特にアニメづいている…というわけではありませんですが、『やくならマグカップも』『へうげもの』に続いて今度は『青のオーケストラ』という作品を一気見で。しばらく前にEテレで放送されているのには気付いておりましたので、この際てなところでありますよ。

 

見始めて「おやあ?」と思いましたのは「なんだか絵が似てるような…」ということ。思い浮かべたのは先に見た『やくならマグカップも』でして、アニメ制作がどちらも日本アニメーションであることに気付いて「なるほど…」となりかけましたけれど、『青の…』の方には歴とした原作マンガがあるわけで、作者・阿久井真の原画イメージを大きく変えるわけにもいかんだろうにと。

 

要するに、アニメのキャラ造形、取り分け女子の描き方については似たような顔かたち、姿かたちが流行りなのでもありましょうかね。考えてみれば、春先に碓氷峠鉄道文化むらで見かけた同施設のPRキャラとの区別もつきにくいような。昭和の頃に年配の方々が「外国映画を見るとどの俳優も同じ顔に見えて…」と言っていたりもしましたが、個人的にもはやその領域に足を踏み入れてしまったのかもしれません(笑)。

 

とまあ、そんなキャラクター造形のことはともかくも、近頃のアニメーション映像はずいぶんと再現性が高くなったように思いますですね。そもそもアニメはぱらぱらマンガのよう(といって、今でも原理は変わらないのでしょうけれど)ですので、コマの数の関係でしょうか、速い動きやしなやかな動きといったあたりを再現するのは難しかった(ひたすらコマを増やすにも限界がありましょう)わけで、例えばこの『青のオーケストラ』のように音楽演奏を取り扱った場合、演奏者の動き、取り分け指の動きや体のゆらぎをリアルに再現するのは困難なことでもあったろうと。

 

ですが、やはりEテレで以前放送された『ピアノの森』でしたかを見ていたとき、ずいぶんとピアノを弾く指の動きがリアルに再現されているなと驚いたものです。そして、今回見た『青のオーケストラ』では弦楽器奏者のボウイングや左手の運指、木管楽器や金管楽器の指使い、そしてそれぞれの奏者の体の揺らぎもそれらしく再現されていて、一瞬「おお!」と思ったものです。

 

なのですが、このかつて無いほどの動きの再現に感心したのは束の間でして、なまじ注目してしまったが故に見慣れてくると(なんでも慣れてしまうものですなあ)なんだかロボットの手がヴァイオリンの弦の上でうごめいているような、そんな気がしてきたしまいました。自動演奏楽器のようなものでコンピュータ制御されたロボットの指が弦を押さえる仕組みなども開発され、技術はどんどん向上しているのでしょうけれど、結局のところ「0」か「1」で作動するデジタルっぽさが見えてきてしまうという。

 

もちろん、だからダメじゃんと言っているのではなくして、思い起こしてせば『鉄腕アトム』が紙芝居の絵を入れ替えるような動きをしていたことに比べると「よくぞここまで!」とは思うところです。が、おそらくは作り手自身がこのことは意識していて、この先さらに微妙な動きの再現が図られていくのであろうなあと。未だ発展途上なのだと思いますですよ。

 

ところで、お話の方については吹奏楽をやっていた学生時代を思い出す…ということだけ言っておきましょうかね。ここに出てくる海幕高校オケ部のようにコンクール優勝常連校とは全く異なって、お気楽な音楽活動に浸っていたわけですが。そうそう、ですので、かのオケ部を評して「強い」という言い方をしていたのに「?!」と。昔は運動部に対して文化部と括られて、「うまい」「下手」はあっても「強い」「弱い」があろうとは思いもよらぬ音楽系部活だったものでして。

 

ところでところで、共学高校の部活を取り扱って、話の中に色恋沙汰(下世話なもの言いですが)がおよそ出てこないのは、やはり昨今の若者はそのあたりに淡泊だからと言ったらいいのでしょうか。語られるエピソードのそこここでほのめかしがあるように受け止めてしまったりしたのは、昭和世代ならではなのかもしれませんですねえ(笑)。