さてと、今回の甲府行きのメインイベント、山梨県立美術館の展示を見に辿り着いたわけですが、もひとつついでのお話を。
美術館の入口前には彫刻作品が見えておりますけれど、実はこの美術館(と県立文学館も)のある場所は「芸術の森公園」と言われて、園内あちこちに彫刻作品が置かれてあるという。美術館にはたびたび(文学館にも少々)立ち寄ったことがありながら、園内を見て回ったことがありませんでしたので、思い立ったこの時にということで。
エミール=アントワーヌ・ブールデル 『ケンタウロス』(1914年)
まずは美術館前を飾るブールデルの『ケンタウロス』。大いにロダンの影響を受けたと聞けば、「筋骨のあたりに…?」と思ったりするものの、瀕死状態の場面とあって胴が伸びあがり、首が極端に傾いたあたり、写実を超えた再現を目指したようにも思えるところかと。で、最初にブールデルが登場しましたように、この公園内の彫刻はかなり有名どころの作品が並んでいるようでありますよ。
ヘンリー・ムーア『四つに分かれた横たわる人体』(1972-73年)
これはもそっと入口近くにあって美術館の顔のようになっている作品ですな。ムーアは横たわる人体をさまざまに造形して、一見したところでは「ん?人体?」と思うも、だんだんと想像が追い付いてくるようなところがありますので、分かりやすい方なのかもですねえ。
アンリ・シャピュ『ミレーとルソーの記念碑』(1884年)
ムーアの像の左裏手あたりにちょっとした木立がありまして、その中にひっそりとあるのがこのレリーフ。ジャン=フランソワ・ミレーのコレクションで知られる美術館だけに、ミレーとやはりバルビゾン派のテオドール・ルソーが並んだ記念碑の存在はなるほどですが、元々は「フォンテーヌブローの森の開発計画に反対し、自然保護運動をしたミレーとルソーの功績を称え作られたもの」(と同じブロンズ型から鋳造されたもの)だそうありますよ。
フェルナンド・ボテロ 『リトル・バード』(1988年)
ボテロという名のとおり?絵画も彫刻もぼってりふくよかに作ってしまう作者にかかればリトル・バードもこのように。取り分け子供向け遊具と間違われやすいのか、「作品にのぼらないで下さい」という注意書きが反って登りたくさせるような気も(笑)。
アリスティード・マイヨール『裸のフローラ』(1911年)
マイヨールの造形はその顔付きで「あ!マイヨール?」と思ったりしますですね。ボテロの後に見ると、人体の美をそのままに写し取ろうとしている…と思うも、もしろフローラをボテロが作ったらばどんな?という余計な想像が湧いてしまい…。
エミール=アントワーヌ・ブールデル『叙事詩』(1917年)
もうひとつのブールデルは文学館の前に。『叙事詩』というタイトルから場所が選ばれたのでありましょう。ブールデル作品は結構激しい一面を見せるよねえと思うも、「ポーランドの自由と独立を目指して生涯をささげた詩人ミスキエヴィッチの記念碑の一部」であると知れば宜なるなかなと。
オーギュスト・ロダン『クロード・ロラン』(1880-1892年)
17世紀に神話画風のタイトルの下、実は風景画を描いてしまったという画家クロード・ロランの姿ということですけれど、ちとモダンに過ぎるような気も。まあ、風景画のステイタスがまだ低い時代に挑戦者であったとは言えましょうから、そのあたりの表出ですかね。
…てな具合にあれこれ見て回りましたですが、さほどに広い園内でないものの、作品は他にもまだあって…。とはいえ、折からの日差しの強さが芝生の照り返しで弥増して、暑いの何の!この公園は四季折々に花々を愛でる場所ともなっているようながら、どうにもサルスベリばかりが目に付く季節では、園内を回るのも適当な時季ではなかったようでありました。いやはや。































