歩数と歩幅 | 受験算数はきょうもおもしろい

「歩数と歩幅」の話です。速さの章のなかにある単元の1つですが、これが苦手な小学生が実に多いという印象です。

実際、今年出された次の問題でも受験者正答率はかなり低くなっています。

 

ある親子の歩き方を観察しました。親が5歩進む間に子は6歩進みました。また、親が3歩で進む距離を子は5歩で進みました。次の問いに答えなさい。(明治学院中2022第3回)
⑴ 子が75歩で進む距離を親は何歩で進みますか。

 

右矢印こちらはサービス問題。「親が3歩で進む距離を子は5歩で」進むから、比例式にすると

  親:子=3歩:5歩=▢歩:75歩

  ▢=75×3÷5=45歩

 
進む距離だけ考えるとこういう結果になるが、子の75歩と親の45歩とではかかる時間が実は違っているというのが「歩幅と歩数」の最大のポイント。ということでこの小問⑴の受験者正答率(学校発表)58.3%に対し、次の小問⑵では12.1%とガクンと落ちています。

⑵ 子が360m進む間に親は何m進みますか。

 

小問⑴から単純計算すると 360m÷⅗=600m となるが、これは子の方が実は足早に歩くことを考えておらず間違い。

 

 子どもは大人より「小また」だが「足早に」歩く

子どもは大人より「小また」だがちょこまかと「足早に」歩くというのはイメージしやすい。 ここで

丸ブルー「小またで」(歩幅の話)=「親が3歩で進む距離を子は5歩で

丸レッド「足早に」(歩数の話)=「親が5歩進む間に子は6歩

という関係となっており、歩く速さはこの2つで決まる。

  歩く速さ=歩幅×歩数

この「ホハバカケルホスウ」がほぼ唯一のポイントで忘れやすいところなので、これは呪文のように50回くらい唱えて暗記しておきたいところ。

 

 まずは歩く速さの比を求める

本問もまずは歩く速さの比を求める。

丸ブルー歩幅…「親が3歩で進む距離を子は5歩で」進むから、歩幅の比はその逆比で親:子=5:3。

丸レッド歩数…「親が5歩進む間に子は6歩」進むから、歩数の比はそのまま親:子=5:6。

したがって「ホハバカケルホスウ」より、歩く速さの親子比は (5×5):(3×6)=25:18

 

よって距離で比例式をつくると(距離は速さに比例するので) ⬜︎m:360m=25:18 

 ⬜︎=360×25÷18=500m

 

 

  類問(洗足学園中2018)

 

花子さんが3歩で進む距離をお父さんは2歩で進みます。また、花子さんが5歩進む間に、お父さんは4歩進みます。同じ地点から、花子さんが先に200歩進んだ後、歩き続ける花子さんをお父さんが追いかけました。お父さんが花子さんに追いついたとき、お父さんは何歩進みましたか。

 

こちらも受験生正答率19.8%と低めになっています(学校発表)。

 

右矢印 同じく「歩く速さ=歩幅×歩数」から考える。

丸ブルー歩幅…「花子さんが3歩で進む距離をお父さんは2歩で」進むから、歩幅の比はその逆比で 父:花子=3:2。

丸レッド歩数…「花子さんが5歩進む間に、お父さんは4歩」進むから、歩数の比はそのまま父:花子=4:5。

したがって「ホハバカケルホスウ」より、歩く速さの比は父:花子=12:10=6:5。

 

ちなみに「歩数と歩幅」の問題では、歩数の情報は、歩く速さを求めるのに最初に1回使うだけ。歩く速さを出したあとは「花子さんが5歩進む間に、お父さんは4歩」のように歩幅の情報は消しておくと途中で混乱することもなくなるかも知れません。歩幅の情報は重要で(本問もそうですが)あとで使うことがあります。

そこで2人の歩く距離を父=⑥、花子=⑤とおく(歩く距離は歩く速さに比例するので)。この差①がいまある距離の差200歩(花子の足で)。これを追いつくには 200歩×6=1200歩(花子の足で)の距離を父は歩く必要がある。

花子の足で1200歩の距離は(「花子さんが3歩で進む距離をお父さんは2歩で」進むので)父の足だと800歩の距離。