異人たちとの夏
隅田川をはさみ浅草の対岸には(墨田区)本所や向島がある。私はこの近くで育った。ガキの頃、隅田川を渡り対岸へ行くのは勇気がいることで、浅草は大人の街だった。山田太一先生の初期の作品に「河を渡ったあの夏の日」があるが、記憶が正しければ、主人公の萩原健一と小鹿ミキは隅田川を渡りこちらへやって来る。河を渡らないと事は始まらない。
「異人たちとの夏」 (原作: 山田太一、監督: 大林宣彦)は浅草が主要な舞台となっている。
主人公(風間杜夫)は売れっ子の脚本家で厳しい業界で生きてきた。ふと足が向いた夏の夜の浅草 ・・・ 、彼は父親と母親に再会する。幼い頃に死に別れた若い両親に。同じ頃、マンションの住人の女(名取裕子)と知り合い、彼女に溺れていく。数日前の嵐の夜、彼女に冷たくした負い目もあったのだ。不思議な体験は重なり悪霊にもとり憑かれるが、友人に助けられ穏やかな心を取り戻す。両親との別れのシーンはすきやきの「今半別館」で、そこでの母親(秋吉久美子)のセリフが良い。
異人との再会が叶うなら誰と会いたいか? もちろん畑を野球場に変えても待ってます。昼食は田原町の「鰻やっこ」へ。
映画に愛をこめて 304
天保山から茨木へ
今年6月、渋谷駅地下に安藤忠雄先生の設計した駅がオープンする。安藤建築は書籍、WEB等で多く紹介されているので検索は容易だ。関西にあまり縁の無かった私は、以前、大阪を訪れた際に幾つかの作品をみて回ることにした。
「サントリーミュージアム天保山」は海沿いにある。
昔読んだ高村薫先生の随筆に、遮るものが多い東京に比べ大阪の海は近くに感じる、というような内容があったと記憶している。このミュージアムを一歩出ると海が広がっており、風と光が心地よい。見上げた建物外壁は空の景色を映し出す。空からは海の景色を映すのだろうか。
「光の教会」へは確認メールをしてから出かけた。
溢れる光の十字は見る者を圧倒する。少ない予算の中で試行錯誤を繰り返しこの教会は建てられたそうだ。才能と強い意思で築かれた至宝は茨木市の住宅街にある。
建物探訪 004





