変則的な道順問題⑤ | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

道順問題で一度は解いておきたい(初見だと対応に困ってしまいそうな)パターンの問題2題です。

 

  ななめの道を1本通る行き方(甲陽学院2019)

 

右の図のように9つの小さな正方形の区画があり、ななめにも進むことができます。1区画だけななめに進んでよいときAからBまで最短距離で行く方法は▢通りです。

 

右矢印 ななめの道に次のように①~⑨の番号をつける。

問題文では「1区画だけななめに進んでよい」となっているが、実際にはななめの道1本は必ず通る必要がある(でないと「最短距離」にならない)。その必ず通る1本をどれにするかで場合分けする(*書くと大変そうだが実際は暗算でいけるかんたんなかけ算とたし算だけ)

  1. ①を通るとき…①の前は↑↑だけ、①のあとは→→だけなので1通り
  2. ②を通るとき…②の前は↑↑→の並べかえで3通り、②のあとは→だけで1通り。ぜんぶで3×1=3通り
  3. ③を通るとき…③の前は6通り(ふつうに数えられる)、③のあとは1通りで 6×1=6通り
  4. ④を通るとき…ABではない方の対角線で②と左右対称なので、②と同じ3通り
  5. ⑤を通るとき…前は2通り、あとも2通りなので2×2=4通り
  6. ⑥を通るとき…対角線ABで②と左右対称なので、②と同じ3通り
  7. ⑦を通るとき…ABではない方の対角線で③と左右対称なので、③と同じ6通り
  8. ⑧を通るとき…対角線ABで④と左右対称なので、②と同じ3通り
  9. ⑨を通るとき…対角線ABで①と左右対称なので、①と同じ1通り
以上の合計で 1+3+6+3+4+3+6+3+1=30通り
 

別解

AからBまで歩くには、たてに2回(↑↑)、横に2回(→→)、ななめに1回(↗)進む必要。

となると「↑↑→→↗」の並べ方を考えればよい。

このうち「↑↑→→」の並べかえでまず6通り。

このどこかに↗を入れればよい(たとえば上のパターンなら「■↑■↑■→■→■」のどれか1つの■に↗を入れればよい)からそれぞれ5か所ずつある。

よって 6×5=30通り

 

 

  途中で出会う行き方(海陽中2022特別給費)

 

図2のような道があります。海君と陽子さんは同時に出発し、二人とも同じ速さで、遠回りせずに目的地まで道を歩きます。

 (う) 海君がDからFまで歩く歩き方は何通りありますか。

 

右矢印 DからFまで歩くには、横に3回(→→→)、たてに2回(↑↑)進むことが必要。となると

「→→→↑↑」の並べ方を考えればよい。

5つの場所から↑をおく場所2か所を選ぶ選び方なので 5×4÷2=10通り

 

 (え) 海君がDからFまで歩き、陽子さんはEからCまで歩きます。海君と陽子さんが出会う歩き方は何組ありますか。

 

右矢印 2人が出会う可能性のある場所は次の①②③の3か所。場所ごとに考える。

1、①で出会う歩き方は 3×3=9組

  • 海君…Dから①まで1通り、①からFまで3通りなので 1×3=3通り
  • 葉子さん…Eから①まで1通り、①からCまで3通りなので 1×3=3通り

2、②で出会う歩き方は  4×4=16組

  • 海君…D→②が2通り、②→Fが2通りで 2×2=4通り
  • 葉子さん…E→②が2通り、②→Cが2通りで 2×2=4通り

3、③で出会う歩き方は 3×3=9組

  • 海君…D→③が3通り、③→Fが1通りで 3×1=3通り
  • 葉子さん…E→③が3通り、③→Cが1通りで 3×1=3通り

以上の合計で 34組

 

 (お) 海君がDからFまで、陽子さんがFからDまで歩くとき、海君と陽子さんが出会わない歩き方は何組ありますか。

 

右矢印 2人が出会う可能性のある場所は次の①~⑤の5か所。それぞれの場所で出会う歩き方が何通りあるかをまず考え、最後にぜんぶの歩き方からこれを引く方法(余事象)で求める。

 

1、①で出会う歩き方は 1×1=1組

  • 海君…D→①が1通り、①→Fが1通りで 1×1=1通り
  • 葉子さん…F→①が1通り、①→Dが1通りで 1×1=1通り

2、②で出会う歩き方は  2×2=4組

  • 海君…D→②が2通り、②→Fが1通りで 2×1=2通り
  • 葉子さん…F→②が1通り、②→Dが2通りで 1×2=2通り

3、③で出会う歩き方は 4×4=16組

  • 海君…D→③が2通り、③→Fが2通りで 2×2=4通り
  • 葉子さん…F→③が2通り、③→Dが2通りで 2×2=4通り

4、④で出会う歩き方は(これと対称形の)②と同じで4組

  • 海君…D→②が2通り、②→Fが1通りで 2×1=2通り
  • 葉子さん…F→②が1通り、②→Dが2通りで 1×2=2通り

5、⑤で出会う歩き方は(これと対称形の)①と同じで1組

 

以上を合計したものが2人が出会う歩き方で 26組

 

ぜんぶの歩き方は、海君が10通り(小問⑴)、陽子さんも10通りあるから 10×10=100組

よって2人が出会わない歩き方は 100-26=74組 完了