多治見駅到着の話を書いていて「やっぱり見るだけ見てみようかね…」と思ったのが、アニメ『やくならマグカップも』なのでして。駅の南北通路で横断幕を見かけたときには「むむむ…、キャピキャピしてそう…」と直感したものの、行ってきたばかりの多治見の町のあちらこちらが映像の中に取り込まれておるのであろうと、この点が気になって見てしまったという次第でありますよ。

 

 

で、実はこれ、30分の放送枠のうち、半分が本来の『やくならマグカップも』のアニメ部分、もう半分が主たる登場人物4人のそれぞれに声を当てている声優陣が実写で多治見の町の観光紹介をする…てな構成になっていたのですな。アニメの方のテンションは予測していたからまあいいとして、声優陣による観光案内の方は、いわゆる女子旅とでも言うのですかね、多治見の名所紹介に興味が無くはないものの、見ていて実に疲れる…。楽しさも中くらいといった所以でありますよ。

 

幸いにもオンデマンド配信で見ていたので、実写の方はすっかりすっとばして、アニメ部分のみ、ひたすらに見続けた結果、おかげ様をもちまして、第1シーズンたる『やくならマグカップも』、そして第2シーズンにあたる『やくならマグカップも 二番窯』の全てを見通すことができたのでありましたよ。第1シーズンを見終えたところで「もう、いいかな」と思ったものの、タイトルがそも『やくならマグカップも』となっている理由は「二番窯」の方まで見ないと判らずじまいだったのでもあるかなと。取り敢えずは収まりがついた状況です。

 

ということなんですが、「二番窯」まで見ることにしたのはやはり劇中に登場する多治見の町のあちこちに、「おお、ここか!」「おお、あそこか!」となったものですから、ついつい。多治見滞在はたったの二泊でしかなかったものの、多治見駅のようすやら、先にも触れた「かっぱ広場」やら、「行った!行った!」と振り返る楽しさがあったもので。さらに、多治見在住の方には分かるような小ネタにも気づけてみれば楽しさもまた一入だったりも。

 

得意げに語るのもなんですが、例えば多治見駅近辺で唯一(?たぶん)のコンビニとして、ファミリーマート多治見駅前店がありまして(一度だけ買物しました)、店構えや周囲のようすが明らかにそのまんま登場した上で、お店の名前が「Tajimi mart」(Family martならぬ)になっていたりと。こういうのを見ながら追っかけてしまったりしたわけなのでありますよ。

 

 

また、第2シーズンのオープニングに出てくる、多治見橋から土岐川を眺めやるところはもそっと橋の中央から見ればぴったりでしたし、登場人物たちが何度も通る本町オリベストリートの佇まいはそうだねえ、こんなふうだったねえと。

 

 

ちなみに、左側の家並を奥にたどって白壁の2階建てが見えますですね。おそらくですけれど、ここが登場人物のひとり、成瀬直子の家(のモデル)ではなかろうかと。およそ女子高校生という登場人物の中で、この成瀬直子という個性的なキャラクターは一番目が離せない存在だったような。変わり者であることを自任しておりますが、なにせ会話のはしばしに出てくる言葉がとても女子高校生らしからぬようで。例えば「あったり前田の加賀百万石!」とか。いい歳をしたものが見るには一服の清涼剤とも言えたような(笑)。

 

で、古い造りの家々が並ぶ中、直子の家はモダンな店構え(美容院だったのではないかと)ですが、その先に主人公・豊川姫乃の父親が営むカフェがあった…ということになりますか。ここを歩いたときには全く意識していなかったわけで、写真ではぎりぎり見えるような…くらいで。歩いているときは、ただただ陶器商が多いなぁと。多治見ですから当然なのですけれど。

 

 

 

 

主人公の姫乃は東京の多摩市(昔の年賀状を見返すシーンがありまして、その宛名住所がそのように)から多治見へ引っ越し、行きがかりで陶芸部に入ることになるも、多治見っ子ではないため、陶芸の「と」の字も知らない。そこで、素人にもやさしく陶器を作るための土づくりややきものの製造工程を説明してくれたりもして、素人にはとっつきやすくしているようでしたな。そうした経緯から美濃焼の名品に触れるために「美濃焼ミュージアム」に出かけたり、陶芸コンテストの会場として「岐阜県現代陶芸美術館」にも出向くわけですが、建物やらエントランスやら、いずれも「おお、まんまだぁ」と思い出したような次第(いずれの美術館についても、訪ねたようすは追って詳述することになると思います)。

 

ということで(時折「うむむ…」と思うところ無きにしもあらずではありましたが)、アニメ部分だけについては年甲斐も無く、まずまず面白く見てしまったなと。多治見の観光客誘致として考えるならば実写部分もスルーせずに見てほしかったのだろうとは思いますけれどね。そうそう、ひとつ思い出したのが、第1シーズンのオープニングに流れる主題歌の歌い出し(の一音だけ?)を耳にして、ユーミンの『やさしさに包まれたなら』が浮かんでしまったこと。おそらくはこのことが勝手に雰囲気を作り上げてしまったことも、見通してしまった理由でもありましょうね(ユーミン、多摩市在住のヒロイン、『耳をすばせば』か!てなもんで)。