もっと入試問題で出されてもおかしくない川渡り問題 | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きになります。

 

前回とりあげた魔方陣は世界的に知られていますが(とくにサグラダ・ファミリアの魔方陣は有名)、同じく世界的に愛されているのに中学入試ではまだそこまで取り上げられていない推理算が川渡り問題です。問題分析力や論理的思考力を問うのに適した題材であり、少しアレンジして難題がいくらでも作問できるため、もっと入試問題で取り上げられてもおかしくない未開の分野といえそうです(公務員試験ではそこそこ出題されています)。本番で初見でこれを正解するのはかなり難しいので、一度は解いておきたい問題です。

 

中学生7人と小学生5人が、川をはさんでA地点からB地点まで移動します。移動には1艘(そう)のボートを使いますが、移動のルールは以下の通りです。全員がB地点へ移動するまで、最も少なくて何回で移動できますか。ただし、A地点からB地点への移動、B地点からA地点への移動をそれぞれ1回と数えます。

(龍谷大学付属平安中2021)

 

 

龍谷大学付属平安中学校 2022年度受験用 赤本 1081 (中学校別入試対策シリーズ)

 

右矢印 「ボートは無人で移動しない」ことから、帰り(B→A)のボートでは必ず小学生1人を移動要員(運び屋)として確保する必要がある。他の制約もあわせて必要な条件を整理すると

 

 ❶小学生は必ず2人で渡り、うち1人はボートで戻ってくる

 

 ❷中学生は1人で渡り、帰りは(B地にいた)小学生1人がボートで戻ってくる

 

ことが必要で、この2つのパターンを繰り返すこととなる。

 

ポイントは、小学生1人を渡すのには1往復で済むが、中学生1人を渡すのには2往復が必要(❶で小学生1人を渡してはじめて❷が可能になる)ということ。

 

以上をふまえると、本問では中学生が7人いるので、ここで2×7=14往復する必要。

さらに小学生5人が渡るのに3.5往復(4往復めの行きのA→Bで小学生2人が渡りきったところで終了)が必要なので、最も少ない移動の合計は17.5往復=35回完了