カードで整数をつくる2023 | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

カードで整数をつくるという問題があります。

一般に、問題文はわかりやすいですが、正しく数え上げて正解にたどりつくのはなかなか難しいものが多いです。

今年出題された問題、あるいは2023年度入試サンプル問題として公表されている問題として、次のようなものがあります。

 

  その1(大阪星光学院2023)

 

の3枚のカードで4桁の数を作るとき、できる数は□通りあります。また、の5枚のカードから3枚または4枚のカードを選んで、4桁の数を作るとき、できる数は□通りあります。ただし、たとえばは同じ数と考えます。

 

で作れる4桁の数

をどこの桁で使うかで場合分けをする。

  1. 「■■」のとき…■■は「12」か「21」の2通り
  2. 「■■」のとき…■と■は「1と2」か「2と1」の2通り
  3. ■■」のとき…■■は「21」の1通り(「12」は1.で数えた)

以上の合計で5通り

 

で作れる4桁の数

のカードを使うときと使わないときに分けて考える。

 

❶ を使わないとき…の並べ方なので 4×3×2×1=24通り

 

❷ を使うとき…どこの桁で使うかでさらに場合分けをする。

  1. 「■■」のとき…■■はから選んだ2枚の並べ方なので、4×3=12通り。ただし「34」と「43」は❶と重なるのでこれを引いて10通り
  2. 「■■」のとき…1.と同じく10通り
  3. ■■」のとき…これも1.と同じく10通りあるうち「1212」は1.で数えたのでこれを引いて9通り

以上の合計で 24+10+10+9=53通り

 

 

  その2(西大和学園2023)

 

1から19までの整数が書かれたカード
 、…、
が1枚ずつあります。この中から2枚、または3枚のカードを使って3桁の整数をつくります。ただし、3枚のカードをこの順で使用するときは219を、2枚のカードをこの順で使用するときも219を表します。
 ① このようにしてできる3桁の整数のうち各位の数字がすべて異なる整数は[あ]個あります。

 

右矢印 3枚のカードを使うときと2枚のカードを使うときに分けて考える。

  1. 3枚のカードを使ってできる「3桁の整数のうち各位の数字がすべて異なる整数」は、百の位の選び方が1~9の9通り、十の位が1~9のうち百の位で使わなかったもので8通り、一の位が7通りあるから、9×8×7=504コ
  2. 2枚のカードを使ってできる「3桁の整数のうち各位の数字がすべて異なる整数」のうち上の1.と重ならないものを考えるとそれは0が入る数字。つまりのカードを使うもの。10を「百の位と十の位」として使うと(10■)一の位は2~9の8通り、10を「十の位と一の位」として使うと(■10)百の位は2~9の8通りあるから計16コ

以上の合計で 504+16=520個

 

② このようにしてできる3桁の整数は全部で[い]個あります。

 

右矢印 上で求めた「各位の数字がすべて異なる整数」520個に、同じ数字を含む3桁の整数の個数を調べて足すことで求められる。

 

からまでのカードを使って、同じ数字を含む3桁の整数が何個できるか順に見ていくと

  1. のカードを使うもの…101と110の2コ
  2. のカードを使うもの…「11■」の形だと111から119までの9コ、「■11」の形だと211、311、411、511、611、711、811、911の8コの計17コ
  3. のカードを使うものが121、122、212の3コ(112は上で数えた)、のカードを使うものが同じく3コ(131、133、313)、 …、のカードを使うものが同じく3コ(191、199、919)あるから 3×8=24コ
以上を合計して 520+2+17+24=563個

 

 

  その3(品川女子2023算数サンプル問題)

 

0〜9の数字がかかれたカードが1枚ずつ、合計10枚のカードがあります。何枚かならベ、上下をひっくり返す作業をします。この作業によって、0⃣、1⃣、8⃣のカードは上下をひっくり返しても0、1、8と読めて、6⃣、9⃣は9、6に読めて、他の数字は読めなくなります。例えば、2⃣は読めなくなり、8⃣9⃣は86と読めます。

⑴ 3枚のカードをならべて3けたの整数を作りました。この3枚すべてのカードに作業をしたところ、3けたの整数として読めました。作業後の3けたの整数が考えられる最も大きな整数となるとき、作業前にならべた3けたの整数を答えなさい。


右矢印 上下をひっくり返しても数字として読めるもので「考えられる最も大きな整数」は986

これが作業後のものだとすると作業前の整数は 689

 


次に、4枚のカードをならべて4けたの整数を作ったところ、以下のようになりました。
・千の位は0⃣はない。
・ーの位と十の位のカードだけ作業をすると、作業後は作業前の整数より30大きい。
・4枚すべてのカードに作業をすると、4けたの整数としては読めない。
・各位の数字をかけると0になる。

⑵ 最初にならべた4けたの整数が奇数であるとき、この整数は何通り作れますか。

 

右矢印 条件を使って各桁の数を決めていくと

  1.  「ーの位と十の位のカードだけ作業をすると、作業後は作業前の整数より30大きい」となると、作業前「■■6■」→作業後「■■9■」しかなく十の位は6
  2. 上の結果「9■-6■=30」より一の位は上下ひっくり返しても読める数字で大きさが変わらないもの。となると0、1、8のどれかだが「奇数」なので一の位は1
  3. 各位の数字をかけると0になる」が「千の位は0⃣はない」ので百の位は0

よって「■061」となる数字だとわかるが「4枚すべてのカードに作業をすると、4けたの整数としては読めない」から8061だけは対象外で、それ以外の2061、3061、4061、5061、7061の5通り

 

⑶ 最初にならべた4けたの整数が偶数で、各位の数字をたすと16になりました。このような4けたの整数をすべて答えなさい。考えた過程もかきなさい。

 

右矢印 条件を使って各桁の数を決めていくと(1.は小問⑵と同じ)

  1.  「ーの位と十の位のカードだけ作業をすると、作業後は作業前の整数より30大きい」となると、作業前「■■6■」→作業後「■■9■」しかなく十の位は6
  2. 上の結果「9■-6■=30」より一の位は上下ひっくり返しても読める数字で大きさが変わらないもの。となると0、1、8のどれかだが「偶数」なので一の位は0か8。この段階で「■■60」か「■■68」のどちらかの形だとわかり、場合分けをする。
  3. 「■■60」のとき「各位の数字をたすと16」だから■■は19、28、37、73、82、91にしぼられるが、「4枚すべてのカードに作業をすると、4けたの整数としては読めない」から19と91は対象外→条件に合うのは2860、3760、7360、8260
  4. 「■■68」のとき「各位の数字をたすと16」で「千の位は0⃣はない」から■■は20だけ→条件に合うのは2068
以上のとおり、条件に合うのは 2068、2860、3760、7360、8260 完了