回転させるその前に… | 受験算数はきょうもおもしろい

立体図形の章にある「回転体の体積」というテーマです。

回転体の体積を求めさせる問題は毎年多くの学校で出題されています。体積問題なので、どうしても計算量が多くなり計算ミスをする可能性が高くなるため、計算量をできるだけ減らす工夫をすることがポイントになります。

 

パターン別に見ると、たとえば長方形以外の基本形として次のようなものが出されています。

 

  ❶平行四辺形(甲陽学院中2019)

 

図のような平行四辺形ABCDを、辺CDを軸として1回転させてできる立体を考えます。ただし、円周率は3.14とします。
⑴ この立体の体積を求めなさい。(小問⑵略)

これを回転させると、円柱の上に円すいがのる形となり、下には円すい形のくぼみができてここに上の円すいがすっぽり入る形になる。

そこで上の円すい部分を切り取って下に移して、ひとつのきれいな円柱として計算する。

BC=3㎝なので、3:4:5の直角三角形の相似より、円柱の半径は 3㎝×⅘=¹²⁄₅ ㎝。高さ5㎝なので、求める円柱の体積は

 ¹²⁄₅×¹²⁄₅×3.14×5=¹⁴⁴⁄₅×3.14=90.432㎤

 

 

  ❷台形(富士見中2021)

 

図の台形を、直線𝓵の周りに1回転してできる立体の体積は▢㎠です。

台形の上に三角形をつけ足すと大小の相似形(いずれも3:4:5の直角三角形)が見つかる。

この大きい直角三角形(半径6㎝、高さ4.5㎝)を利用して、この台形の回転体(円すい台)の体積を求めると、相似比1:3のとき体積比は1:27となることから

 6×6×3.14×4.5÷3ײ⁶⁄₂₇=2×2×3.14×0.5×26=52×3.14=163.28㎤

 

 

  ❸正方形の組合せ(本郷中2021)

 

図のような1辺が1㎝の正方形を組み合わせた図形を、直線𝓵の周りに1回転させてできる立体の体積は何㎤ですか。ただし、円周率は3.14とします。

 

回転させる前にできるだけ上部にまとめる。ただし、回転体の体積が変わらないよう、移動させるときは平行移動のみ。

こうして4段からなる3つの円柱の組合せとして計算すると

  上2段…5×5×3.14×2

  3段め…1×1×3.14×1

  4段め…4×4×3.14×1

これらを合計すると

  (50+1+16)×3.14=67×3.14=210.38㎤