国立天文台の三鷹キャンパスを訪ねるにあたりまして、とっても暑い日ながらそれを押しても出かけたのはイベントの予約がしてあった…てなふうに申し上げておりました。同キャンパス内には、「太陽系ウォーク」のどん詰まりにあります天文台歴史館(大赤道儀室)のちょいと手前に「4D2Uドームシアター」なる施設で全天周立体映像の上映イベントが開催されているのですな。これに予め申し込んでいたという次第です。

 

 

建物としては、あちこちの自治体の博物館やら科学館やらに併設されているプラネタリウムより小さいでしょうけれど、座席が40席オンリーですので、その客席の頭上を覆うドーム状のスクリーンは、客席からみれば十分に大きいものとも思えましたですよ。

 

ところで「4D2U」とあるうち、「4D」の方は「Four Dimension」、つまりは3次元を超えた4次元を体感するようなものであろうと想像できましたが、はて「2U」とは?と。オフィシャルサイトで見て、これが果たして「Four-Dimensional Digital Universe」のことであると知ってなお、ぴんと来ませんでしたなあ。これを略すと「4DDU」なのでは…と、そこまで考えてようやっと「4D・2U」でなくて「4・D2・U」だったのであるかと。分かりにくがっている人は他にはいなかったでしょうか…。ともあれ、7月の上映テーマは「天の川銀河紀行」というものでして、HPに紹介されている内容はこんなふうです。

天の川は銀河系(天の川銀河)を内側から見たものです。その内部で起こる星やガスの重力相互作用、ガスと星の運動を可視化し、赤く輝く星雲(HⅡ領域)と新しい星々が生まれつつある分子雲(暗黒星雲)が複雑にからみ合う様子を見ていきましょう。

ゆるキャラみたいなのが登場して、やおら宇宙旅行に旅立つ…みたいな、そこらのプラネタリウムの上映番組とはやはり異なって、説明がいささか小難しいような。ですが実際にはいわゆる一般の大人向けという感じで、「お手柔らかに」を意識した説明でありましたですよ。ここで説明と言いましたのは、およそ45分間に及ぶ投影中、映画のように吹き込まれた音声解説でなしに、天文台の方がその場で機器を操り、逐一それに合わせた語りを加えるという形であったのですな。そうなりますと、ひと月あたり三日だけ、一日あたり3回のみの上映というのもむべなるかなと思ったりしたものです。

 

会場内に案内される際、いわゆる立体視ができるようになるメガネを渡されますが、従来品の「3Dメガネ」(場合によっては片方ずつ、赤と青のセロファンが貼ってあったりする)よりもハイテク(という言葉自体はローテクっぽいですが)なもので、取扱いには要注意と。そんなにふうに言われると、期待度は弥増すところですけれど、個人的な印象としては確かに立体視はできていたものの、たまげるほどでは無かったなあ…とは、予め期待値が高まりすぎだったのでしょう。

 

ただ、一般のプラネタリウムによくある、地球から夜空を見上げるといついつの何時頃に星々はこのあたりにあって…といったところに留まらない、つまりはその星の側から地球、太陽の方向を見ればどんなふうになるといったあたりを見せてくれるのは、ここの器材(4次元デジタル宇宙ビューワー「Mitaka」というそうな)の真骨頂なのでしょうなあ。折しも訪ねた日が七夕でしたので、これにまつわる話もありましたですよ。

 

地球上から見れば、織姫(こと座のベガ)と彦星(わし座のアルタイル)は天の川を挟んで向かい合っているように見えるわけですが、これをベガからアルタイルを見るような視点にすると、「あれ、アルタイルはどこ?」てな具合。結局のところ、天球を平面に見立てれとなり合うように見える二つの星は、全くもって地球からの距離が異なっていて、視点を変えれば全くとなり合っていたりしないのであると。さらに、宇宙空間における両者の距離は15光年も離れているそうですから、ひと夜のうちに天の川ごしに出会える、出会えない…てな話でもないわけで。まあ、七夕伝説を真向から鵜呑みにしているものではないにせよ、時に科学の進歩は夢をぶち壊す結果となったりする類いでもありましょうかね(笑)。

 

とまれ、ドームシアターでは炎暑下に構内を見学して回った際、一服の清涼剤ともなりましたですが、一方で作り物とは思っていても映画に描かれる宇宙というのも、見る側のツボを押さえたようになっているようなあと思ったりしたものですから、ここでやおら映画の宇宙も見てみた次第。2019年制作のフランス・ドイツ合作映画『約束の宇宙』でありました。

 

 

ただ、宇宙飛行士を扱った映画であることに思い違いは無かったものの、どちらかというと宇宙のシーンというより、訓練の場である疑似宇宙シーンが多かったですな。要するに、世界一女性の活躍に消極的な先進国らしい日本から言えたものではありませんですが、科学の分野、ひいては宇宙飛行士などというのも男社会だったりすることが描かれているという。悪銭苦闘の連続に見舞われるエヴァ・グリーンに対して、チームを組むひとりが絵に描いたようなアメリカン・マッチョなマット・ディロン(なんだかバズ・ライトイヤーのようにも見える)であったのは、蓋し名キャスティングというべきでありましょうか(笑)。

 

個人的にはかねがね「空気のないところには行く気がしない」と言っていて、宇宙は正しくそういうところですけれど、遠目に見てみたい気になる場所とはいえましょうかね。

 


 

というところで、またまた月例行事であります父親の通院介助のため、両親のところへ行ってまいります。明日(7/19)はお休みを頂戴いたしまして、明後日(7/20)にはまたお目にかかりたく存じます。ではまた。