またまた帰宅後の話が絡んで恐縮ながら「倉吉観光情報サイト」によりますれば、打吹山を望むこのあたり、「映画「男はつらいよ」の撮影もこの場所で行われました」てな紹介を見かけたのでして。
だもんで、さてはて鳥取ロケは何作目かいね?と調べてみて、追っかけ見てみたという次第なのでありますよ。果たして、該当作はシリーズ44作目の『男はつらいよ 寅次郎の告白』(1991年年末公開)であると。
寅さんシリーズも平成に入ってきますと、さくらと博の一粒種、小さかった満男もほのかに恋する大学生(吉岡秀隆)となっておりましたなあ。柴又から遠く離れた名古屋へ転居してしまった高校の後輩・泉(後藤久美子)に淡い恋心を抱いているわけですが、その泉が母親との口喧嘩が昂じて家出をしてしまう。満男の元には鳥取にいるというハガキが届き、矢も楯もたまらず鳥取へ向かう満男なのでありました。
一方の泉、倉吉の街なかを宛てもなく歩きながら、ふとアンパンを買いに立ち寄った店のおばあさんに声を掛けられ、しばしの逗留。女性のひとり旅は「もしかして自殺か?!」などと考えられていた時代もありましたですよね。ともすると、旅館でも「女性のひとり旅お断り」みたいなこともあったかと。それだけに、店のおばあちゃん、心配になったのでしょうなあ。
母親とは仲直りせんならんと思いつつもどうしたらいいのかと考えあぐねる泉。おばあちゃんから「豆腐、買ってきて」と頼まれて出かけた帰り途、ふらりと前の方を横切っていくのは満男の伯父たる寅さんではありませんか。ちなみに、泉は寅さんを「おじちゃま」と呼ぶくらいに馴染んでいるのですが、この呼びかけはどうにもこそばゆいような…。
と、ストーリーを追うのが長くなりましたですが、旅先の寅さんを見かけた泉が驚きの余り、豆腐の入った鍋を放り出して駆け寄る場面、その豆腐入りの鍋が見事に着水?したのが上の写真に見る川面だったのですなあ。そしてそして、寅さんともどもやっかいになるおばあちゃんの家が、白壁土蔵群目の前の(前回の最後にも載せた)こちらだった…と気付かされて、「そうであったのかあ」と思ったわけなのでありますよ。
今現在はこの角家、カフェとゲストハウス(一日ひと組限定だそうな)となっているそうですが、2階の部屋はインテリアが映画の中とは様変わりしているものの、寅さんと泉とおばあちゃんが川の字になって寝た部屋のおもかげは感じられるような気がしますですよ(HPで見ただけですが)。
ともあれ、そんな具合に『男はつらいよ』のロケ地ともなった倉吉白壁土蔵群の町並み、見た目が同じような外観が並ぶ中、個性的な店々が入っていて、そぞろ歩きが楽しい街になっていると思ったものです。今のところインバウンドの嵐が到来前であるのか、わさわさしているないのが幸いと言っていいのかどうか。三朝温泉滞在中に読んでいた日本海新聞では、島根と鳥取がタッグを組んで観光客誘致に乗り出していることやら、境港に海外のクルーズ船が寄港することによる今後の期待やらが掲載されていましたですよ。
差し当たり、少々侘びた雰囲気が情趣を醸すところであるわけですが、いろいろ手つかずなのはおばあちゃんちの目の前にある児童遊園の片隅からも感じられたりましたなあ。さりげなく銅像が置かれていて、何かのおじいさんの像であるか?と。なんとなれば、あごの下にうっすら白髭が生えているようでもあったもので。
近付いてみれば、これが髪型からしても「どうやら女の子?」であったようで。あごの下部分にたんまり蜘蛛の巣が張ってしまっていたにもせよ、女の子の像をおじいさんと見間違うとはあまりと言えばあまり。どうやら伝統として毎年春に行われる「倉吉打吹流しびな」の像であるということなのでありましたよ。
ということで倉吉ぶらりの前置きが余りに長くなりましたですが、次回こそ町なかのようすをつぶさに振り返ろうと思っておる次第です。そうそう、余談ついでに、映画の中で満男の恋の行方はどうなるのか?これは映画をご覧になってのお楽しみとして、寅さんの方はふられるというよりうまく行きかけると反って逃げ出してしまうという、毎度の顛末。マドンナ役は吉田日出子でありました。