常のコミュニケーションでクイックに使える法則を知識として持っておくこと(p.235)

*説得力のある話とは正しそうな話のこと(p.247)
 数学的:正しそうに説明する

 

メモ『話し合いの作法』中原 淳(PHPビジネス新書 2022.9) 

【満足度】★★
【概要・感想】 著者は立教大の教授。「話し合い」というものは求められる割に、どこかで教えられたり、学んだこともないのが実情です。そもそも日本人は話し合うのが苦手・・・。話し合いが成立していないこともしばしばありますよね。よく言われますが、多様性や不確実な世界では自分の強みを持って集まり、話し合い、決めていくことが大事。その一助となる一冊です。

【ポイント】

*シェア―ド・リーダーシップ(p.63)

 いつも同じ人がリーダーではなく、今手掛けていることが得意ならリーダーになり、他の人

 の方が得意ならフォロワーに回ってチームに貢献する。

*議論を通して、どこからどこまでがわかり合えているか、どこからわかり合えないか、知る

 こと。(p.84)

*対話の効果とは、「この問題については、Aという意見とBという意見がある。この2つは

 こういう部分で違いがある」ことを明らかにして、いったん、メンバーの間で共有する(p.92)

*話し合いとは、「私は~と感じる」を出し合う「対話」からはじまり、「私たちは~したい」を

 決める「決断」に至るコミュニケーションである(p.132)

 ⇒主語を私にして語ること から 主語を私たちにして決めること

*重要なのは、対話に参加しているすべてのメンバーが、なんらかのかたちで、ケリのついて

 いない課題に対して「自分と関係がある(当事者である)」と思えていること(p.135)

 ⇒漫然と雑談になってしまう。話し合う必要性と、話し合いによるメリットを理解

*フォーカスされた問い(p.150)

 職場の中で気になったことを教えてください

 ここ3ヶ月で職場の中で気になった出来事を1つ教えてください

*行為を行った結果、そこで「何を言っても、干されない」という経験をした「あと」で、

 はじめて、心理的安全性というものは実感できる(p.178)

 ⇒一言でも全員が発言し、皆がそれに関心をもって聞く

 

本『映画を早送りで観る人たち』稲田 豊史(光文社新書 2022.4)
【満足度】★★
【概要・感想】1974年生まれのライターが21年にネットサイトに寄稿した9本の記事を元に書いた本。『作品の鑑賞』ではなく『コンテンツの消費』はデジタル化が進んだ時点で始まった話ですが、タイムパフォーマンスという概念と組み合わさって、最近は流し見・倍速視聴を助長している気がします。倍速視聴の背景として、①作品の供給過多 ②コスパを求める ③セリフで説明する作品の増加 が挙げられると指摘されています。Z世代を中心にTIKTOK、リールが流行っている点からも、「わかりやすく面白く、そして短時間」という傾向は一定程度あるのではないかと思いました。
【ポイント】

*10秒間の沈黙シーンには、10秒間の沈黙という演出意図がある。(p.13)

*「観客が幼稚になってきているんだと思う。=中略= 全部説明してもらって、はっきり

 させたい。自分の頭が悪い事を認めたくない。だから、理解できないと作品のせいにする。」

 (p.95)

 ⇒SNSの誕生で気軽に「わかんなかった(だから、つまらない)」と被害報告を発信できる

  ようになったことが、説明セリフ過多の作品を生み出した可能性が高い

*Z世代を中心とした層に、「回り道」や「コスパの悪さ」を恐れる傾向は強い。(p.167)

 ⇒子どもをめぐる環境が親切になっている。そのため、耐性が低い。

*共感できるかどうかは物語の魅力のひとつではある。しかし一方で、到底共感できない

 人物の行動を目の当たりにすることで、人間という存在がいかに多様で複雑であるかを、

 畏怖や驚嘆とともに理解する。これも鑑賞行為の豊かさを構成する、欠くべからざる要素

 (p.206)

 ⇒自分の考えを補強してくれる物語を求め、強化することは他者視点の圧倒的な欠如

*リキッド消費(p.246)

