公式に頼りすぎるとハマってしまう入試問題 | 受験算数はきょうもおもしろい

比の計算の話です。

比例式の問題には大きく

 ①比の性質(両方の数に同じ数をかけても、同じ数でわっても、比は等しい)を使って解く

 ②公式「内項の積=外項の積」を使って解く

という2つの解法があり、問題に応じて二刀流で対応できるようにという話をこれまでしてきました。

 

慣れてくるとどうしても②の公式に頼りがちですが、これに頼りすぎるとハマってしまうという比例式の問題もときどき入試に出ています。

たとえば次の2問。
 

  その1(明大中野八王子2013)

 

(575-□):(311-□)=7:3であるとき、□にあてはまる数を求めなさい。ただし、□には同じ数がはいります。

 

右矢印 内項の積=外項の積をすると膨大な計算量が必要になってしまう。

そこで冷静に考えてみると、□がどんな数字でも、左辺の左項(575-□)と右項(311-□)との差はいつも264(=575-311)。そして右辺の両項の差は4(=7-3)なので、右辺を66倍したものが左辺という関係にある。

よって左項どうして計算すると

  575-□=7×66=462 □=113

念のため、右項どうしで検算しても 311-113=198=3×66 が成り立っている。

 

  その2(品川女子学院2021算数)

 

 

右矢印 これも内項の積=外項の積をしようとすると強引な力技になってしまう。

XとYはもともと5:6なので、加比の理*より、足すものだけを考えればいい。

そこで =5:6 を解くと □= ⁶ ⁄ ₂₅

 

*比にはもう一つ「同じ比どうしをたしても(ひいても)比はかわらない」という性質があります。加比の理(かひのり)と呼ばれるもので、図形問題ではよく使いますが、比の計算でもこれが使えることがあります。

 

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