なんでこんな問題がとけないの!? | 受験算数はきょうもおもしろい

入試本番まであと9か月を切り「なんでこんな問題がとけないの!?」と日々わが子に活(喝)を入れておられるご家庭も少なくないことと想像します。ただ、大人なら簡単なのに子どもには難しいという親子間ギャップのある単元(子どもにとってはもともと取っつきにくい単元)がいくつかあるのも事実です。売買損益がその代表例で、これはよくわかるのですが、少し意外なのが今回取り上げる縮図(縮尺)です。

 

割合も相似もふつうにこなす子が、縮図(縮尺)の問題になるとなぜか正解できないというケースが多発するのを私も見てきました。親だったら「なんでこんな問題がとけないの!?」とまさに言いたくなるところです。

たとえばこんな問題です(カッコ内は学校発表の受験生正答率)。

 

❶縮尺が2万5千分の一の地図で、10cm四方の正方形の土地の面積は、実際には▢㎢です。(26.9%)

❷面積が125000㎡の公園は、縮尺25000分の1の地図上では▢㎠です。(9.0%)

❸縮尺25000分の1の地図で面積が80㎠の土地は、縮尺50000分の1の地図では面積は▢㎠になります。(37.9%)

 

以下、一つずつ見ていくと

 

❶縮尺が2万5千分の一の地図で、10cm四方の正方形の土地の面積は、実際には▢㎢です。(明治学院中2021年第3回)

 

 

大人は万単位の数字も日常的に見慣れていますが(「いま家賃20万なので4000万のマンションなら買いだ」とか「今年は塾代に100万かかりそう」とか…)、そういう社会経験に乏しい子どもは総じて大きい数字が苦手なようです。
縮尺の問題では25000とか100000とか、ゼロが並ぶ数字を扱う必要があり、これが縮尺を苦手とする小学生が多い背景にあるように思われます。そうであれば、できるだけ計算途中で大きい数字が出ないように工夫しながら問題に取り組むことだと思います。

右矢印 平方センチから平方キロにしようとすると計算途中でめちゃくちゃ大きい数字が出てしまう。そこで(面積を考える前の)長さの段階で実際のサイズに戻す。

すると「10cm四方の正方形の土地」の一辺の実際の長さは

 10㎝×25000=250000㎝=2500m=2.5㎞ 

よって面積は ▢=2.5km×2.5km=6.25㎢

 

 

❷面積が125000㎡の公園は、縮尺25000分の1の地図上では▢㎠です。(同2020年第3回)

 

右矢印 これもまず長さで考える。

縮尺25000分の1の地図上」の1㎝は、実際のサイズは25000㎝=250m。

これを利用したいので「面積が125000㎡の公園」をわかりやすくタテ250m×横500mの公園と考えてみると、地図上では1㎝×2㎝=2㎠となる。

 

 

❸縮尺25000分の1の地図で面積が80㎠の土地は、縮尺50000分の1の地図では面積は▢㎠になります。(同2022年第1回)

 

これは相似の知識が利用できるためか、正答率も少し高くなっています。

右矢印 縮尺が½になっているので面積比は¼になり、▢=20㎠

 

 

なお、この問題もそうですが、第2回試験や第3回試験でためしに出してみた受験生の反応を見て、これを微修正して翌年や翌々年の第1回試験で類問を出すというのは入試業界ではよくある話です。受験校の過去問を活用される際には、来年の第1回試験しか受けない場合でも必ず、今年や去年の第2回試験も(もしあれば第3回、第4回試験も)やっておかれることをオススメします。