 ①短命(次から次に) ②アクセスベース(購入ではなくレンタル・シェアリング)

 ③脱物質的(物質を少なくしか使用しない消費)

 

メモ『奇跡の小売り王国「北海道企業」はなぜ強いのか』浜中 淳(講談社+α新書 2022.8)
【満足度】★
【概要・感想】著者は北海道新聞社の記者。新書で350ページの超大作。ユニクロ、イオンしかり地方がルーツのチェーンストアは多いですが、北海道は特にその傾向が強く、本書ではその理由を探ります。小売業界の黎明期で必ず出てくる渥美俊一氏のペガサスクラブの影響もあり、北海道発のチェーン店で全国区になった企業(ニトリ、ツルハ、セコマ、ホーマック、コープさっぽろ等)は、志の高さ・構想の大きさが特徴で、早い時期から効率経営、投資を行ってきました。各企業の発展してきた歴史は興味深かったのですが、章のタイトルと内容が一致していないこともあり、全体的には何が言いたいのかわかりにくく、ぼやけた印象でした。(完全に企業別でまとめた方が読みやすかったのも?)

 

本『数字のセンスを磨く』筒井 淳也(光文社新書 2023.2)

【満足度】ーーー
【概要・感想】著者は社会学者の筒井氏。最初、数量化のセンスあたりは読みやすいと思いきや中盤に進むにつれ難解になり、実質、読み飛ばしに。実例を挙げて検証する本は自分の性に合わないもので・・・。著者の専門としている計量社会学の内容なのかも?

5月に読んだ本は8冊(図書館本7冊・購入1冊)でした。

三連休で時間もあるし、久しぶりにアップ。
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<満足度>★★★ オススメ ★★ 面白い ★ 収穫少なめ 

 

本『彗星夜襲隊 』 渡辺 洋二(光人社NF文庫 2008.3)
【満足度】★★★
【概要・感想】太平洋戦争中、特攻を拒否した美濃部正少佐が指揮する「芙蓉部隊」の奮戦について書かれた本。その芙蓉部隊とは海軍804、812、901の3飛行隊(最終、第131海軍航空隊)の夜戦部隊の総称で、元々はニックネームでしたが、自他共に認める独立部隊です。本書は美濃部少佐本人の話よりも芙蓉部隊についての記述に詳しいです。「芙蓉部隊」所属の隊員の戦歴や太平洋戦争全体の記述が多いため、やや重たい内容かもしれませんが、個人的には『特攻セズ 』よりも本書の方が臨場感があり、感情移入して面白かったです。

【ポイント】

*「精神力一点ばかりの空念仏では、心から勇んで発つことはできません。同じ死ぬなら、

 確算のある手段を講じていただきたい」(p.106 美濃部)

*参謀は長官、司令官を補佐して作戦・用兵を立案するのが任務だ。いわば作戦専門屋の

 参謀が、特攻攻撃しか思いつかず、一飛行隊長に代案を問おうとは!(p.106)

「二〇〇〇機の練習機を特攻に狩り出す前に、赤トンボ(93式中間練習機)まで出して

 成算があるというのなら、ここにいらっしゃる方々が、それに乗って攻撃してみるといい

 でしょう。私が零戦一機で全部、撃ち落としてみせます!」(p.107 美濃部)

*飛行長の肩書きが付くと、空中指揮は行わないが、航空隊の持つ全飛行隊の飛行科と

 整備科を地上指揮できる(p.110)

*芙蓉部隊は、機動部隊に対する攻撃はもちろんのこと、索敵つまり偵察任務も請け負って

 いるうえ、飛行場攻撃も兼務している。索敵は毎日必要だし、飛行場は固定目標として

 つねに存在するため、出撃は連日(p.165)

「彗星」の夜間飛行が零戦よりも絶対的に有利なのは、後席に航法専門の偵察員が乗って

 いることだ。(p.183)

*芙蓉部隊では、進出したての人員に少なくとも数日間は作戦出動させず、また初動は

 比較的容易な任務を与えた。(p.199)

 

