8月18日、島根地方最低賃金審議会(会長・藤本晴久島根大准教授)は2025年度の島根県最低賃金について現行の962円から71円引き上げて1033円とするよう島根労働局に答申しました。これは国の中央最低賃金審議会が示した目安より8円高く、過去最大の上げ幅で、雇用主は雇用条件で最低賃金を下回る賃金にならないよう準備する必要があり、急激な賃上げとなる事情を考慮して適用時期を1カ月程度延期するよう付言されています。2025年度の地域別最低賃金改定については、8月4日に開催された第71回中央最低賃金審議会で改定額の目安について都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をABCの3ランクに分けて、Aランク63円、Bランク63円、Cランク64円とし、全国の加重平均では1,118円、引上げ率は6.0%(昨年度5.1%)とされており、2020年の901円からは20%以上引き上げされることとなります。とりわけ、中小零細企業の多い県内事業者にとってわずか3カ月の期間に7%を超える労務費の引き上げをすることは容易ではなく、コロナ禍に対応するための特別融資の返済が始まっていることを考え合わせると、相当な行政支援がなければ事業の停止に追い込まれる事態も想起されるところであり、早急な対応が必要です。急速に拡大している世界経済の中で日本経済を伸長させるために一定のインフレ基調が必要であることは論を俟たないところであり、給与・賃金環境改善はその前提となりますが、中小・零細企業に対する生産性向上や経費圧縮に資する投資支援は極めて不十分で、医療や福祉分野でも多くが採算割れとなっています。政府は、ロードマップを示さないまま時給1,500円の目標を掲げて短兵急に賃金や社会保険制度を改定する方針を示していますが、現場の実態を顧慮しないままの取り組みに反発は増嵩しており、こうしたことが与党の退潮に拍車をかけていることは紛れもない事実です。
8月15日は、日本がポツダム宣言を受け入れ、無条件降伏して太平洋戦争(大東亜戦争)が終結したことに因み、「終戦の日」として日本政府主催の全国戦没者追悼式を行い、天皇陛下がお言葉を述べ、国民が均しく黙祷する日とされています。日本は西南の役以降の戦争で犠牲となった人を英霊として顕彰し、靖国神社に祀ってきましたが、神道形式による祭祀や極東軍事裁判でA級戦犯とされた者の合祀が問題とされています。戦争終結から80年が経過してなお、犠牲となった先人を慰霊する祭祀や拝礼の行為が問題行動であるかのごとき報道をされる様は異常で、誰はばかることなく、国家に殉じた英霊顕彰を 行うことができるよう、政府は問題とされる要素を取り除く努力をすべきだと思います。小生の父はフィリピンで敗戦を迎え、1年近い抑留後に復員したと聞いていますが、戦後の復興を支えた世代の皆さんは一様に戦陣に散華した肉親や友人の分まで社会に尽くすという意識が強かったように感じます。「自己中心ではない、周りと協調することを潔しとする気風」こそ、日本社会が伝えてきた民族の誇りだと思うのですが、詐欺や闇バイトによる凶悪事件の多発や国際紛争、軍事増強、トランプ関税などの世情を見るにつけ、だんだんとそうした意識が薄くなってきていることを危惧します。
8月9日、前島根県農業協同組合長の石川寿樹さんがお亡くなりになりました。72歳でした。石川さんは昭和52年に出雲市農業協同組合に入職し、昭和63年に35歳の若さで常務理事に就任し、持ち前のバイタリティで大型スーパーマーケット「ラピタ」の建設やデジタル有線(電話)事業などの事業推進にあたったものの、平成14年に常務理事を退任。平成15年4月に合併前の出雲市議会議員となり、合併後の平成21年まで6年間市議会議員を務めました。市議会議員時代には、農業生産法人桃源を設立してブドウ栽培や直売所、レストラン・洋菓子工房の経営にあたり、平成21年に農協役員(理事)に復帰し、平成27年の島根県農業協同組合発足時に常務理事・出雲地区本部副本部長となり、平成28年に常務理事・出雲地区本部長、令和元年6月に3代目の島根県農業協同組合長として2期6年間在任されるなど、浮沈を味わいながらも組織に必要な人材として評価され、活躍されてきました。小生とは平成13年2月に平田市街地にホテル建設を企図して㈱ひらたを立ち上げた際、「農協の資材センターを建設用地としてほしい」と突然の訪問をされ、まさに夜討ち朝駆けの交渉の結果、現在地に平成14年7月にひらたメイプルホテルがオープンすることになりました。「仕事ができる人」は嫉妬や誤解を受けやすく、石川さんの毀誉褒貶もそこに端を発したものですが、本年6月に組合長の大任を終え、JAマンとして「てっぺんを取る」との強い意志で駆け抜けた50年に悔いはないと考えます。願わくば、思い描いた10年後のJAしまねの行末を天上から見守っていただきたいと思うところであり、今日までのご高誼を心から感謝申し上げ、ご冥福をお祈りいたします。合掌