北海道旭川のモザイクタイル作家/講師

中村あきこです。


今日は本のご紹介ひらめき

本日読み終えたのはこちら。

対岸の家事


専業主婦の主人公を取り巻く
いろんな母のそれぞれの物語。
はたから見ると素敵に映るワーママも、
子育てをしながら必死でもがきながら働いているし、
はたから見ると
呑気に映る子育て中の専業主婦も、
いろんなことがあって考えて必死でもがきながら生きているし、
一言で「主婦」「ママ」などではくくれない、それぞれの物語が多角的に書かれています。

私も次男坊が幼稚園に入るまで
仕事はせず5年間「専業主婦」でした。

家にいるから時間があるでしょう、
ゆったり子育てができるでしょう、
なんて思われがちですが

多忙なオットはほぼ家におらず
文字通り24時間幼子と二人きり(長男が幼稚園に入るまでは3人きり)の5年間は、そんな優雅なものとはかけ離れていて、
今思い返すと宝物のような時間だったなあと思えますが、当時そのさなかにいた私は
この世の生き地獄か、と泣きながら思ったことも数え切れないほどありました。

新米母一人に子供の命と全責任が預けられ、
成長とともに必要な教育にかかわること全て任され、
子供らの体を作る食事面全て、
子供に必要な運動と睡眠のバランスうんぬんかんぬん、遊ばせて昼寝させて食べさせての生活リズムをきちんとつけるタイムスケジュール管理、
怪我や身の危険に関する注意すべて、
おむつ外し離乳食にぐずり倒す子供の世話、
そして細心の注意を払わねばならないママ友や、ご近所・地域との付き合い、
そのほかに出産前と変わらない量の家事とオットの世話。
夜中に何度も起きる子供の面倒を見て
5年くらいはまとまって眠れていなかったと思います。
時々子供を預けられる親が近くにいない私は、まさに八方塞がりのワンオペ育児でした。

これら全ーー部をひっくるめても
なお「ゆったり専業主婦」と呼べますか?

小さな子を育てる専業主婦業は、
究極のマルチタスクを365日休みなしにこなす超過酷労働です。

この本の作者さんは
専業主婦、ワーママ、諸事情によるシンママ、子供がいない若奥様、仕事をしながら親の介護をしている未婚の女性、主夫等々、全ての目線に立ってそれぞれの思い、辛さ、叫びを的確に表しています。

とても読みやすくて数時間であっという間に読み終えたけれど
やっぱり主人公の専業主婦の思いを読むと
当時の辛かったワンオペ育児期間を思い出してしまって、泣けてきそうになるし
当時の「子供はこんなにかわいいのに、なんで。。」と泣いていた時のネガティブ感情が蘇ってきて、なんだか辛かった悲しい

二人とも幼稚園に入って
まとまった自由時間ができたとたん
そんな生き地獄時期のことはすっかり忘れてママ友と楽しくランチしたりしていたのだけれど

辛いさなかは
一人でもうどこかに消えてしまいたいと
思ったものだったな。

この本の登場人物たちも、実際に子育てしているママたちも、皆こういう時期をどうにか乗り越えて今がある。
自分はどうやって乗り切ったのだろう、と思い返すと
毎日家事もそっちのけで朝から通っていた地域の児童センターが救いだった。
そこで話を聞いてくれる職員の先生達、毎日集まるメンバーママ達のお陰だったと思う。くだらない愚痴をこぼしたり、病院や習い事の情報交換をしたり、ただただおしゃべりをしたり。
とにかく人に救ってもらっていた5年間だったように思う。

私のように辛くても
児童センターに行くという能動的な行動を起こせるのはまだましな方で
対人関係が苦手、家から出たくない、などで児童センターに来られない専業ママは事態が深刻になる可能性が高いです。
何日間も大人と話していない、
旦那も帰りが遅くて話を聞いてくれない、
引っ越してきたばかりで友達がいない、
(夫の転勤についてこざるを得ない新米ママさん多いです。私もそうだった)
などもママも多いと思います。

書き連ねると終わらないくらい
しんどいことが多い新米ママの生活。
これは、そこに一筋の光が見えるような本なので
今その境遇にいる方に読んでもらいたいのだけれど、、そのさなかはゆっくり本など読める生活じゃないのが歯がゆいところ悲しい
私のように、幼児育児が一段落してから読んで「そうだよね、地獄だったけれど、想い返すとあの頃が宝物のよう」と思うのも良いかもしれません。

でも何より読んでほしいのは
幼児育児真っ只中にいる奥さんを持つ旦那さん達なんだよなあ。。。読んでー❢❢

そして今
呑気に屈託なく自由奔放に、
のびのびとでっかく育った息子二人を見て
あの頃の私、よく乗り切った❢と思うのです。