食塩水2023➁ | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

今年出題された食塩水の問題の第2弾になります。

 

  その1(開智2023)

 

2つの食塩水A、Bがあり、Aの食塩水の濃度は□%です。Aの食塩水50gとBの食塩水30gを混ぜると7%の食塩水になり、Aの食塩水30gとBの食塩水50gを混ぜると6%の食塩水になります。

 

右差し 2つの混ぜ方を見くらべるとAとBの重さがちょうど入れ替わっており、いわゆる「とりちがえ問題」(個数をまちがえて反対に買った)と似たような処理をすることができます。

 

右矢印 「Aの食塩水50gとBの食塩水30gを混ぜると7%の食塩水」になり「Aの食塩水30gとBの食塩水50gを混ぜると6%の食塩水」になる。ここでできた2つの食塩水を混ぜるとAの食塩水80gとBの食塩水80gが混ざった食塩水になるから(同じ量の食塩水が混ざっているから)その濃度は2つの真ん中の6.5%となる。

  • ということはAとBを30gずつ混ぜても同じく6.5%の食塩水ができる。ここには60g×0.065=3.9gの食塩が入っている
  • これに対して「Aの食塩水50gとBの食塩水30gを混ぜると7%の食塩水」ができて、ここには80g×0.07=5.6gの食塩が入っている

上の2つの食塩水を見くらべると、Bは同じ30gなので、食塩の差1.7gは食塩水Aの差20gによるもの

よって、Aの食塩水20gのなかには食塩1.7gが入っているのがわかるから、Aの濃度は1.7÷20×100=8.5%

 

 

  その2(浦和明の星2023)

 

濃度□%の食塩水220gと、濃度8%の食塩水80gと、濃度10%の食塩水120gを混ぜると、濃度7%の食塩水ができる。

 

右矢印 それぞれの食塩水に含まれる食塩の量に注目すると

  1. できた食塩水の重さは220+80+120=520g。これは「濃度7%の食塩水」だから、420g×0.07=29.4gの食塩が入っている
  2. これに対して「濃度8%の食塩水80g」には80g×0.08=6.4gの食塩が、「濃度10%の食塩水120g」には120g×0.1=12gの食塩が入っているから、「濃度□%の食塩水220g」には29.4-6.4-12=11gの食塩が入っている

よって 11g÷220g=0.05 より求める濃度は5%で □=5

 

3つの天びん図を使うともう少しラクに答えが出ます。

 220×(7-□)=80×1+120×3 より 7-□=2 □=5

 

 

  その3(栄東2023東大特待Ⅰ)

 

食塩水の入ったビーカーA、B、Cがあって、中に入っている食塩水の濃度はそれぞれ2%、4%、10%で、CはBよりも食塩水が60g多く入っています。3つのビーカーの中の食塩水をすべて混ぜたところ、5%の食塩水が560gできました。Aのビーカーには□gの食塩水が入っていました。

 

右矢印 「3つのビーカーの中の食塩水をすべて混ぜたところ、5%の食塩水が560g」できた。

ここで「CはBよりも食塩水が60g多く入って」いることから、じゃまなCの食塩水60gを取りのぞいた新しい食塩水500gを考える。

 

この新しい食塩水に含まれる食塩の重さに注目すると

 560g×5%-60g×1%=28g-6g=22g

なので、新しい食塩水の濃度は 22÷500=4.4%

 

そして新しい食塩水に入っているBとCの食塩水の重さは同じ。この同じ重さのBとCを混ぜたものを食塩水DとするとDの濃度は7%(Aの4%とBの10%のちょうど真ん中)

 

ここから「濃度2%の食塩水Aと濃度7%の食塩水Dを混ぜると濃度4.4%の食塩水が500gできる」のがわかる。

あとは天びん図を使って考えると

Aの重さは 500g×2.6÷(2.4+2.6)=260g とわかり □=260

 

 

  その4(久留米大附設2023)

 

濃度が分からない食塩水Aが300gと濃度が12%の食塩水Bが400gあります。それぞれの食塩水から同時に100gずつ取り出して入れかえてかき混ぜたところ、食塩水Bの濃度が10.25%になりました。
⑴  最初の食塩水Aの濃度は何%ですか。

 

右矢印 食塩水Bの入ったビーカーのなかの様子に注目する。すると「濃度12%の食塩水B300gのなかに、濃度□%の食塩水A100gを入れたら、濃度10.25%になった」のがわかる。

上の天びん図より

 100×(10.25-□)=300×1.75 より 10.25-□=5.25

よって □=5とわかり、Aの濃度は5%

 

⑵ この後、それぞれの食塩水から同時に同じ量ずつ取り出して入れかえてかき混ぜたところ、どちらも同じ濃度になりました。その濃度は何%ですか。

 

右矢印 はじめの食塩水A(300g、濃度5%)に入っていた食塩は 300g×0.05=15g。食塩水B(400g、濃度12%)に入っていた食塩は 400g×0.12=48g。このぜんぶを混ぜると、食塩水は700g、食塩は63gになるから、できあがるのは 63÷700=0.9 より9%の食塩水

これがそのまま求める「同じ濃度」となり 9%

 

⑶ ⑵のとき、何gずつ取り出しましたか。答えは仮分数で答えなさい。

 

右矢印 食塩水A300gと食塩水B400gを混ぜたら同じ濃度になったという等量交換の話なので(濃度は完全無視して)和分の積を使って取り出した重さを計算すると

 300×400÷(300+400)= ¹²⁰⁰⁄₇g 完了