溝口善兵衛さんが8月20日に78歳で逝去されたと報道され、大変、驚いています。溝口さんは、益田高校から東大に進み、大蔵省では国際金融のスペシャリストとして活躍され、平成19年4月の島根県知事選挙で初当選し、平成31年まで3期12年にわたり島根県知事を務められました。就任早々に石見銀山の世界遺産登録保留の観測が報道された折に、当時の近藤誠一ユネスコ大使に働きかけをして登録を勝ち得たことを覚えていますが、在任中は「地財ショック」により悪化した県財政の立て直しに着手し、徹底した公債管理や給与カットなどによって18%を超える公債費比率を5%台まで縮減させたほか、定住人口の減少を交流人口の増加に求め、「しまね観光立県条例」の制定や出雲大社大遷宮を機に、神話の国しまねキャンペーンやにほんばし島根館の開設、古代歴史文化賞の創設などによって「神々の国しまねのイメージづくり」を主導しました。小柄な溝口さんは、休みの日などにご夫妻でサイクリングをされるなど優しい愛妻家のイメージがありますが、知事室では、職員に起案の理由や事業実施の体制構築のロードマップを求める強面の姿もありました。小生とは、「観光振興」や「美味しまね認証」「まめネット」「30人学級」「医療費助成」などの施策の推進で意見交換をしましたが、頭を傾げて「それ、いいじゃないですか」と応じる知事の顔が目に浮かびます。3期目の任期中途で食道がんが見つかり、退任後も療養主体の生活と聞きましたが、県政推進に対するご貢献に心から感謝を申し上げ、謹んでご冥福をお祈りいたします。合掌。

 島根県立大社高等学校の国語教師で野球部監督を務める石飛文太監督の「若者の可能性は無限大」とするコメントの通り、兵庫県西宮市の甲子園球場で開催されている第106回全国高校野球選手権大会の島根県代表の大社高校の躍動は、多くの人々に感動を与え、改めて「スポーツの力」を見せつけました。大社高校は、8月19日の準々決勝で鹿児島県の神村学園に屈したものの、試合内容はほぼ互角の展開で、地方の公立高校が私立の強豪校を相手に93年ぶりのベスト8の快進撃に心から祝福と労いを贈りたいと思います。ところで、島根地方最低賃金審議会(藤本晴久会長)は、8月16日、岩見浩史島根労働局長に対し、島根県の最低賃金を物価高や地域間格差の是正を踏まえて、現行の904円から58円引上げて1時間あたり962円に改正することが適当であるとの答申を行いました。異議の申し立て等がなければ、10月12日から適用されることになりますが、島根県の引き上げ額は国の審議会で示された目安を8円上回る過去最大の引き上げ額となっており、県内の事業者の多くは規模が零細で、価格転嫁が進んでいない状況下での最低賃金6.4%の引き上げが人件費(労務費)コストの上昇に直結することは自明で、賃上げを奨励する政府に対し、所要の支援措置を求めたいと思います。

 8月11日、第106回全国高校野球大会は1回戦4試合が行われ、第3試合に島根県代表の島根県立大社高校が兵庫県代表の報徳学園と対戦しました。報徳学園は2年連続選抜大会準優勝の強豪で、今大会でも優勝候補の一角とされており、大社高校は32年ぶりの出場で、傍目には報徳優勢との観測がありましたが、大社は1回表の攻撃で、タイムリーヒットと敵失で2点を先行、7回に追加点を取り、エースの馬庭投手が1失点で完投して、昭和36年以来63年ぶりの勝利をあげ、甲子園に「宇迦の遠山雲低く」で始まる校歌を響かせました。大社高校の石飛監督は勝利インタビューに「選手の力は無限大」と答えていますが、緒戦はパリオリンピックの女子レスリング50キロ級で圧倒的な実績をひっさげながら、まさかの敗北を喫した須崎優衣選手に象徴的なように、慎重さが硬さになり、受け身に回った途端、相手の勢いに押されてしまうことは珍しいことではなく、大社ナインの臆せずに立ち向かう姿勢が勝利を呼び込んだもので、次の諫早創成館高校との2回戦が楽しみです。ところで、世界の200以上の国や地域、難民の選手団が世界中から参加したパリオリンピックはが閉幕しました。日本は、レスリングや柔道、体操、フェンシングなどに加えてスケートボードやブレイキンなどのニュースポーツ、馬術や飛び込み、近代5種などに歴史的な快挙もあって、金20、銀12、銅13の合計45個のメダルを獲得し、アメリカ、中国に次いで3位となりました。参加したすべての選手の皆さんの健闘をたたえるとともに、次の開催都市・ロサンゼルスに向けた新たな歩みに期待したいと思います。