2月17日、出雲大社で今年の五穀豊穣を祈る「祈穀祭」が執り行われました。朝方から霙まじりの肌寒い中での神事となりましたが、午前10時、「オーッ」との声で本殿の御扉が開かれた刹那、つむじ風とともに薄日が差したことには驚きを禁じ得ませんでした。祈年祭は7世紀後半から五穀豊穣と国家の安寧を祈願する国家的行事として斎行され、全国の神社では「としごいの祭り」として引き継がれていますが、出雲大社では、祈年祭を大祭礼、献穀祭と並ぶ「三大祭式」に位置付けて斎行しているとのことです。本殿前の玉垣内に陣取った100人ほどの参席者が見守る中で、千家尊祀宮司が「農林水産業のみならず商業、工業などに関わる全ての人の生業が成就するようお願い申し上げます」とする祝詞を奏上し、農業関係者や各界代表が玉串を奉奠しました。ところで、2月14日、江藤農林水産大臣は政府の備蓄米放出を発表しました。コメ価格の高騰は、昨年8月の台風予想と南海トラフ地震臨時情報の発表が端緒となってコメ需要が急増し、店頭での品不足が価格上昇局面をつくったもので、P1V1=P2V2の市場原理からは当然と言えますが、令和6年産米の供給が本格化すれば価格は下落するはずがそうはなっていません。昨年秋に収穫されたコメの生産価格は一昨年に比べて10%程度上昇したとは言え、コシヒカリやつや姫の1等米は60kg当たり18,000円前後、1kg300円の水準ですから、精米や流通コストに販売マージンを加えても1kg当たり500~600円が相場だと思います。一時的な需要の増加によって供給量が不足したため価格が上がったことは理解できますが、農水省の説明では2024年産米の生産量は需要量を10万トン程度上回っていると発表しており、需要を上回る供給量が確保されているのに価格の下落が無い理由を究明しないまま一般競争入札をすれば備蓄米は高止まりの落札価格で放出される可能性が高く、市場価格の下落にはつながらないと思います。そもそも、現在は農林水産物の価格が市場で決まるわけではなく、価格指示権を握っているスーパーが販売価格を決め、マージンや流通経費を引いた残りが生産価格となっているのであり、農水省は2024年の生産量の見立てを早急に検証するなり、流通の目詰まりを調査するべきで、備蓄米を放出するのであれば、100万tぐらいの規模で市場流通させる方策を考えるべきだと思います。

 2月16日、松江市内のホテルで島根県遺族連合会(石原道夫会長)の役員研修会と青年部設立総会が開催されました。島根県遺族連合会は日本遺族会の支部組織として設立され、英霊顕彰や遺族の福祉増進をはじめ戦争の悲惨さを後世に伝える「平和の語り部」事業などを展開しています。戦後80年となり、遺族の平均年齢が84歳となる中で会員数は3,000人余にまで減少ており、戦後の記憶を継承し、戦争の悲惨さや平和の大切さを発信するためには孫やひ孫の世代に活動を引き継ぐ必要があるとして、遺族会の組織に「青年部」を発足させたものです。石原会長は「遺児が恒例となる状況で、後を継いでくれる力強い若者が必要で、青年部の発足は感慨深い」と述べ、日本遺族会の水落敏栄会長は「戦争の悲惨さを後世に伝えるために青年部の設立は不可欠」と挨拶し、青年部の代表に選出された小林悟さんが「若い世代が仲間に呼びかけ、遺族会の活動を次代へ引き継ぐ」と決意表明しました。日本遺族会は、戦争の実態や経験を後世に語り継ぐ「平和の語り部」活動を日本全国で展開しており、会員が地域の小中学校などの依頼に応じるかたちで、戦災体験等を語り伝えてきており、戦争経験を風化させないためにも平和教育の一環とする行政との協働を深める必要を感じました。

 2月14日、島根県議会2月定例会は全員協議会に続いて農林水産商工委員会(吉田雅紀委員長)が開催され、「第2期農林水産基本計画の素案について説明を受けました。第1期計画では、水田園芸や新規就業やGAPなどに進展はありましたが、農業産出額100億円増は未達成であり、林業においては、原木生産は増加していますが製材事業者の減があり、水産は沿岸漁業の就業者が半減しました。この日示された第2期計画の素案は、3章95ページにわたるもので、期間は令和7年度から5カ年で、島根の農林水産業・農山漁村の将来ビジョンが示されており、その内容は、島根創生計画に掲げる「人口減少 に打ち勝ち、笑顔で暮らせる島根」を次の世代へ引き継いでいくために、島根の強みである豊かな自然を活かした農林水産業の所得向上を図ることにより、若者の就業の場として、また、安全・安心な食料の安定供給をはじめ、県土の保全や 水源の涵養、美しい景観形成など、多面的な機能の発揮を通じて、県民のいのちと暮らしを守り、中山間地域の維持・発展を目指すとしています。第2期計画の特徴は、5年後の目指す姿を明確化し、重点推進事項に数値目標を設定するとともに、達成のためにやるべきことを明記し、目標達成に向けて、重点推進事項を進めるための取組方針を整理して「しまね食と農の県民条例」に示す「将来にわたり持続可能な農林水産業・農山漁村の実現」を目指すとしています。意見交換では、「中山間地域の農地の耕作条件整備」や「担い手への農地集積」、「農地の保全(耕作放棄地の拡大阻止)」、「海面漁業の就業支援」、「漁村の担い手確保」などについて質疑がありました。