正答率が20%以下だった速さの問題 | 受験算数はきょうもおもしろい

今回は、速さの入試問題のうち、正答率が低かったもの3問を取り上げてみました。
それぞれの正答率は①20%以下、②19.7%、③17.7%となっています。

速さの問題の場合、解法は一通りマスターしている受験生が多いはずなので、問題文をきちんと読み解けたかが影響している可能性も大きいように思われます。

 

  ①旅人算(国府台2022第2回)

 

ある円形の池の周りをAさんは時計回りに時速4㎞で、BさんとCさんは反時計回りにそれぞれ時速6㎞と時速4㎞で歩き始めました。3人が同じ場所から同時に歩き始めて何分後かにAさんとBさんはすれちがい、その2分24秒後にAさんとCさんがすれちがいました。この池の一周は▢mです。

 

池の周りをまわる問題では、円になっている池の円周を切って横に伸ばし、一本の直線と考えて、ふつうの線分図にしてしまうのがわかりやすいです。

 

 

右矢印 「歩き始めて何分後かにAさんとBさんはすれちが」った。Aの進んだ距離を②とするとBの進んだ距離は速さに比例するので③。このとき池の一周は⑤。

 

またAとBがすれちがって「2分24秒後に」(=2.4分後に)AとCがすれちがった。この2.4分間にAとCが進んだ距離は合計320m(=8㎞/時×2.4/60)

この差①が320mなので「この池の一周」⑤は 1600m

 

 

  ②流水算(昭和女子大附属2022・C日程)

 

ある川は秒速0.5mの速さで流れています。水の流れのないところでの速さが秒速□mである船で、この川を下流から上流に400m進むと2分40秒かかりました。

 

この川を下流から上流に400m進むと2分40秒」かかるのだから、このときの速さは

 400m÷160秒=毎秒2.5m

この速さは、川の流れがもしなかったらあと「秒速0.5m」速くなっていた。

つまり、この船の「水の流れのないところでの速さ」は秒速3m

 

 

  ③途中で速さが変わる問題(明治学院2021第1回)

 

明くんと学くんは一緒に家を出て、家から1.5㎞離れた公園まで行くことにしました。明くんは最初走っていましたが、途中で疲れてしまい、半分の速さで歩きました。歩いた時間は、最初に走った時間の1⅓倍です。そのあとまた元気が出たので、毎分120m(歩いた速さの1.5倍)で2分30秒走ったところ、学くんと同時に公園に着きました。このとき、次の問いに答えなさい。
⑴ 明くんが最後に走った距離は何mですか。

 

右矢印 「毎分120m(歩いた速さの1.5倍)で2分30秒走った」ので

 毎分120m×2.5=300m

 

こちらはサービス問題なので正答率も85.1%となっています。本題は次の小問⑵です。

⑵ 学くんの速さは毎分何mですか。ただし、速さは一定とし、答えは小数第2位を四捨五入して答えなさい。

 

まずは明くんの速さを出し(これは問題文にほとんど書かれている)、明くんがかかった時間を求める必要があります。

 

右矢印 明くんは❶走る→❷歩く→❸走るの順で公園に着いている。

 

最初にそれぞれの速さをみていく。

明くんが最後に走った速さについて「毎分120m(歩いた速さの1.5倍)」とあるから、❸は毎分120m❷は毎分80m(=120÷1.5)。

❶は❷の「半分の速さ」だから、❶は毎分160m

 

つぎにそれぞれの距離をみていく。

❸は300m(小問⑴で求めた)

❶の走りから❷の歩きに変えたとき、速さは「半分の速さ」、時間は「最初に走った時間の1⅓倍」になったから、❶と❷の距離の比は (1×1):(½×1⅓)=1:⅔=3:2

そして❶と❷の距離の合計は1200m(=1.5㎞-300m)なので、これを3:2にわけると❶720m❷480mとわかる。

 

最後にそれぞれにかかった時間をみていくと

❶720m÷毎分160m=4.5分

❷480m÷毎分80m=6分

❸300m÷毎分120m=2.5分

 

この合計13分で、学くんは公園までの1.5㎞(1500m)を歩いたから

  1500÷13=115.38… より 毎分115.4m

 

 

なお、以前取り上げたこちらの「歩数と歩幅の問題」も正答率19.8%とやはり低いものになっています。