本『特攻セズ 美濃部正の生涯』 境 克彦(方丈社 2017.8 )
【満足度】★★★
【概要・感想】太平洋戦争中、「一億総玉砕」といった精神論が幅を利かせていた日本で、正攻法で戦う信念を曲げずに、特攻を拒否した美濃部正少佐29歳。一介の前線指揮官が指揮した総勢1,000人の芙蓉部隊の奮闘について書かれた本ですが、『彗星夜襲隊 』との違いとして、こちらは美濃部少佐個人の人生についての記述がメインです。弱冠29歳の青年が精神主義真っ盛りの戦時下で、ここまで信念を曲げずに合理的な判断や主張を貫き通した人がいたことに感動しかありません。ちなみに著者は時事通信社の元編集局長というゴリゴリのジャーナリストで、詳細まで取材されています。
【ポイント】

*美濃部は =中略= 「特攻の乱用」に反対したのであって、特攻を頭から否定していた

 訳ではない(p.18)

 ⇒負けてよい戦法は論外。不可能を可能とすべき代案なき限り、特攻もまた止むを得ず。

*大正世代は、満州事変から数えて15年にも及んだ戦争という国策に、全員が翻弄された

 世代(p.36)

*米軍が太平洋戦争の開戦と同時に抜擢人事に踏み切ったのと違い、日本の陸海軍は平時の

 硬直的人事制度を基本的に改めることができないまま終戦を迎えた。=中略= 試験成績の

 優等生が戦争全体を指導し、あるいは艦隊の司令長官となって作戦を指揮していたのである。

 (p.75)

*亀田(寛見少佐)の口癖がある。「一概にそうでないんであってして」「そういうことも

 考えられるが、こういう考えもあるんであってして」 =中略= 何か問題を解くに

 当たっては「一つの考え方だけにとらわれてはいけない」「それ以外に解決の方法はないと

 思いこんではいけない」 =中略= さらに「自分の考えが正しいんだ」と軽々に断定する

 ことを戒め、決めつけるような言い方ではなく、「私はそう思う」と言うべきだと注意を

 与えた。(p.82)

*「水上機は駄目だから零戦に変えてくれ」という要求が通るなど、前代未聞のことだった

 (p.217)

*江村(日雄少佐)の634空も終戦まで通常攻撃を反復した数少ない部隊(p.267)

*戦力で圧倒的に優秀な米軍に対抗するためには、敵の直衛戦闘機の警戒が緩む夜間に作戦を

 行う以外にない。(p.288)

*整備不良で10%台に落ちていた彗星の稼働率は、芙蓉部隊では最大で80%前後という驚異的

 な水準に達した(p.294)

*岩川基地は最前線にありながら米軍の目を欺き通し、ついに終戦まで1発の爆弾も落とされ

 なかった。(p.321)

*海軍は最後の最後まで、この航空戦力という新たな戦力の本質を理解できず、飛行機の

 優位性が明らかになってからも、一発勝負である「艦隊決戦」の枠の中で活用策を追求する

 レベルから抜け出せなかった。(p.326)

 

クリップ『大本営参謀の情報戦記』 堀 栄三  (文春文庫 1996.5)

【満足度】★★★
【概要・感想】名著「失敗の本質」と同じくらい面白く、陸軍大本営情報部に勤務した堀少佐の貴重な体験記。第三者的視点を大切する意味で「堀は、、、」という独特の言い回しで書かれています。原爆投下を情報的に見抜けなかったことは情報部の完敗と語っていますが、とかく情報を軽視しまくった大戦下でこんな軍人もいたのかと思うとともに、せっかく情報的大切さを後世に語ってくれているのに現代社会でも普通に起きているケースの数々にこれらの教訓はほとんど生かされていないと、とてもモヤモヤしました。。。

【ポイント】
*一番大事な米本土に情報網の穴のあいたことが、=中略= 敗戦の大きな要因であった。

 (p.97)

 ⇒日系人の強制収容

*陸軍と海軍が双方とも、何の連絡もなく勝手に戦果を発表していたため、陸軍は海軍の

 発表を鵜呑みにする以外にないという日露戦争以来変わっていない二本建ての日本最高

 統帥部の組織的欠陥があった(p.101)

