澄みきった美しいリースリング
カルシウムが足りないのか歳のせいなのかは知らないが、最近どうも頭に血が上り易くて困る。ここ数日の間
パソコンに向かっていてカッカくることが2つ3つ続いて、すんでの所で大人気ない言動に奔るところであったが
なんとか踏み止まった。少し間を置いて冷静になってみれば何のことはない。怒りに任せて行動しても何の益も
生まないばかりか周囲の空気が荒れて結局自分が後悔することになるだけだ。とにかく踏み止まって良かった。
そにしてもネット社会というのは常にこういう危険性をはらんでいるものである。よほど心して言動を律しなければ
それがどこの誰を傷付けることになるか知れない。頭では重々解っていることではあるが、改めて身をもって
知ることとなった。そんな事を思っている時に、ドンピシャのタイミングでutaさんの有り難い記事 を拝見した。
記事の具体的な内容は知る由もないが、そう、人はその行動の行き着く先を考えて物事を為すべきなのである。
とまぁ一応頭を冷やして物分かりの良い風を装ってはみたものの、やっぱりムシャクシャして面白くないので
気晴らしに取って置きのリースリングを開けてみることにした。去年あっと言う間に売り切れてしまったため
買いそびれたところを、オーナー夫妻のプライベートストックからわざわざ分けて貰った虎の子の1本。
2007年産シュロス・ザールシュタイン のシュペートレーゼ・トロッケン・アルテレーベン。1943年に植えられた
古木からの収穫である。これで機嫌直そっと。
淡黄緑色。甘酸っぱいリンゴやアプリコットの香り。仄かなハチミツ感とともに伸びの良いシャープな酸、程好い
肉付きの果実と旨味。口の中いっぱいにフルーツが拡がる。アフターに金属的な冷たさを湛えたミネラルの
余韻も至極。澄みきった美しいリースリング。 ザールシュタインらしい鋭い酸とある程度のバランスを保つには
この程度の残糖はあって然るべきだろう。裏ラベルには11g/lの残糖と、少し多めの残糖表示がなされている。
ほんのりグラスにミルキーな蜂蜜が香る。今、自分が求めている辛口リースリングの1つの理想がここにある。
例えば2008年産アプツベルク・アルテレーベンが、来年のこの時期ここまでの満足感を与えてくれるだろうか?
食事とともに飲むには若干この残糖が引っ掛かるのは否めないが、いやむしろこれは単独で愉しむべき1本。
香りの端っこにちょっと腋臭っぽいニュアンスがあるのはご愛嬌。
翌日もアプリコットが香る。初日よりも果実味が前に出て、多めの残糖も相まってかそのまま飲んで実に美味い。
奥行きのある果実。そしてグラスに蜂蜜の残香。もう少し残糖が落ちればパーフェクトと言える。
これは堂々とグローセス・ゲヴェクスとして売っても良いと思う。遠慮するこたぁないよ、旦那。91/100
2007 Schloss Saarstein Riesling Spaetlese trocken - Alte Reben -
Weingut Schloss Saarstein (Serrig/Saar)
A P Nr 3 555 014 07 08,Alc 13%vol,醸造所から直送,Euro13.5