激震! 『バットガール』お蔵入りで今後の「DCエクステンデッド・ユニバース」はどうなる!? | ぶっちゃけシネマ人生一直線!❁

激震! 『バットガール』お蔵入りで今後の「DCエクステンデッド・ユニバース」はどうなる!?



『ジョーカー』の続編製作にゴーサインが出た一方で、本流の「DCエクステンデッド・ユニバース」は激震に見舞われている。あちこちの映画サイトで既に伝えられているが、完成間近だったDC映画『バットガール』の劇場公開、ストリーミング配信がすべて取りやめになり“お蔵入り”が決定してしまった。つまり完成品が世に出ることがなくなったのだ。ガーン


『バットガール』はゴッサム・シティを守るゴードン警察長官の愛娘バーバラ・ゴードン=バットガールを主人公にした作品。『イン・ザ・ハイツ』のレスリー・グレイスがバットガール役に起用され、ヴィランのファイヤーフライをブレンダン・フレイザー、ゴードン警察長官をJ・K・シモンズが演じていた。また来年公開の『ザ・フラッシュ』で約30年ぶりにバットマン役に復帰するマイケル・キートンが本作でも同役で出演しており、バットガールの“メンター”となる重要な役を演じていたという。メガホンを取っていたのは『バッドボーイズ フォー・ライフ』のアディル・エル・アルビ&ビラル・ファラー。






再撮影やコロナ禍の影響もあり製作費は9000万ドル(約120億円)に膨れ上がった『バットガール』。当初はHBO Max配信作品として製作されていたが、ワーナーは劇場公開も視野に入れていた。撮影はすべて終わり、ポストプロダクションの真っ只中で「待った」をかけたのが、今年4月にワーナーメディアとディスカバリーが統合して新たに生まれたワーナー・ブラザース・ディスカバリーのCEOに就任したデイビッド・ザスラフ。ザスラフ率いる新陣営による抜本的改革が大きく影響している。

 

 

ザスラフは「DC映画は配信ではなく劇場公開を前提にして作るべき」という方針を打ち出しており、劇場公開に値するクオリティに達していないDC映画は「公開しない」という厳しい姿勢を取っている。ならば当初の通り、HBO Max配信すればいいはずなのだが、配信をするにもさらに十数億から数十億円の宣伝費や諸経費がかかるため、これ以上の「コスト」はかけられないと判断。公開、配信いずれもナシにした。再撮影やクリエイティブ・コントロールが出来ていなかったと言われている『バットガール』のテスト試写でザスラフが「不合格」の判定を下したと米メディアが報じている。どうやらこれがお蔵入りした理由らしい。別のメディアの情報によると、お蔵入りはあくまでも「戦略的」なものであって、『バットガール』製作陣とキャスト陣の仕事ぶりは評価しているとも(じゃあ配信してよ、ってなるのだが)。

 

 

新陣営になってからは配信向けのDC映画『Wonder Twins』の製作がキャンセル、アニメ映画『弱虫スクービーの大冒険』の続編『Scoob!:Holiday Haunt』もお蔵入りになった。ドラマシリーズでは『レジェンド・オブ・トゥモロー』『BATWOMAN/バットウーマン』も終了させている。作品の出来を優先にした最終判断と思われるが、コストにかかる税金対策も含まれているという。さらには3億ドル(約405億円)も費やした新ストリーミングサービス「CNN+」をローンチしたものの、満足のいく加入者を獲得できなったとしてたったの1ヶ月でクローズさせているぐらいだから、ザスラフの容赦ないコストカットはハリウッド業界も一目置いているほどだ。

 

お蔵入り決定に主演のレスリー・グレイスは無念さを押し殺しながらも感謝の気持ちをInstagramに投稿し、撮影時の楽しかった思い出を動画で公開している。アディル監督はなんとモロッコで自身の結婚式を上げている最中に今回のニュースを知ったという。コンビ監督は「とてもショックを受けている。いまだに信じられない。いつか皆さんにこの作品が観られる機会が来ることを願っている」と複雑な心境を明かした。これを受けてTwitterではファンによる公開を求めるツイートが相次いでいる。ザック・スナイダー版『ジャスティス・リーグ』はファンの声に押されて配信とソフトリリースが実現したが、『バットガール』が日の目を浴びる可能性は限りなく低いようだ。

 

 

 

 


米メディアによると、ザフラスは『バットガール』以外のDC作品にもメスを入れていると報じている。サッシャ・カジェ主演のDC映画『スーパーガール』の企画も検討材料になっている報道が出てきており、さらに今年後半以降に公開が控えている『ブラックアダム』『シャザム!~神々の怒り~』『アクアマン・アンド・ザ・ロスト・キングダム』『ザ・フラッシュ』の公開スケジュールを見直す可能性もあるという。

 

 

 

ここ2年半のDC映画はコロナ禍の影響をもろに受け、『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey』『ワンダーウーマン1984』『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』の興行成績はいずれも不発。MCU陣営に押されっぱなしの状態が続いている。DC映画だけでなく『TENET テネット』『マトリックス レザレクションズ』などもお世辞にも結果を残した興行成績とは言えなかった。そんな中でもう一つのDCユニバース作品『ジョーカー』『THE BATMAN -ザ・バットマン-』は成功し、いずれも大ヒット。「DCEU」はこれまで何度か仕切り直されてきたが、うまくいっているとは言い難い。ここでフンドシを締め直し、メスを入れて大改革を行うのがザスラフの戦略だ。先日行われた投資家向けの説明会では「DCEU」を一度リセットして再構築し立て直すと説明。作品のクオリティをこれまで以上に重視し、それに達していない映画は公開しないという厳しい“ルール”も設けている。マーベルは劇場と配信の2ストリーム戦略をこれまで以上に打ち出しているが、ワーナーは今後のビッグバジェットのDC映画は配信ではなく「劇場公開」を前提で製作することも明らかにした。

 

「収益が見込めないプロジェクトは不要」の姿勢を貫くデイビッド・ザスラフのテコ入れは、迷走から脱却できない「DCエクステンデッド・ユニバース」に光を与えるのか、それとも・・・・・?


 

 

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