*大本営作戦課や上級司令部が、米軍の能力や戦法及び地形に対する情報のないまま、机上で

 二流三流軍に対すると同様の期待を込めた作戦をたてた(p.110)

*米軍は常に戦果確認機を出して写真撮影するのが例になっているが、日本の海軍でも陸軍

 でもその方法は採られなかった。(p.189)

*方面軍参謀となって仕事を始めてみると =中略= 七千余の島を守っている方面軍が、

 自力で知り得る情報は守備隊の占領している地域と、そこから望遠鏡で目視できる範囲の

 海上の動きだけで、方面軍の欲しい情報の大部分は、大本営、南方総軍、航空軍、海軍から

 貰わなければやっていけないのである。しかもその情報の授受は、お互いが好意的に連絡

 する協力型であって、組織制度的なものではない。(p.194)

*太平洋に展開した日本軍の中で、暗号に従事していた人員は、恐らく五、六万名、ざっと

 四、五個師団分に相当したのではなかろうか。

 ⇒手仕事の日本軍に対し、米軍は機会暗号のため一人で出来る。

*情報の任に当たる者は、「職人の勘」が働くだけの平素から広範な知識を、軍事だけでなく、

 思想、政治、宗教、哲学、経済、科学など各方面にわたって、自分の頭のコンピューターに

 入力しておかなければいけなかった。(p.260)

数学的思考が、既述の鉄量計算のように日本軍には欠けていた。それが日本軍の思考を常に

 精神主義の方に走らせた原因でもあった。われわれはもっと考えなければならないことを、

 精神主義の壁の陰に隠してしまった(p.269)

*情報の判断には、百パーセントのデーターが集まることは不可能です。=中略= 空白の

 霧の部分を、専門的な勘と、責任の感とで乗り切る以外にありません(p.297)

*陸軍と海軍の連絡が円滑さを欠いただけでなく、陸軍の中でも作戦部、情報部、技術本部、

 航空本部などがまったくバラバラの活動をしていた。(p.331)

 

本『居場所。』大崎 洋(サンマーク出版 2023.3)

【満足度】★★
【概要・感想】ダウンタウンを見出した元・吉本興業の会長の著書。お名前は昔から知ってましたが、こんなユルイ人だったのか、と。そして、会社人生の半分は窓際だったというから驚きですが、それで終わらなかったのは木村政雄氏やダウンタウン、さんまとの出会いがあったからのようです。子ども時代の頃の話から自分の子どものエピソードなど大崎氏の考え方のルーツを知れます。闇営業問題の最中「大崎さんが辞めるなら俺も辞める」と松ちゃんは静かに言ってましたが、その絆もよくわかりました。

【ポイント】

*どこだろうと、土俵には上がらないこと。どこにもしがみつかないこと。(p.58)

*みんな、「どうしたいか」は違っています。幸せなんて、人によって違う。目指すゴールが

 違うのに、競争したところで意味なんかありません。(p.103)

解決しなくとも、仕方ないと受け入れ、「しゃーない」という言葉でだましだましやって

 いたら、そのうちいい風も吹いてくる。(p.187)

*「できると認めて頼んでくれたから、精一杯こたえる」という繰り返しで、できることが

 増えていく。やってみて喜ばれると、そのことが好きになっていく。(p.222)

 

メモ『歴史をなぜ学ぶのか』本郷 和人 (SB新書 2022.1)
【満足度】★★
【概要・感想】本書は日本史(といっても中世史メイン)における6つのターニングポイントを例に挙げ、歴史の文脈を考え、歴史的思考力を身につける大事さを説きます。歴史に興味を持つ上で重要なのは個別の事実を単に暗記するのではなく、前後に流れがあり、その物語性=史料と史料の間を考えることです。(ある意味、時代小説が面白いのはそこ。) どうしてこんなことが起きたのか、その前提はなにか、その結果どういう影響が起きたのかなど考えていくと、今は当たり前だと思っていることが、長い時間をかけて時には先人たちの犠牲を伴い、作られてきたことがわかります。過去と現代の対話を通して学ぶことが大事だと思い知らされる一冊です。

