瀬戸蔵ミュージアムに入るなり、昭和レトロだとか大正ロマンだとか、そんな印象が広がって…と申したですが、これはなにも「せとでん」の尾張瀬戸駅舎が古い洋風建築であったというばかりではないのでして。再現駅舎から奥へと続く通路もまた、こんな感じになっておりましたよ。やっぱり映画のセットみたいですよね。

 

 

で、この店先のショーウインドウのようになったところ(中央通りギャラリー)で開催されていた企画展が「むかしの道具展」とあっては周囲の雰囲気作りに大いにマッチしてもいようかと(ただ、会期は2024年2月18日で終了)。

 

 

まあ、この手の展示はあちらこちらの市町村の民俗史料館あたりでよく見かけるものではありますけれどね。ちなみにフライヤーに「せんぷうきではありません。これはなんだろう?」とある、いかにもな扇風機型の代物ですけれど、昭和初期の電気ストーブであると(松下製)。ただ、扇風機っぽい形状の電熱装置って近頃はまた出回っていると思いますので、形が先祖返りしたのでもありましょうかね。

 

 

ところで、上の写真の左端にある箪笥のような冷蔵庫(氷で冷やすタイプですな)の上に、瓶入り清涼飲料水が2本見えています。丈の低い右側が「ファンタ」で左側の大きいのが「チェリオ」の瓶…なのですが、確かに関東の者としては「チェリオ、さっぱり見かけんなあ」と。ここではガラス瓶が今はむかし…ということになるのかもながら、関東ではすっかりなくなったものとばかり思っていたチェリオが、東海地方以西では普通にあるということの方が「!」でしたなあ。多治見市のご当地アニメ『やくならマグカップも』でも、主人公たちがふつうにチェリオを飲んでいたような…。ところ変われば、でありますね。

 

 

こうした昔使われたものの展示の中には、勉強用具、ひいては教科書なども見かけたりするところですけれど、ここでは(フライヤーの左下に見える)2冊の書籍が並んでおりましたっけ。表紙に半ズボンの学生服姿が見えるものの方は、菊池寛時代の文藝春秋社が刊行に携わった『小学生全集』というシリーズ企画の一冊でして『天文の話・鉱物の話』と。そして、その陰には『中學鑛物教科書』とあるもう一冊。

 

 

教科書の類が展示される際、ごくごく一般的には国語・算数・理科・社会といった教科のものが並ぶところでしょうけれど、ここでは(よもやの)鉱物学の教科書であり、さらには一般書としても「鉱物の話」とは。これって、やきものの里たる瀬戸だけに鉱物=釉薬の材料として、早くから研究に勤しむ生徒・学生らがいたことを示しておるのであるか?てなふうにも思えてきたのでありますよ。ま、穿ちすぎではありましょうけれど。

 

 

ま、そんなこんなの思い巡らしをしつつ展示を見て回りましたですが、お次はも少し「せともの」の本場らしい展示を振り返ることにいたしましょうね。