湯治をこそ目的として出かけた三朝温泉。観光としてあちこちを見て回る旅とは異なっておりましたので、温泉街の周辺ばかりを振り返ることになってます。さりながら、滞在中に一度だけバスに乗って繰り出すことがあったのですが、行先は倉吉白壁土蔵群、「国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれています」ということでして。

 

 

宿からは三朝橋を渡ってすぐ、観光案内所前にある停留所でバスを待つのですが、ここで間違えてはいけないのが倉吉駅行のバスに乗ってはいけない!ということなのですなあ。三朝温泉には倉吉駅から宿の送迎バスで来ましたので、倉吉の町歩きとなれば当然に駅行きのバスと思うところながら、白壁土蔵群のあるという、いわば旧市街は駅からかなり離れておりまして、倉吉駅と三朝温泉を結ぶ路線バスの経路上には無い…とは、宿であれこれの案内パンフレットなどを眺めていて気付いたことでありました。

 

 

ですので、乗り込むバスは三朝線という路線でして、行先表示は「西倉吉・生田」行きとなっていましたなあ。ちなみに倉吉駅方面へ向かうのは上井三朝線という路線になりまして、明治36年(1903年)、後の山陰本線の一部となる鉄道が通った際に倉吉駅として開業するも、1912年に上井駅(あげいえき)と改称され、その後1972年に再び倉吉駅となったそうですから、バスが上井三朝線となっているのも「なるほど」と。

 

先に松本清張の『Dの複合』を読んでいた際、登場人物が三朝温泉を訪ねるのに「上井駅行の列車があって」云々と出て来て「ん?」と思ってたいのですけれど、この点に関しても「なるほど」と。この作品が刊行された1968年当時には倉吉駅は存在せず、上井駅だったのですものね。

 

ともあれ、だいたい1時間に一本程度運行しているバスをつかまえて、目的地たる「赤瓦・白壁土蔵」停留所まで30分弱ですかね、わりと「乗ったな」感があるだけに運賃は490円とワンコインぎりぎりでありました。ついでながら、こちらのバスはキャッシュ・オンリーですのでご注意を。

 

 

ということでたどり着いた倉吉白壁土蔵群ですけれど、せせらぎが風情を醸すもこちら側が裏口にあたりましょうかね。遅まきながら、白壁土蔵群の特徴を「倉吉観光情報」サイトに見ておくといたしましょう。

倉吉白壁土蔵群の壁の上半分は白い漆喰仕上げ、下半分は黒い焼き杉板の腰壁を付けています。漆喰は防水の役目を果たし、焼き杉板は耐火性と風雨からの耐久性を高めるために用いられています。緩やかな反りを持つ一枚石の石橋が玉川沿いに架かっています。赤い瓦は、山陰地方の風土の一つで、島根県石見地方の石州瓦を起源とします。 焼成温度が1200℃以上と高いため、凍害に強いのが特徴です。

と、その堀割の向かい側、曲がり角に立つ一軒家は、訪ねたときには単に風景として撮ったものながら、後になって「まさにここじゃないかいね?!」と気付かされるに至るという。いったいそれがどんなことであるのか…を、次回に触れることにいたしたいと思っておりますです、はい。