【ポイント】

*奈良に置かれた都に対する奥の院は伊勢(p.56)

*壬申の乱をきっかけにこの不破関が東国と畿内の分かれ目であり、朝廷の防衛ラインとして

 重要な場所であることが認識されていきます。(p.64)

 ⇒大海人皇子(天武天皇)は不破関などの要所を押さえることで勝利した

*朝廷の力がそこまで及ばない関東では、国衙や在地領主たちが土地を争って奪い合いを

 おこなっている(p.80)

 ⇒公地公民が建前で、私有地である荘園はおめこぼし

*北条氏がどんなに権力をもったとしても、将軍になることだけは躊躇して、執権という

 ポジションのまま幕府を動かしていたのは、やはり北条氏は武士たちの本当の意味での

 リーダー=棟梁になるような家柄ではなかった(p.91)

*律令国家-権門体制-幕藩体制という体制の変化によって日本史を語ることができる(p.143)

 

メモ『宝治合戦』細川 重男(朝日新聞出版新書 2022.8)
【満足度】★★
【概要・感想】北条義時亡き後の北条vs三浦の宝治合戦を小説半分、歴史概説半分で紹介するという冒険的な試み。小説では、時頼と三浦泰村の戦乱回避に向けての行動や、安達景盛に率いられた安達氏と三浦陣営の強硬派三浦光村の対立などの描写が描かれており、そこはわかりやすかったです。元々、著者は小説をリリースしたかったようですが、登場人物のガラが悪さが目立ちすぎる気はしました。(なぜに台詞が広島弁?)

【ポイント】

*平安・鎌倉時代の武士団は、後の戦国大名と比べれば、そもそも兵力は多くなかったので

 あり、二、三百騎程度で、“大武士団”であった。(p.18)

*合戦直後の地位からして、政村が宝治合戦における北条陣営の最高幹部(p.303)

*時頼の治世で最も大きな成果は、=中略= 引付方の設置(p.319)

 ⇒法と合議に基づく執権政治の到達点

 

本『心理的安全性のつくりかた』石井 遼介(日本能率協会マネジメントセンター 2020.9) 

【満足度】★★
【概要・感想】心理的安全性×行動分析学の本。悪気なく心理的安全性を阻害している行動やその空気についての言及はよくある話で、そういった無意識の意識化をする知見として行動分析学を組み込んでいる本書は相当実務的です。(両方の知見を初めて聞く人は目からウロコなのでは?)ただ、読後、あまりフレーズがノウハウ記憶に残っていないということはそこまで良書ではないのかも。 

【ポイント】

*罰・不安が「ない」状態を目指すのではなく①話しやすさ、②助け合い、③挑戦、④新奇歓迎

 =中略= が「ある」状態を目指す(p.50)

*人々の「行動」は「きっかけ」と「みかえり」によって制御されている(p.158)

 ⇒「きっかけ」によって「行動」が起き、「みかえり」が「行動」に影響を与える

*「行動の直後にみかえりがなくてはならない」(p.162)

*「なぜ」の代わりに、「なに」「どこ」を使うとうまくいくことが多い(p.208)

 ex.どこで、なにが起きたのか教えて/なにが大切だと思って、これを最初にしたの?

*エンゲージメントの高いチームをマネジメントするリーダーは、ありがとうに理由をつける

 (p.270)

 ⇒私がいかに助かったかを伝える

 

本『気づかいの壁』川原 礼子(ダイヤモンド社 2023.2)

【満足度】★
【概要・感想】元・リクルートCS推進室の教育リーダーが教える「気が利く人」になる方法を伝授という内容ですが、名前を呼ぶ、人が見ていなくてもやる、箇条書き、会議前の根回し等々、個人的には目新しい知見はありませんでした。(相手の領域を尊重するというアドラー心理学を絡めて、「気づかい」を考察している点はわかりやすい。)気がつくかは素質で、気が利くかは技術。新卒や、気が利かない方と言われる人は読んでみる価値ありかなと。