そも三朝温泉からバスに乗って到着した倉吉の「赤瓦・白壁土蔵」という停留所から、件の白壁土蔵群の方へ向かう道すがら、通りかかった商店のショーウィンドウを見て「おや?」と思っていたのですよねえ。

 

 

要するに岐阜の多治見で見かけた『やくならマグカップも』のようなご当地アニメのキャラクターでもあるのかいねと思ったのですが、この『ひなビタ♪』というのは(Wikiに曰く)「Web連動型音楽配信企画」なるものであるようですなあ。一定の背景は設定されるも、メインは音楽にこそあるようで。ですが、「ひなびた商店街活性化のために音楽活動を始める」という設定のバックグラウンド、これはどうしたって倉吉でしょうというものらしいのですなあ。

 

町並みを映し出すものとして少々興味は湧きましたが、おそらくは『やくなら…』以上に付いていきにくいものであろうかと、退却を決めました(笑)。ともあれ、ご当地ものと言っていいキャラだからこのウィンドウに飾られているのかと思いかけたところ、同じウィンドウの下の方にはこのような紹介も。

 

『フィギュアのまち 倉吉』
倉吉は、世界に誇る強みであるフィギュアはじめとするアニメやゲームなどのポップカルチャーを楽しむことのできるまちの実現に取り組んでいます。「倉吉ひなビタ♪応援団」も、その活動を応援しています。

ほおほお、そういうことで…と思うも、ポップカルチャーと白壁土蔵群との関わりがどうもピンと来ないところでもありますね。さりながら、町並みそぞろ歩きを顧みれば、アニメのキャラクターのような姿があたかも間違い探しのようにそこここに写り込んでいたりもしたのですよねえ。

 

 

で、赤瓦一号館という土産物店などが入った大きめの建物に立ち寄ったところで、倉吉のフィギュアを思い知らされることに。多くの方は予め承知の上で倉吉を訪ねているのかもしれませんけれどね。

 

 

ともすると昔の農機具なんかが置き去りにされた状態の古い蔵…てな雰囲気を醸す建物の一角に、精巧に作り込まれたフィギュアの数々が展示されていたのでありますよ。並びとしては地元の工芸品といったふうでもあるような。

 

 

解説パネルによりますれば、倉吉市の取り組みとして紹介されていたのはこのようなことでしたなあ。

鳥取県は平成24年(2012年)を「まんが王国とっとり」建国の年として位置付けて以来、ポップカルチャーの振興に力を注いできました。そのなかで、倉吉市は平成26年(2014年)世界的なフィギュアメーカーである(株)グッドスマイルカンパニーを誘致し、国内発となる工場が倉吉市に開設されました。

なるほど。そも鳥取県が「まんが王国」を標榜していたのでしたか。鳥取砂丘コナン空港あり、米子鬼太郎空港ありですものねえ。その中で、倉吉はフィギュアに特化していったのですな。個人的には「グッスマ」(と略称されるらしい)がどれほどに凄いのかは皆目見当がつかないのですが、同社との提携後に倉吉市は「レトロ&クールツーリズム」を宣言するに至ったそうな。先ほどピンと来ない…と言った「ポップカルチャーと白壁土蔵群との関わり」の解決は、この宣言で解決する方向性が示されているのでしょう。

 

で、先ほど「精巧に作り込まれたフィギュア」と申すも、展示作品には近寄ってみないことにはよくわからん…ということで、ぐぐっと近寄りますですよ。

 

 

 

 

どうも女性アイコンばかりになってしまって誠に恐縮ながら、躍動感ある造りには作者の意気込みが現れるのですかね…。ともあれ、知っている人は当然に知っているのであろうフィギュアのまち倉吉。分かっていて訪ねる人ならば、円形劇場くらよしフィギュアミュージアムなどにも欠かさず立ち寄ることになるのでしょうなあ。

 

「レトロ&クールツーリズム」という点で、個人的な指向はレトロの方に向いているものですから、円形劇場の建物自体、「現存する日本最古の円形校舎」だということには惹かれるところはありましたですが、訪ねるまでには至らず。

 

 

むしろ、お昼どきになって食い気が優ったところでもあり、むしろレトロな町並みにしっくり馴染んだこちらのお店(日本料理「飛鳥」)でもって、天ざる御膳を食することに。レトロ&クールツーリズムの倉吉、しみじみと感じ入った町歩きを振り返りつつ、おなかを満たしたひとときでありましたよ。