見た目にダマされてはいけない入試問題(その5) | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

見た目にだまされたのか、正答率がわずか5.9%(学校発表)になった図形問題があります。

 

図のように、1辺の長さが6㎝の正三角形を4つの部分に分けました。斜線部分全体の面積は、中央の小さな正三角形の面積の何倍ですか。(洗足学園2017第2回)

 

 

310洗足学園中学校 2022年度用 4年間スーパー過去問 (声教の中学過去問シリーズ)

 

 

採点者所見として「平面図形の面積を求める問題です。補助線を入れて考えます。」というシンプルなものが出ていますが、まっさきに思いつくところに補助線を引いてしまうとたぶんハマってしまう(それでも補助線を付け足してゴリゴリやっていけば解けないことはないが)というおもしろい問題です。ふつうなら4番めか5番めくらいにしか出てこない次の補助線の引き方が本問の最善手かと思います。

 

右矢印 大きい正三角形の頂点をA、B、Cとする。辺AC上の点Dから、真ん中の正三角形と接するように垂線DEを引く。

同じように垂線EF、FDを引く。

 

ここで△CDEは有名な90°/60°/30°の直角三角形なので、CD=4㎝、CE=2㎝とわかる。

そうすると隣辺比と面積比の関係*より △ABC:△CDE=6×6:4×2=36:8

つまり△ABC=㊱とおくと△CDE=⑧になる。

 

そして△AFD、BEFは△CDEと合同なので(1つの辺とその両端の角が等しい)これらも⑧になる。

全体を㊱とおいたので、残った正三角形DEFは⑫。この△DEFは同じ正三角形4コからできているので、それぞれの正三角形の面積は③となる。

本問で求める斜線部分の面積は、三角形全体の面積㊱から真ん中の小さい正三角形③を引いた残りなので㉝。これは真ん中の正三角形③の 11倍 となる 完了

 

 

隣辺比についての過去記事はこちら