先ごろには「蛍の光」だの「仰げば尊し」だのと、明治期に編纂された『小学唱歌集』にまつわる思い巡らしが続いておりましたので、図書館に寄ったついでになんとはなし、『日本の唱歌』なるCDを借り受けてみたのでありますよ。子ども向けのコーナーに置かれてましたけれど(笑)。

 

 

CD1枚、だいたい70分強の収録時間ですかね。その中に何と!35曲が収録されているという。ひとつひとつの歌がフルコーラス歌われて2分程度、そんなものだったのですなあ。先に借りたCD『蛍の光のすべて』に資料的意味合いを見出したのに対して、こちらはもっぱら実用的なものなのでしょう。おそらくは学校の音楽授業で歌を教わるときに、いわば模範歌唱のような形でまず聴かせるといったような。それだけに、曲ごとの解説がいっさい記されておらず、ライナーノートにあるのはひたすらに歌詞だけというのは、誠に残念なこと。とはいえ、音楽の授業で「この歌はいついつ誰々がどのような意図で作ったのか」なという解説はしないでしょうからねえ。歌詞さえあれば実用上、必要十分だということでしょうかね。

 

で、聞き流すようにしていたところ、「!」ということが。というのも、このCDでもって初めて耳にする歌が含まれていたからなのでして。いわゆる(かつての)文部省唱歌や外国曲が並ぶ中で、「今さら知らない曲に巡り合うものであるか?」とも思ったですが、教科書に取り上げられるのも出版社ごとに違いがあったりしたのかも。

 

個人的な記憶からすると、『若葉』、『とんび』、『スキー歌』の3曲は全く知らなかったなあと。最初、『スキーの歌』というのは「♪山はしろがね、朝日を浴びて~」という歌い出しであったか?と思っていましたら、この歌詞はやはり文部省唱歌の『スキー』という曲で『スキーの歌』とは全く別ものでありましたよ。

 

まあ、そんなことでもって昔の記憶がずるずると(芋づる式とはよく言ったもので)引き出されてきたりしましたですが、一方でこのところの『小学唱歌集』などの知見に関わって「唱歌」に国策要素が紛れ込まされていることも気付かされたわけでして、例えば改めて『我は海の子』を聴いてみれば、なんとも勇ましい曲調であることかと(CDに収録されている編曲では柔らかに歌ってますですが)。今では削除されているものの、かつてこの歌には「いで大船を乗り出してわれは拾わん海の富いで軍艦に乗組みてわれは護らん海の国」なんつう歌詞もあったわけで。島国日本のおのこは立派な海軍軍人となってお国のために尽くすのですよと。

 

「♪あたまを雲の上に出し~」という歌い出しで知られる『ふじの山』にしても、最後に「♪ふじは日本一の山」と高唱することは要するに国家称揚の精神に繋がるてなことのようですしね。富士山が日本一高い山であるとは、単なる事実として差し障りがないと判断されたか、今でも歌い継がれているわけですが、元をたどれば明治期の『小学唱歌集』にすでに載っている歌だったのですよね。

 

と、いささかネガティブな話になってきましたですが、さはさりながら「いい曲だよね」と思ってしまう曲もないではないところでして、収録曲をみていきますと『朧月夜』、『夏は来ぬ』、『海』(♪松原遠く~)、『まきばの朝』、『旅愁』、『冬の星座』、『冬景色」、『早春賦』といったあたりは、カラオケボックスに籠って歌ってしまおうかという気にもなったりしましたですよ(笑)。

 


 

 

昨日に友人からの親父さんの訃報に接したばかりですが、ここでまた父親の通院介助に出かけてまいることに。友人のことを思えば、これくらいのことを厭うてもおられませんですな。さらに来週には卒寿を祝ってやりませんと。ということで、まず明日(2/16)はお休みを頂戴いたしまして、明後日(2/17)にまたお目にかかることに。ではでは。