やっぱり便利な「和分の積」(平均の速さ) | 受験算数はきょうもおもしろい

前回の記事の続きです。

 

「和分の積」が使えるもう一つの場面は平均の速さを出すときです。

このときには公式は「(和分の積)×2」と2倍することになります。

次のような入試問題を見ると、これまたくやしいけどやっぱり使いこなせるようにしておきたい「公式」だと思います。(ただし「公式」といっても非公式なものなので「式や考え方を書きなさい」式の答案上では以下の赤字部分は書けないのですが。)

 

 

  平均の速さ(茗渓学園中2021)

 

片道50㎞の道のりを、行きは時速40㎞で、帰りは時速60㎞で往復しました。このとき、平均の速さを求めなさい。

 

右矢印 「時速40㎞」と「時速60㎞」の平均の速さは「(和分の積)×2」より (40×60)÷(40+60) ×2 = 時速48㎞

 
なお、平均の速さに距離は関係ないので(片道の速さを出すときにすでにおりこみ済みなので)、ふつうに計算で出すときでも問題文にある「片道50㎞」をそのまま使うことはせず(分数になってしまうので)、たとえば「距離を120㎞(40と60の最小公倍数)とおくと、行きが3時間、帰りが2時間かかるので往復の速さは 120㎞×2÷5時間=時速48㎞」とよりラクに求めるようにしたいところです。

 

  速さと道のり(和洋九段女子2021)

 

A地点とB地点の間を、行きは毎分60mで、帰りは行きの1.2倍の速さで往復したところ、33分かかりました。A地点からB地点までの道のりは何mですか。

 

右矢印 速さは「行きは毎分60m」、帰りは「行きの1.2倍の速さ」で毎分72m。このとき平均の速さは「(和分の積)×2」より (60×72)÷(60+72)×2=毎分⁷²⁰⁄₁₁m。

この速さで往復33分歩いたのだから、片道だと 毎分⁷²⁰⁄₁₁m×33分÷2=1080m

 

 
ふつうに計算で出すには次のようにいったん「時間」を求めることになります。
「かかった時間の比は速さの逆比なので 行き:帰り=72:60=6:5。実際に歩いた時間33分をこの比で分けると行き18分、帰り15分かかったことになる。よってAB間の距離は毎分60m×18分=1080m」

 

  流水算(香蘭女学校2021)

 

静水で毎秒4mの速さで進む船があります。毎秒2mの速さで流れる川を、この船でA地点からB地点まで進み、その2分後にB地点からA地点に戻ると、全部で36分40秒かかりました。A地点からB地点までの距離は□mです。

 

右矢印 「静水で毎秒4mの速さで進む船」「毎秒2mの速さで流れる川」より、船が上流に向かうときの上りの速さは毎秒2m、下りの速さは毎秒6m。

このとき平均の速さは「(和分の積)×2」より (2×6)÷(2+6) ×2=毎秒3m。

船の実際の運航時間は合計34分40秒(=36分40秒-2分)なので片道平均だと17分20秒=1040秒。

よってAB間の距離は毎秒3m×1040秒=3120m

 

 
これも計算で出すには次のようにいったん「時間」を求めることになります。
「かかった時間の比は速さの逆比なので 上り:下り=6:2=3:1。船の実際の運行時間34分40秒をこの比で分けると上りに26分、下りに8分40秒かかった。よってAB間の距離は毎秒2m×26分×60秒=3120m」