先日、トッパンホールのランチタイムコンサートを聴いた後、同じビルに入っている印刷博物館併設の「P&Pギャラリー」を覗いてみることに。博物館本体の展示とは別に、こちらは入場無料だもので(笑)。で、開催中であったのは「現代日本のパッケージ2023」展でありました。ただ、この展覧会って去年も見たなと思えば「現代日本のパッケージ2022」展であったわけで、「そうかあ、一年経つの、早いのお」と。

 

 

例によって、包装パッケージに関してデザイン性やら機能性やら、はたまた環境面への配慮といった点などを勘案して表彰するコンテストの入賞作品が並んでおりましたけれど、「ジャパンパッケージングコンペティション」、「日本パッケージデザイン大賞」、「日本パッケージングコンテスト」と、3つのコンテストはそれぞれに着眼点が少々異なっておるような気も。ただ、パッと見の印象としては、どれにも面白デザイン、遊べるパッケージというのが目に付いたような気がしますですよ。

 

 

例えばですが、森永乳業のチョコアイス『ピノ』のアソートボックスは、2個買って外箱を工作すると(2個買って、というのがポイントですなあ)いわゆる「ガチャガチャ」の機械が出来上がるという。なに味のピノが出てくるかはハンドルを回してみないと分からないのが遊び心を掻き立てるわけですな。ここでの眼目としては、包装材はただただ中身を包むものであって、中を取り出してしまえば捨てるばかりですよ…ではない付加価値を付けているのですよ、と。

 

豆菓子のミツヤが出した『豆まきシューター』や、チーリン製菓の『おうちで駄菓子屋さん』(駄菓子詰め合わせの外箱を加工すると、駄菓子屋の店頭のように並べることができる)なども同様。だから、無駄ではないですよ…ということでしょうけれど、やっぱり根本的なところに立ち入ってはいないような気が。

 

まあ、ぎすぎすと遊び心などいらんというつもりは毛頭ありませんですが、でも結局のところゴミとして処分せねばならんのですしね。少し前に『カオスなSDGs』を読んで、幾分かは考え方もゆるっとしたところではありますけれど、それでもやっぱり廃棄物(単にプラ・ゴミに留まらず)は少ない方がいいだろうと思うだけに、どうしても気になってしまいましてね。それだけに、結局のところは環境配慮と思しき品々の方により目を向けてしまうような。

 

『いろはす』(要するに日本コカ・コーラ)とサントリーのペットボトルにはラベルレスというのがあるそうで、廃棄の際に必ず剥がすラベルだけに無くて済むならそれにこしたことはない。もっとも、ラベルレスのペットボトルはコンビニの冷蔵庫に並んでいても全く目立たないので、差し当たりケース売りの通販で流通しているようですが。

 

ラベルが無くなっても、ペットボトルはそのまま残るでないの?として、ようやっとボトルの完全リサイクルができるようにもなってきたそうですな。これまでは分別してゴミ収集に出しても、何かしらに再利用されるダウンサイクルだったですけどね(再利用して作られた製品をアップサイクルと呼んだりもしますが、モノによってはやっぱり止む無く作り出して、本当に必要?みたいなものもあるような…)。

 

細かいことにはなるものの、塵も積もれば山となるのが大量生産であって、スーパーの(なぜか?)レジ脇に並ぶ乾電池のパックはおよそプラ包装してありますが、これを『エボルタ』(パナソニックの乾電池)では紙包装パックに代えた結果「年間約19トンの包装材使用削減」となったとか。日清食品では、かつて『カップヌードル』に付きものだった蓋止めシールを止めて、Wタブフタに代えたところ「年間33トンものプラスチック使用量削減」に繋がった…とは、どんだけ売れている(食べられている)のかの方が気になったりも。

 

話はさらに細かくになりますが、三菱鉛筆の『ユニ』ブランドでシャープペンシルの替え芯を詰め替え用紙パックで出すというのには、「ここまでやるんであるなあ」といささか感心したりもしたですよ。

 

で、個人的に一番「これは!」と思いましたが、『かみプチ』というものですかね。通販を利用すると、段ボールいっぱいに『プチプチ』が詰め込まれていますけれど、この『プチプチ』なるものは包装材メーカーである川上産業の登録商標なのだそうですね。その川上産業が作り出しのが『かみプチ』、文字通り紙素材のプチプチという。突き詰めていえば、これも紙ゴミになるではないかとはいえ、プラごみの大量廃棄に繋がるよりは比較的優位というべきでありましょか。まだまだ広く実用に供するものではないかもですが、そのうち届いた段ボールを開けたら「おや?!」てなことになるかもしれませんですね。

 

ゴミの問題は個人のレベルで取り組むことも必要ながら、なかなかに「のれんに腕押し」感はぬぐえないもの。そうした中で、企業が大きな規模であれこれ取り組んでくれることこそ望まれることではなかろうかと。包装パッケージのあれこれを見ながら、「やればできるじゃないの」てなことも思ったものでありましたよ。