やっぱり便利な「和分の積」(等量交換) | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

「和分の積」が使えるもう一つの場面は、濃さが違う2つの食塩水を同じ量だけ交換して同じ濃さにするにはどれだけの量を交換したらいいかという「等量交換」の問題です。

 

 

  等量交換❶(立教女学院2020)

 

容器Aに濃度10%の食塩水が300g、容器Bに濃度5%の食塩水が100g入っています。容器A、容器Bからそれぞれ[①]gずつ同時に取り出して、容器Aから取り出したものは容器Bへ、容器Bから取り出したものは容器Aへ入れてよくかき混ぜたところ、ともに濃度が[②]%になりました。

 

右矢印 ①について、同時に取り出した量は、和分の積より

 300×100÷(300+100)=300÷4=75g

 

②について、食塩水の重さは合計400g、食塩の重さは合計35g(=300g×10%+100g×5%)なので

 35÷400=0.0875 より 8.75%

 

補足

等量交換の問題では、AとBの最初の濃度は結局まったく関係ない(AとBの数量だけが重要)ということになります。

「なぜそうなるのか」とか「等量交換は意味不明」ということであれば、つぎのように考えるとわかりやすいかもしれません。

 

❶濃度を同じにする一番簡単な方法は、次のようにぜんぶをいったん混ぜてしまって、もとの量にわけること

❷でもそのできあがりをよく見ると、容器Aには結局¾×Aが残っているし、容器Bには¼×Bが残っている。
❸だったら最初から、容器Bの¾をAに、容器Aの¼をBに同時に移す(この二つは同じ量)のがてっ取り早い。
❹この「容器Aの¼」や「容器Bの¾」という部分がちょうど「A×B/(A+B)」という和分の積の形になっている。

 

 

  等量交換❷(京都先端科学大学附属中2022)

 

容器Aには3%の食塩水が、容器Bには6%の食塩水が300g入っています。容器Aには食塩水が何g入っているかわかりませんが、100gより重いことはわかっています。次の問いに答えなさい。

⑴ 容器A、Bから100gずつ取り出し、たがいに移しかえてよくかき混ぜたところ、容器A、Bの食塩水の濃度が等しくなりました。容器Aに入っている食塩水の重さを求めなさい。

 

容器Aに入っている食塩水の重さ」を①gとすると、和分の積より

 300×①÷(300+①)=100

この両側を100でわると 3×①÷(300+①)=1  ③÷(300+①)=1  300=② 

よって、①=150g

 

⑵ ⑴で等しくなったその濃度は何%ですか。 

 

食塩水の重さは合計450g(=150g+300g)、食塩の重さは合計22.5g(=150g×3%+300g×6%)なので

 22.5÷450=0.05 より 5%

 

 

なお、同じ「等量交換」という言葉が水と同量を交換する場面で使われることもあり、こちらはまったく別の問題となります(こちらの過去記事で取り上げています)