点の移動 | 受験算数はきょうもおもしろい

今回のテーマは「点の移動」です。

その複合的な内容から、速さの単元におかれたり、平面図形の単元におかれたりします。

多くの場合、最初にひと工夫したあとは出会い算か追いつき算の問題として解けるようになっています。

たとえば次のようなパターンがあります。

 

  長方形を2点が動く(巣鴨中2020)

 

たて6㎝、横10㎝の長方形ABCDとその辺上を動く2つの点P、Qがあります。点Pは辺AD上を毎秒3㎝の速さで点Aを出発して点Aから点Dまで動きます。点Qは辺CB上を毎秒1㎝の速さで点Cを出発して点Cから点Bまで動きます。点Pと点Qが同時に出発するとき、四角形ABQPがはじめて長方形となるのは出発してから何秒後ですか。

右矢印 点Qは「辺CB上を毎秒1㎝の速さで点Cを出発して点Cから点Bまで」動くところ、これを「点DA上を毎秒1㎝の速さで点Dを出発して点Dから点Bまで」動くものと読み替えてみる。

すると「四角形ABQPがはじめて長方形となる」のは点Pと点Qがはじめてぶつかるときなので、ふつうの出会い算(反対方向に進む旅人算)としてこれを解くと

  10÷(3+1)=2.5 より 2.5秒後

 

 

  円上を2点が動く(品川女子2022算数)

 

図は点Oを中心とする円です。2点PとQが点Aを同時に出発し、円周上を時計まわりに一定の速さで進みます。円を1周するのに点Pは20秒、点Qは30秒かかります。三角形OPQの面積がはじめて最大となるのは2点PとQが点Aを出発してから▢秒後です。

右矢印 「三角形OPQの面積がはじめて最大となる」のは底辺も高さも最大となるときなので、三角形OPQの角Oがはじめて直角になるとき(=底辺も高さも円Oの半径になるとき)を求めればよい。

ふつうの追いつき算(同じ方向に進む旅人算)としてこれを求めると、点Pの速さは毎秒18°(=360°÷20秒)、点Qの速さは毎秒12°(=360°÷30秒)なので

  90°÷(18°-12°)=15 より 15秒後

 

 

  長方形を3点が動く(浅野中2020)

 

[図1]のような長方形ABCDがあり、EFはADに平行です。また、GHはABに平行です。いま、点Pは秒速2㎝で点Gから点Dまで、点Qは秒速16㎝で点Fから点Eまで、点Rは秒速7㎝で点Hから点Bまで矢印の方向に同時に出発し線上を動きます。このとき、[図1]のように、初めて3点P、Q、Rが一直線上に並ぶのは、3点が出発してから▢秒後です。

 

 

このような3つの点が動く問題ではまず点を2つにすることを考えます。これが2つにできたらふつうの旅人算で解けるためです。
具体的には、3つのうち2つの点の動きは必ず同じ方向を向いているので、その2点の動きを合体した1つの点をあらたに考えることで道がひらけることがほとんどです。

右矢印 点Hと点Fの延長線とADとがまじわる点をアとする。

このとき△HCFと△アDFとは相似比2:1の相似形なので、Dとアとの距離は25㎝。

ここでアから出発する点Xを考える。このXはいつもRとQを結んだ直線上にあるように動くものとすると、その速さは毎秒20.5㎝(Qは毎秒9㎝ずつRに追いつくのでXはその1.5倍の毎秒13.5㎝ずつRにおいつく速さであることが必要)

この点Xと点Pとが線GX上で最初にぶつかるときに「初めて3点P、Q、Rが一直線上に並ぶ」ことになるので、

  (50+25)÷(2+20.5)=75÷22.5=3⅓ より 3⅓秒後