参議院選挙の惨敗から3週間が経過し、自民党本部では幹事長の下で敗戦の総括が行われていますが、その最中で8月8日、両院議員総会が開催され、「総裁選挙管理委員会において、令和9年9月までの任期を待たずに新たな総裁を選出する選挙の実施を党所属国会議員と都道府県連の意思確認を行なう」ことを決めたと報道されています。昨秋の衆議院総選挙で256議席の4分の1に当たる65議席を失ない、自民、公明で多数与党が形成できず、安定的に政権を運営することができない状況は、国会での法案や予算の採決時に明らかで、「政権与党として国政に責任を持つ」という姿勢とは矛盾しており、政策決定の主体性を欠く政権与党に国民の期待が集まらないのは自明です。『負けに不思議な負け無し』と言いますが、参議院選挙でワンイシューの政策を掲げた新興勢力が伸長し、与党が敗北したことは当然の帰結で、今回の参議院選挙の結果を受けて、連立の再編を行うことなしに自公が少数与党として政権運営を継続すれば、次の総選挙での自民党のさらなる退潮は必至です。民主主義の基本は多数決であり、現職の石破総裁を含め、政権を担う責任を果たす覚悟のある為政者たらんとすれば、権力の行 使を決定する権能を持つ衆議院の多数を構成する政党で連立を組む努力をすべきであり、それが可能な政治家こそが日本のかじ取りをするに相応しい指導者だと考えます。
今年は6月下旬に梅雨明けとなり、7月の降雨量が平年に比べて極めて少なく、各地で水不足が伝えられており、島根県でも渇水対策本部が設置され、農業用水の緊急確保対策として揚水ポンプの設置支援などが発表されたところです。今のところ、伏流水を水源とする上水道の供給に支障はないとされていますが、斐伊川流域の農業用水は尾原ダムからの補給水により確保されており、8月4日午前8時の時点で貯水率が26.7%となったことから、平時は15.2㎥/s とされている放流量を70%カットして4.6㎥/sとする措置が講じられ、節水の呼びかけや農業用水の番水協議が行われています。こうした中、8月7日未明からの降雨は、まさに「干天の慈雨」で、尾原ダムの貯水量は42%まで回復したようです。「干天の慈雨」は、アニメ『鬼滅の刃』で主人公の炭治郎と水柱の富岡義勇が使用する技として子どもたちに知られていますが、本来の意味は、直接的には、日照り続きに降る恵みの雨を指す言葉であり、間接的には、窮地に陥った時に与えられた助けや救いを表現する言葉です。ロシア・ウクライナ紛争や不安定な中東情勢に加えてトランプ関税など問題山積の中で、衆参で与党が過半数割れした日本の政治状況はまさに危機的で、こちらにも「干天の慈雨」が欲しいところです。
8月4日、中央最低賃金審議会は2025年度の地域別最低賃金の「改定額の目安」を63,64円とし、全国の最低賃金の平均を1,118円とする答申を行いました。最低賃金は、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定めるもので、地域別最低賃金と特定最低賃金の2種類があり、使用者は高い方の最低賃金額以上の賃金を支払う義務があります。地域別最低賃金は、都道府県によって差異があり、2024年の改定では東京都が1,163円、島根県は962円などとされました。今回の改定で全国すべての都道府県で1,000円以上になる可能性がありますが、東京都が1,226円で大阪府1,177円、島根県1,025円、秋田県1,015円など、都道府県での賃金格差の増大や扶養内パートの年収の壁問題などの課題があります。昨秋の衆議院選挙や今夏の参議院選挙において、実質賃金がマイナスとなる中で税や社会保険料が増大し、可処分所得が減少している若年世代の不満が、与党や既成政党の退潮として如実に顕れたところですが、生産性の改善に資する行政の投資支援が不十分なまま、短兵急に法律をもって強制的に賃金のみを改定することは、エネルギーコストや輸入物価の上昇で経営体力を消耗させている中小企業の事業環境のさらなる悪化を懸念するところです。給与・賃金の上昇は、生活にゆとりを与え、消費需要を喚起する観点から歓迎すべきことですが、支払う側の経営収支の改善が不可欠であり、政府は、早急に投資と財務の両面から中小企業に対する大胆な支援施策を講ずる必要があると考えます。