自治体ごとに家庭ごみの出し方には微妙な差異があるようですので一般化した話はしにくいところながら、住まっている市のごみ回収では、週に一度「容器包装プラスチック」という分別に基づく回収日があるのでありますよ。

 

何かしらを買ったときにプラスチックのパッケージにくるまれている場合、中の商品を取り出した後に残ったパッケージのプラスチックが、これに該当するのでして、商品自体がプラスチックだった場合のそれそのものや、水ですすいでも落ちないような汚れのついたプラスチックなど(包装に使われていたものであっても)はこれに該当しないのであると。ようするに単にモノをくるんでいただけで汚れてもいない、つまりはリサイクルに回しやすいプラスチックを分別せよということであるかと想像しておるわけです。

 

予てプラスチックごみの行方には気に掛けているところでもありますので、例えばカップ麺は紙容器のものしか買わないとか、洗濯もの干しに使うハンガーはかつてクリーニング屋にワイシャツを出して戻ってくるときに付いているプラ製に代えて金属製のハンガーにしたりとか、そんなのれんに腕押し的なことはしているのですね(ちなみにプラ製ハンガーは強い日差しを浴び続けて劣化していくと、マイクロ・プラスチックがぱらぱらと空気中に浮遊していくのが、よおく分かります)。

 

本当ならばドラスティックにプラ包装のものは一切買わないものとして臨むことも可能でしょうけれど、今の世の中、現実的にはかなり難しい状況(およそ食品は買うことができなくなってしまうような…)でもあり、気に掛けてはおりながら週に一度の「容器包装プラスチック」の回収日にはごみ袋がぱんぱんになってしまったりするのですなあ。見る度に自戒の念には駆られるのですが…。

 

と、そんな常日頃であるわけですけれど、先日ランチタイムコンサートを聴きにトッパンホールを訪ねた折、同じ建物内に併設されている印刷博物館(何せ凸版印刷のビルですからなあ)のP&Pギャラリーという入場無料スペースで「現代日本のパッケージ2022」展なるものが開催中でしたので(会期は12/4で終了)覗いてみたのですなあ。すっかりそのことを書き忘れておったもので、今さらながら長いマクラとともに書き出したような次第でありまして。

 

 

展示内容としては、「市場で販売されている商品化されたコマーシャルパッケージの優秀性を競う」という「ジャパンパッケージングコンペティション」、そして「材料、設計、技術、適正包装、環境対応、デザイン、輸送包装、ロジスティクス、販売促進、アイデアなどあらゆる機能から見て年間の優秀作品を選定する」という「日本パッケージングコンテスト」、それぞれの受賞作の紹介が主なところでありました。

 

いずれも昨今の状況(SDGsが流行り言葉でもありますし)から環境への配慮には気配りを欠かさないものだったりしましたけれど、結局のところ、脱プラというのは難しいのであるなあとも。例えば梱包材では省資源化を目しつつも、結局のところプラをどれだけ少なく「使うか」ということになってしまうのが、現実でもあるようで。

 

何かしら(Eテレ「サイエンスZERO」であったか?)で、マイクロ・サイズやナノ・サイズになろうとも決して自然界では分解することのないプラスチックを食べてしまう微生物の話なんつうのを耳にしたことがありますけれど、こうした技術革新(というのかな…)が今後出てくる可能性のあるにせよ、その間にもプラは使い続けられ、海にも空気中にも漂い続けてしまうのですなあ…。ちょいと前にも太平洋を漂う微細なプラごみが年間で180億個も北極海に流入していると、そんなニュースも見かけましたしねえ。

 

プラスチックが使い続けられているのは安価で便利だからなのでしょうなあ。展示にあった受賞作品の中には花王が「量り売り堂」なるブランドで出した洗剤や柔軟剤の量り売り用ボトルがありましたですが、昔は普通に量り売りであったものが流通コストの削減だったり容器ごと売っても安価だったりする点から、駆逐されていったわけで、なんだか今さらの感があるものの、その今さら感こそ新しいと言えるのかも。巷で昭和レトロがもてはやされるのであれば、こうした点がもっともっと顧みられてもいいのかもしれませんですね。

 

ただ、この量り売り用のボトルはそれ自体がやっぱりプラスチック製でもあろうかと。現時点での限界なのでしょうかね。昔の量り売りにはもっぱらガラス瓶が使われていましたけれど、飲料なども同様に、生産者にしても消費者にしてもプラ容器が軽く扱いやすい、すなわち便利なわけで、その便利さをなかなか手放せないのでありましょう。それでも流れとしては、かつて買物では当たり前のように持っていった買物かごの代わりエコバッグを持参することに誰も厭うことがなくなっていましょうから、量り売り回帰もガラス瓶で復活していくことになるかもしれませんですね。何しろ(現在はコスト高に過ぎるとしても)とんでもなく頑丈なガラス製品が登場しているわけですし。

 

とまあ、そんな思い巡らしを展示の会期終了後に書いてしまいましたけれど、「ジャパンパッケージングコンペティション」、「日本パッケージングコンテスト」ともども受賞作はそれぞれのHPで見られますので、ご興味おありの方はどうぞ覗いてみてくださいまし。