これこそ2008年の酸
久しぶりに飲んでみたくなって、11年5ヶ月ぶりに抜栓。
シュロス・ザールシュタイン醸造所の2008年産リースリング・シュペートレーゼ・トロッケン。
酸フェチの自分にとって、ザールやルーヴァーの2008年と2010年は忘れられない「酸のヴィンテージ」である。
特に瓶詰め直後の2008年産は惚れ惚れするような見事な酸だったが、そのぶん閉じるのも早く
1~2年もするとすっかり冴えない存在に成り下がってしまい、いつしか定点観測をする気も失せて
ここ10年ほどは蔵に封印して出来るだけ関わらないようにしていた。さて、いったいどうなっているんだろう?
黄金色がかったイエロー。香りはナッツやペトロール、熟したマンゴー、湿った木や腐葉土、
焦げ臭いシーファー香など。スワーリングするとペトロール香が前面に拡がる。かなり熟成感が出た香り。
口当たりはまろやかで旨味を感じさせるナッティーな果実味だが
いつしかそれに取って代わったシャープな酸が徐々にエンジン全開でグーンと余韻にまで突っ走る。
あぁこれこれ、この歯にチクチク染みる酸こそが2008年産の証である。
ミネラル味は酸と一体化して、いや熟成感へと昇華して吟味し辛いが
この強酸を以てしても重心真ん中やや低めの、典型的なシーファー土壌産ミネラル感。
抜栓5日目。酸が凝縮度と力強さを増して、新着時を彷彿とさせる酸ワイン。
もちろん酸だけではなく味に厚みを持たせる肉付きと鉱物感も秀逸。
瓶詰めから既に14年が経過しているが、一時の不安定な状態から抜け出して一皮むけたのかもしれない。
(以前の記録→14年前の新着時、13年前、11年5ヶ月前) 87→88/100
(他のヴィンテージ→2019、2017、2016、2009、2008、2007、2006、2003、1994)
2008 Riesling Spaetlese trocken
Weingut Schloss Saarstein (Serrig/Saar)
A P Nr 3 555 014 07 09,Alc 12%vol