8月に読んだ本は3冊(図書館本2冊・購入1冊)でした。
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<満足度> ★★★ オススメ ★★ 面白い ★ 収穫少なめ
『やわらかい頭の作り方』 細谷 功(筑摩書房 2015.3)
【満足度】★★★
【概要・感想】今年読んだ本でナンバー1候補。本書は2013年から1年間「Webちくま」に連載した記事を加筆訂正し、新作を加えた内容。ヨシタケシンスケさんの挿絵も本書の雰囲気にとてもマッチしています。コラムをまとめた割には体系化されていて、細谷氏の著書の中で1番わかりやすかった。思考のクセ・具体と抽象がキーワードになるのかな。問題解決よりも問題の設定や認識が一番難しい。つまり、自分はやわらかい頭じゃないかもと気づかないと本書を手に取らないし、手に取る時点でむしろまだやわらかい方。本書にもあるように、結局いろんな視点があることに気付くか、気付かないかが本質的な問題なのかも。
【ポイント】
*個別の行動への対応策を考えるのも重要ですが、本当に必要な「思考回路の転換」を一緒に
考える(p.18)
*「遠くのもの同士」を結びつけるほど、価値あるアイデアになる可能性が高くなってきます(p.30)
*物事は一方的に良いとか悪いとかいうことはなく、=中略= 「どういう場合に正しいと
言えるのか?」=中略= といった前提条件を、セットで読み取ることが重要(p.102)
*「頭をやわらかくする」のに最も重要かつ難しいことは =中略= 「まず頭の柔軟性がない
自分を認識する」こと(p.186)
『北条氏の時代』 本郷 和人(文春新書 2021.11)
【満足度】★★
【概要・感想】北条氏のリーダー(北条時政⇒義時⇒泰時・・・・高時)を見ていくことで、鎌倉時代を通史で捉えようというのが本書です。 時政以降、執権は16代まで続きますが、泰時までの3代で本書の半分強を割いています。一応、時頼の時代くらいまでは理解できましたが、時宗の時代以降は似たような名前の登場人物に桑江、天皇家も分裂したりともう訳がわからなくなり・・・宝治合戦、霜月騒動などはまた類書で順番に勉強していこうと思います。
【ポイント】
*頼朝と彼に従う武士たちがやろうとしたのは、朝廷の論理に依存することなく、あくまで頼朝
を中心に、関東武士独自のルールに基づいた世界をつくること。(p.32)
⇒関東武士には土地など権利保障で結束固め、朝廷には東国武士の自立を認めるよう交渉
*御家人にとって最も大事なのが地頭になること(p.37)
⇒地頭:荘園の管理人。徴税やトラブル対策を請け負う用心棒
*守護(p.37)
⇒鎌倉時代の守護はその国ナンバー1の御家人で、まとめ役程度。幕府の私的な役職。
*土地の分配を仕切ることこそ、武士のリーダーであるあかしです。(p.70)
⇒比企氏滅亡後、その役割を将軍ではなく北条氏が担った。事実上の北条氏の政権
*泰時こそ、関東武士で初めて本格的に政治というものを行った人物(p.166)
⇒京都長期滞在時に朝廷の政治手法を学び、学僧・明恵と交流。連署制度確立。
*北条泰時の時代には三浦氏が、経時・時頼時代は安達氏が最大の外戚として存在感を
示すようになります。(p.180)
『日本の近代建築ベスト50』 小川 格(新潮新書 2022.1)
【満足度】★★
【概要・感想】著者は「新建築」の元・編集者。主観で選んだ近代建築のベスト50を竣工順で挙げ、ひとつの建築(白黒写真付)あたり4ページの解説となっています。昭和の建築のウエイトが大きい構成で、32番目が槇文彦設計のヒルズサイドテラスで、そこからがようやく70年代以降竣工の建築で、ラストが十和田市現美。全編を通して、旧き良き王道の建築が多かったです。
【ポイント】
*コルビュジエのアトリエに入門した建築家としては、坂倉のほか、前川國男、吉阪隆正が、
よく知られているが、坂倉が最も長く、気心の知れた間柄になっていた。(p.36)
*菊竹ほど多くの建築家を育てた建築家は他にいない。(p.110)