美味けりゃどっちでもエエがな
今夜はシュロス・ザールシュタイン醸造所の2019年産リースリング・シュペートレーゼ・アルテレーベン。
2018年産が手に入らなかったのでちょっと久しぶり。
1943年に植えられたという、接木されていない古木の区画からの収穫で造ったキュヴェ。
外観はしっかり緑色がかったレモンイエロー。注ぐとグラス壁には細かい気泡がパラパラ付着。
ほんのりと桃やアプリコットを感じさせるが香りは控えめで、無理にスワーリングすると若干ペトローリーとなる。
口当たりはスマートで優しい果実味で、やっぱり桃の風味がある。白桃と黄桃の中間的なイメージ。
酸は意外に優しく主張は控えめ。相対的にミネラル味には量感があり、舌全体を苦渋く収斂するがちょっと平板。
飲めば飲むほどに桃の存在感が強くなる。ちょっと残糖もある方か。そしてホロ苦い余韻。
もう少しこの生産者らしい切れ味鋭い酸が有れば言う事無しなんだけど...。
飲むにつれてだんだん残糖が引っ掛かるようになって来るのは
エティケットのどこを探しても「trocken」の表示が無い事に気が付いたせいだろうか。
抜栓2日目。バランス的に相変わらず酸がやや物足りなく感じる割に、歯には染みる。
味わいは辛口と半辛口の間で、桃の風味は健在。
抜栓4日目。相変わらず透明感のある味わい。
日増しに甘さが前に出る感じで、食事酒としてよりもそのまま飲んで愉しみたい。
抜栓6日目も酒質は衰えず、桃の風味はますます明瞭に。味わい的には完全に半辛口の範疇。87/100
(過去のヴィンテージ→2017、2016、2009、2008、2007、2006、2003、1994)
基本的にボトルを手に取りチェックしてから買っている訳じゃないので、こういうのはよくあるパターンなのだが
飲んでるうちに気が付いた。この2019年産のシュペートレーゼ・アルテレーベンはトロッケン(辛口)ではない。
10年前の話では、辛口はステンレスタンクを使って培養酵母で発酵させているという事だったので
トロッケンの範囲内にまで発酵をコントロールして残糖を抑える事は難しくない筈である。
それが実際には、2017年産はtrocken表示が有るものの、2016年産は無し、2009年産も無し、2008年産は有り
2007年産に至っては「残糖は11g/lだが味わいは辛口」なんて裏エティケットにわざわざ表示していたりと
この辺が実に曖昧と言うか臨機応変と言うか
要は「最終的に美味く仕上がってたら、そんなもんどっちでもエエがな」って感じなんだろう。
エバートの旦那らしいと言えばらしいなとは思う。でもやっぱりちょっと甘いな、今度からそのつもりで開けないと。
2019 Serrig Schloss Saarsteiner Riesling Spaetlese Alte Reben
Weingut Schloss Saarstein (Serrig/Saar)
A P Nr 3 555 014 07 20,Alc 12.5%vol,19.00€