1月16日は「藪入り(やぶいり)」。薮入りは、古来から嫁入りや婿入りした人たちの里帰りの日とされ、江戸期からは商家などで住み込み奉公をしている人に1月16日と7月16日を「藪入り」として休みを与え、実家に帰ることができる日となったようです。当主が小正月や盆の行事を済ませた奉公人(嫁、婿)たちに、お仕着せの着物や履物、小遣いなどを与え、さらに手土産を持たせて実家へと送り出す商家の習慣は、昭和30年代後半まで続いていたと言われます。そう言えば、かつて日本旅館を営んでいた小生の家でも、夏の海水浴シーズンが終わる盆明けと、忘・新年会が一段落する成人の日を過ぎた頃に、住み込みの料理人や客室係の人たちが長めの休暇で実家に帰るのが通例で、夏、冬それぞれ2~3週間は休業していたように記憶しています。週休制の導入などによって「藪入り」の風習は廃れましたが、正月休みや盆休みに実家に帰省するのはその名残りと思われ、故郷を離れた子らの息災を願い、成長に涙する親の心情は今も昔も普遍です。
1月14日の夕方や1月15日の朝、刈取後の田圃などに長い竹を組んで立て、お正月に飾った門松や注連縄、書き初めなどを持ち寄って焼く行事を山陰地方では「とんどさん」と呼びます。島根県では、大田市五十猛町大浦地区の「五十猛のグロ」が、平成17年に国の重要無形民俗文化財に指定されているように、多くの地域で小正月に行われる火祭りでしたが、松江市美保関町片江地に伝わる「墨付けとんど(墨付け神事)」のように1月第2日曜日など日曜祝祭日やその前日に繰り上げて行うところも増加しています。ただ、古来、「とんどさん荒れ」と言われてきたように、小正月の時期は北西の季節風が吹き荒れることが多く、今年も大寒波襲来で、各地で雪が舞う強風の中での「とんどさん」となりました。
中海・宍道湖がラムサール条約の登録湿地となって10年が経過しました。中海や宍道湖、斐伊川河口などは3000羽を数える天然記念物のマガンをはじめコハクチョウ、10万羽超とも言われているキンクロハジロ・ホシハジロ、ヒシクイなどのカモ類が飛来する集団越冬地であり、西日本屈指の野鳥の宝庫として知られています。しかしながら、宍道湖では漁協の年間漁獲量を超えるヤマトシジミがカモ類の餌になると言われ、斐伊川や宍道湖周辺の田畑の大豆やブロッコリー、キャベツなど秋、冬農産物の食害も凄まじいものがあり、1月13日、農林水産省農村振興局農村環境課の秋葉一彦鳥獣対策室長が現地視察に来雲しました。秋葉室長は斐川平野や宍道湖岸の野鳥の状況を観察した後に、島根県や出雲市の鳥獣施策の担当者や灘分下出来洲営農組合の渡部良幸組合長らと意見交換し、「日本有数の野鳥の飛来地という環境と農水産物の持続的な生産をどのように調和させるかについて、自治体と国(農林水産省と国土交通省、環境省)が協調して、早急に『島根(鳥取)モデル』となる対策を構築する必要性がある」という認識で一致しました。