そうそう、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲を取り上げたレクチャー&コンサートは会場があきる野市の多目的ホールでしたので、JR五日市線の秋川駅で下車するついでに予て気になっておりました造り酒屋に立ち寄ってみたのでありますよ。

 

ちなみに東京都酒造組合HPによりますと、東京都内で営業中の酒蔵は10社、うち9社は多摩地域にあるということで(ですので、23区内には1社だけ!)。以前、福生市内の石川酒造田村酒造場は覗いたことがありますが、それに比べるとこぢんまりとやっているふうな中村酒造@あきる野市、駅から徒歩10分ほどでたどり着いてみれば、大きな杉玉が下がっておる。「新酒、できたよ!」という印ですなあ。

 

 

ちなみに、見たまんまで「杉玉」と言ってしまってますが、「酒林(さかばやし)」と呼ばれるようで。こんな解説板が備えてありましたですよ。ただただ「ぶら下がってる」と見るのでなくして、杉の葉自体が時と共に色を変えていくあたりに目を配るのが左党なのかもですねえ。

 

 

で、こちらの中村酒造では「千代鶴」という銘柄であるようですな。由来のほどは「昔秋川流域に鶴が飛来したことがあり、これに因んで縁起のよい千代鶴と命名され」たということで。酒造業を始めたのが文化元年(1804年)と言いますので、小氷期で寒かった江戸時代、武蔵国にも鶴がやってきていたのでありましょう。ともあれ、回り込んでみれば味のある煙突が見えて来て、ここで醸しておるのであるなと。

 

 

「酒蔵入口」の看板には「見学はご予約が必要です」とありますけれど、同社HPでは「現在ご案内しておりません」と。コロナ禍に中断してそのままなのかもです。ただ、お隣には酒造り資料館(ま、半分は売店なのですが…)が併設されておるというので、そちらの方へ。

 

 

中には昔ながらの酒造りの道具があれこれ展示されておりますな。一応(?)資料館らしく、「日本酒のできるまで」といった解説パネルもあったりして。

 

 

 

 

ただ、展示はともかくも…と言っては失礼ながら、この資料館の建物が良いですなあ。蔵造りのしっかりとした建物は重厚感たっぷりですし。

 

 

てなふうに出たり入ったりとうろちょろしておりましたら、売店のほうからお店の方が「お車でなかったら…」と言って試飲を用意してくれたのでありますよ。もちろん拒む理由はこれ無く(笑)。

 

 

まさに出来立て、搾りたての千代鶴二種。欲を言えばいずれももう少し注いでくれたならば、味わいの違いがもう少しはっきりと…とは甘えが過ぎるかもですが、すっきりフレッシュながらもアルコール分が17~18度で少々がつんと来る純米生原酒(左側)を一本、お持ち帰りということに。

 

ところで、石川酒造の「多満自慢」、田村酒造の「嘉泉」は近所のスーパーでも見かけるものの「千代鶴」はどうだったかな…てなふうに思って「こぢんまり」などと申してしまいましたけれど、「高尾山」という銘柄も中村酒造だったのですなあ。八王子の道の駅あたりでも見かけるものの、こちらで醸したお酒だという印象が無くて、失礼いたしました。

 

 

余談になりますが、このあとは秋川駅の方に戻って昼飯どころを探したところ、よもやの裏通りにかようなお店を発見したのでありますよ。中国料理「もうつぁると」??

 

 

かの作曲家モーツァルトの名前の読みと似た中国語でもあるのかいね?という考えが過るも、右手の看板に中華どんぶりを手にしたモーツァルトが描かれていてはもはや疑う余地は無しでしょう。そのモーツァルトのおススメはどうやら担々麺らしいので、もちろん食したのは担々麺です。

 

 

カウンター席で待つことしばし、まさしく(普通の)担々麺が出て来たわけですが、カウンターの向こうの壁面にたくさんの楽譜が貼り込んでありまして、店内にはモーツァルトの曲ばかりがメドレーで流されているという(お店の方に伺いますと、モーツァルトばかりを流す有線放送があるようで)。なにやらウィーンで食したラーメンを思い出してしまいましたけれど、あれはまずかったですなあ。ま、ここの担々麺はおいしくいただきましたので、いいのですけれどね。

 

ま、町中華のご主人にもクラシック好き、モーツァルト好きがいても何ら不思議は無い。とはいえ、お店の名前にしてしまうかといえば、少々勇気のいることではなったろうかと思ったり。余談でした。