フェルミ推定を入試問題でつかったら② | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

 

たとえば次の問題でも、フェルミ推定の考え方を使って正解を先に予想してみることで早くラクに正解にたどり着くことができます。

 

次の□に当てはまる数を答えなさい。(西大和学園中2020本校)
①西さんは、紙に1、2、3、4、5、6、7と1から順に7つの数を書きました。このとき、7つの数の平均は▢です。大和くんが、その中の1つの数である▢を消しゴムで消すと、残りの数の平均は3½となりました。

 

右矢印 「7つの数の平均」は中央値の4

残りの数の平均は3½」は、残り6つの数の平均値なので、分母を6で倍分すると3½=²¹⁄₆。平均値が4=²⁸⁄₇から²¹⁄₆になったのだから、消した数は7

 

ちなみに「平均値」や「中央値」はかつては中学数学の単元だったのが、5年ほど前から算数単元になっています(新学習指導要領)。

 

②次に、西さんは、新しい紙に1、2、3、4、5、…と1から順に、▢までの数を書きました。そして、大和くんが、その中の1つの数である▢を消しゴムで消すと、残りの数の平均は32⅓となりました。

 

小問①が誘導問題となっていることは明らかなので、これとフェルミ推定の考え方で解いていきます。

 

右矢印 「残りの数の平均は32⅓」より次のような予想ができる。

①平均値≒中央値≒32とざっくりと考え、とりあえず1から64までの64コ(中央値=32.5)の数を考えてみる。

②ここから1コ消すと残り63コ。ところで残りの数の平均値が「32⅓」と分母3の分数になっているのは3の倍数で割った=個数が3の倍数であるため。この点でも「消す前64コ→消したあと63コ」というのは最初に試してみる候補としてわるくなさそう。

 

実際に1から64までの和を求めてみる。

等差数列の和の求め方は台形の求め方の応用(過去記事)なので

 (1+64)×64÷2=2080

一方、残り63コの「平均は32⅓」より

 32⅓×63=⁹⁷⁄₃×63=97×21=2037

この差43(=2080-2037)はうまい具合に1から64のなかに入っておりぴったり条件に合う。

よって西さんは64までの数を書き43を消した。