鳥取・倉吉の白壁土蔵群あたりをそぞろ歩く…といいながら、映画『男はつらいよ』の話で余談に入り込んでしまいましたですが、改めて町並みのようすなどを。
色付きのエリア内に伝統的建造物がたくさん並んでいるという倉吉のまち。本当はもそっと東西に長いのですけれど、地図中の文字が読める程度に拡大するとこんな具合に。中央左寄りに現在地とあるのが、髭を生やした?少女像のある児童遊園で、その左手目の前には寅さんと泉がとまった駄菓子屋のおばあさんの家。そして川を右手に辿って斜めに折れ曲がっているあたり、そこで寅さんと出くわした泉が思わず豆腐入りの鍋を川に放り出してしまった場所になります。
と、いい加減に寅さんから離れるとして、中央を流れる玉川に沿って白壁土蔵が立ち並ぶようす、これが情趣を醸す佇まいになっておるわけですねえ。街角には、あたかも昔話を語るような口調で綴られた解説があったりもしましたですよ。
この川は玉川といってな、むかし打吹山にお城があった頃に外堀として掘られたと聞いとります。川舟が上り下りしとったという人もあるけど、たしかなことはわかっとりません。以前は、この先で直角に折れ曲がっとりましたが、昭和九年(一九三四)にごっつい大水が出ましてな、それから斜めにつけかえられたと言うことです。
ちなみに打吹山のお城というのは、後に応仁の乱に関わる山名氏の一族、「伯耆守護山名氏が打吹山に城を築いた14世紀代」と街角の解説板にあることから、相当に古い遺構が残るのでは…と思ったりもするわけですが、ここでは取り敢えず街歩きに専念することに。
古い街並みを残しつつ、ヨーロッパ風に?内部だけ今風にアレンジして数々の観光客向けと思しきお店が並ぶのですけれど、玉川沿いは裏口めいているも石橋を渡って入るといった設えの店もあるようですな。ですが、ちと本町通りというおもて側に回ってみるといたしましょうね。
いかにも江戸時代の街道筋に建つ商家と見える造り酒屋があるかと思えば、大正モダンな擬洋風建築(こういうのはお医者さんに多いですよね)があったり、昭和レトロな看板建築(の名残)があったりと、いささかのごった煮感があるもそれはそれで反って良いというふうにも思えたりするところかと。
当然といえば当然ながら、概して新しい(といっても昭和な)建物ほど地元の方々のお店ですよね。額縁店とかかばん屋さんとかパン屋さんとか。それにしても、この「ほぼ誰もいないパン屋さん LOVELY」というお店は観光的にはキャッチ―ですけれど、地元の方が買いに来ても「ほぼ誰もいない…」では困ってしまうような…。
古い店構えの練り物屋さん(かまぼこ屋さん?)は地元、観光客両様のご商売と言えましょかね。店頭には、地元だけに応援歌的位置づけの商品であるのか、はたまた観光客狙いのご当地らしさをアピールしたものであるのか、時の総理大臣もじりの品もありましたなあ。
ただ、ネーミングが「I'mソーリー」とは単なる洒落と見ることもできる一方で、「総理大臣になってしまってすいません」てな含みがあったり…しないでしょうなあ。思っていても口にできないとか…。
ともあれ、その練り物屋さんのお向かいにある店をちょいと覗いてみることに。右側に見える小さなホーロー引きの看板には「桑田醤油販賣所」とありまして、倉吉観光サイトには「明治10年創業の老舗醤油屋」と紹介されているお店なのですな。街並みが古いだけに、明治10年創業くらいで老舗なのであるか?と思ったりもしないではないものの、酒やら醤油やら醸造系には何かとついつい立ち寄ってしまいまして。土産にするのに軽さがありがたいと購入した「しょうゆマカロン」が結構おいしかったですなあ。
てなふうに街並みぶらりをしてきたわけですが、ほどなく「そんな一面もあったか、倉吉!」と知ることになるという。倉吉ぶらりの〆としまして、次回はその辺りのことに触れてみたいと思っておりますよ(もしかすると、世の中的にはよく知られていることなのかも、とも思いつつ…)。