たとえば文章題で「…リンゴは何個買いましたか?」という問題に対し、しばらく計算していた小学生が計算ミスに気づかずに自信をもって「2.5個!」と答えたりすることがたまにあります。ある程度勉強が進んで「3.6km」や「5.4時間」などの答えをふつうに見るようになった頃にありがちです。個数の話なら正の整数であることが暗黙の前提であり、条件のひとつとしてかくれているのに、いつの間にかこれを忘れてしまっているわけです。
そういうかくれた条件をうまく利用した推理算の問題がこちらです。
昨年の新入生数は375人でした。今年の新入生数は昨年に比べ、男子が8%増加し、女子が7%減少しました。全体としては昨年に比べ、今年の新入生は増加しました。今年の新入生は□人です。ただし、昨年の男子新入生、女子新入生はともに0人ではありません。(須磨学園中2022第3回)
たったこれだけの情報で解けるの?問題ミスかも?(*ある一文が抜け落ちていたため解答不能だったとして受験者全員に点数を与えるケースは実際にほぼ毎年どこかで起きています)などと思いながらも、いまある情報で少し考えてみる。
昨年の新入生数は375人でした。今年の新入生数は昨年に比べ、男子が8%増加し、女子が7%減少しました。
人数の話なので「男子の8%」や「女子の7%」は必ず整数になる。
8%が整数なら、もとにする量(昨年の男子の新入生)は25人、50人、75人…にしぼれる。
女子はもっとしぼりこめて、7%が整数ならもとにする量(昨年の女子の新入生)は100人、200人、300人のどれか。女子を基準にして3パターンを順に見ていく。
❶昨年の新入生女子300人のとき、男子は75人。これだと今年の男子は6人増、女子は21人減となり「今年の新入生数は増加」の条件に合わない。
❷女子200人のとき、男子は175人。これもやはり条件に合わない(男子14人増、女子14人減となり今年は増減ゼロとなってしまう)。
❸女子100人のとき、男子は275人。このとき男子22人増、女子7人減となり、これだけが「今年の新入生数は増加」という条件にも合う。
よって、今年の新入生は □=375+22-7=390人