東京・多摩市の聖蹟桜ケ丘あたりをウォーキングしてきたわけですが、

都立桜ケ丘公園でひとつ山越えになって下ったのち、もう一つ原峰公園というもうひと山へと登りにかかることに。ま、こちらはさほどの登りではありませんですが、それでも実は結構な高台に出ていたことが後に判明します。

 

 

何だかどこかのお邸にでも続くのであるかと思われる道を抜け、しばし山林の中を行き過ぎますと、

広い園地に出て、「あらら、辺りは住宅地?!」という変貌を目の当たりにするのでありますよ。

 

 

ちょうどこの大きな木の向こう側に広がる住宅街に入り込んでいくわけですが、

いかにも多摩丘陵を削ってならして造成したと思しき町並みと窺えるのですなあ。

 

 

多摩丘陵を造成して…となりますと、思い出すはジブリ作品の「平成狸合戦ぽんぽこ」になりますけれど、

このあたり、聖蹟桜ケ丘はやはりジブリの「耳をすませば」の舞台としてロケハンされたところでしたなあ。

 

 

と、さも後になって気付いたように言いながら、このことはよおく知られたことでもありますし、

すでにして京王線聖蹟桜ヶ丘駅前にはこのようなものもあるわけでして。

 

 

右側は「青春のポスト」と言われているようですけれど、

形としては主役のひとりである天沢聖司の祖父が営む「地球屋」という店そのものでしょうか。

ちなみに左側の看板は「聖蹟桜ケ丘散策マップ 猫を追いかけて」とあります。

主人公の月島雫が初めて地球屋にたどりつく際、猫を追いかけていった結果であったことに由来するのでしょう。

 

でもって、宅地造成されたと思われる住宅街のとある角を曲がるとやおら現れるのが、このロータリー。

地球屋はまさにこのロータリーに面して建っておりましたなあ。

 

 

そして、これを後に北上しますと、やはりここが高台であったことに気付かされる場所に到達します。

切れ落ちた断崖状で、下には町が広がっているわけで。

 

 

ちと方向は異なるながら、車の上り下りはヘアピンの連続でなかなかに大変そう。

日光ではありませんが、いろは坂と言われているようでありますよ。

 

 

映画の中では、このいろは坂を聖司が自転車で登っていきましたけれど、

しんどいなんてものではなかろうなと。さりながら、現に自転車で登っている人に遭遇し、

ばっちりと自転車競技仕様の姿かたちであったのが、さもありなぬと思ったような次第です。

 

 

下っていくにつれ、聖蹟桜ケ丘駅周辺のようすがぐんぐんと近づいてくるのですな。

こうした眺望なども含めて、「耳をすませば」で使われていたことが実感できるわけですが、

実物を見て「ふむふむ」とは思うも、ジブリ作品に取り込まれた形の方にこそ

「夢の町」化の巧さを感じてしまうことに。

 

これは以前、「ハウルの動く城」にも使われたコルマールの町でも同じような印象であったような。

例えばヨーロッパのどこかの町然とした景色が実はどこにもないというか、

実はジブリ・ワールド以外の何ものでも無いと知ることになるといったらいいでしょうかね。

 

それでも(想像で言うのも何ですが)いろは坂を下りながらすれ違った、いささか表情に乏しい男子4人組は

「耳をすませば」の、いわば聖地巡りでもしているのでは…と思ったものですが、かく言う自分も

この場合は言えた義理ではないかとも。何を隠そう(?)このウォーキングに出かける前に

しっかり「耳をすませば」を見返していたりしたものですから(笑)。


かくも白状しつつ、目的は旧多摩聖蹟記念館を訪ねることでもあったとエクスキューズにも及びつつ、

聖蹟桜ケ丘周辺で歩き回った午後のひとときは、早くも夕方めいてくるのでありました。