長年の懸案事項、とまで言うのは大げさに過ぎるところながら、NHK-TVで放送されている語学学習番組を(これまでは多少つまみ食いするばかりでしたが)このほどついに1年間、見通すことができたのですなあ。で、何を?と言って、イタリア語、フランス語、ドイツ語、スペイン語の4か国語とは、何とも欲張ったものだと我ながら(笑)。

 

ところでその成果は?と言えば、もはや端からクワドリンガルを目指していたわけではありませんけれど、結局のところ「虻蜂取らず」に終わったのではなかろうかとも。さりながら、それぞれの言語の近しいところなどに気付いたりするわけで、それはそれで興味深いものも確かにあったとは思っておりますよ。

 

とまれ、そんなこんなの中、先ごろの放送された『旅するためのフランス語』応用編・最終回で、ひとつフランス語の唄が披露されたのですな。聞き覚えのあるそのメロディーはまさしく「クラリネットをこわしちゃった」ではありませんか。これって、フランスの曲だったのですなあ。

 

先に日本の唱歌を探究した折、長らく歌い継がれてすっかり日本の歌でなかったの?てなくらいになっている外国曲がたくさんあることを、改めて意識することになりましたですが、「唱歌」的なるところとは別に、外国から日本に入ってすっかり日本の「童謡」化している曲もあれこれあるわけでして、この「クラリネットをこわしちゃった」などは典型的なものであろうかと。

 

他にも「森のくまさん」(アメリカ)、「おお牧場はみどり」(チェコ)、「はさみとぎ」(イタリア)などなどたくさんありまして、結構な割合でNHK『みんなのうた』で紹介されたのが普及する源だったりもするようですなあ…と、ここでまた「童謡」なり、『みんなのうた』なりの探究に勤しむのが趣旨ではないのでして。やおら流れてきたフランス語による「クラリネットをこわしちゃった」を耳にして「?!」と思ったことがあるのでありますよ。

 

曲の後半、「オ パッキャマラド パッキャマラド パオパオパ」と歌われるところがありますが、これっててっきりオノマトペだろうと思っていたわけなのですね。なんとなく意味はないけれど、陽気で景気のいい雰囲気を音で表したものでもあろうかと。なにしろ、日本の歌というのか、子供の歌というのか、実にたくさんの擬音語が使われていますものね。

 

先ごろ、Eテレ『クラシックTV』にアニメ劇伴の大御所である作曲家・渡辺宙明が登場して、数々の作品が披露されましたですね。代表作のひとつである『秘密戦隊ゴレンジャー』では、もうのっけから♪バンバラバンバンバンと来る。そんなふうな歌(オリジナルの訳詞も含めて)がたくさん、日本にはあるものですから、「クラリネットをこわしちゃった」のフレーズも似たようなものであろうと思っていたという。

 

が、語学講座で紹介されただけに曲に合わせてフランス語の歌詞が字幕で表示されたところを見れば、「オ パッキャマラド パッキャマラド パオパオパ」とは「Au pas, camarade. Au pas camarade.  Au pas, au pas, au pas.」であって、しっかり意味を持つフランス語だったとは。「パッキャマラド」の部分は「オパ、カマラード」で、旧ソ連で同志フルシチョフなどと言うときに使われた「カマラード」、そも同志、仲間という意味のフランス語だったのですなあ。

 

さりながら、なんだってこの曲に同志、仲間の意を持つ言葉が出てくるのかとなりますと、どうやら起源はフランス革命、ナポレオン戦争の時代にあるようす。かの語学番組でも字幕の片隅に、この曲が本来は「玉ねぎの歌」というものであると示されていましたけれど、「玉ねぎの歌」の方では「戦友よ、ともに進もう」という意で用いられていたフレーズが、歌詞を代えた「クラリネットをこわしちゃった」でも、一緒に調子をとって曲を進めようてな意となってと生き残ったてなことのようで(どうぞWikipediaの紹介をご参照くださいまし)。

 

とまあ、そもそもの語学学習として大いに役立ったというよりは、あれこれの気付きこそ面白いといったところに落ち着いてしまっているNHK語学講座ではありましたが、また4月からの新年度にも見続けてしまうかも。引き続き小ネタを拾うだけに終わるかもしれませんですけれどね。

 

折しもアメブロの「惑星診断」のポップアップが飛び出してきたので、以前に一度「太陽」を引き当てたことがありながらもついまた引いてみますと、今度は「金星」が。曰く「好奇心や探求心があなたを進化させてくれます」とありましたですが、今以上に好奇心ばかりが募っては収拾がつかなくなりそうな気がしておりますよ(笑)。